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訴訟で提出された書類の保存

テーマ:契約・取引

2007年2月22日

解説者

弁護士 人見勝行

 契約書、注文書、請書、納品書など、日常の取引の中で作成される文書の保管に留意する企業が増えています。もとより、これらの文書は、有事の際に証拠となりうる重要な書類ですから、相当の期間は厳重に保管することが求められます。


 また、取引先との紛争が法的な手続に発展し、訴訟に至った場合にも、訴訟で取り交わされる様々な書類を企業でも保存しておく必要があります。何故ならば、後日に同一の当事者間で紛争が生じた場合に参照することが必要となる可能性がありますし、さらには、株主代表訴訟が提起された場合の資料となる可能性があるからです。もっとも、訴訟で取り交わされる様々な書類は、聞きなれない表題が付いていたりして、何を保存しておけばよいか判別することが容易ではありません。そこで、以下、最低限、保存しておくことが求められる書類を摘示致します。


 最初に、訴訟における当事者の主張が書かれた書面として、「訴状」「答弁書」「準備書面」が挙げられます。これらの書面には、当事者の請求を基礎付ける事実や法的な主張が記載されたり、相手方の主張に対する反論が記載されることになります。特に、事実の主張に関しては、本当にその事実が存在したのかどうかは、現実に体験したものでなければ分かりません。したがって、例えば、「相手方の営業の担当者が言った」という事実が書かれている場合には、本当に営業の担当者が言ったのかどうか、書面を受け取った後、速やかに本人に確認する必要があります。


 次に、「甲第1号証」「乙第2号証」などと右上に記載される証拠書類が挙げられます。「甲」「乙」という文字は、誰が提出したのか分かるようにするための記号です。通常は、訴訟を提起した原告の提出する証拠には「甲」を用いて、応訴する被告の提出する証拠には「乙」を用います。また、都市部の裁判所では、証拠書類と一緒に「証拠説明書」という書類を作成するように裁判所から求められます。この証拠説明書には、誰が証拠を作成したのか、証拠によって何を証明するのかなどが記載されます。特に、証拠を作成した者が企業側であると書かれている場合には、担当者に確認して、本当にその証拠を作成したのかどうかを明らかにする必要があります。何故ならば、時として、証拠は偽造される可能性があるからです。


 さらに、訴訟を傍聴するなり、代理人の報告を求めるなりして、裁判所でどのような手続が行われたか把握する必要があります。特に、訴訟の当日には、書面に記載されていないことが主張されたり、裁判所から当事者に対して様々な質問がされる場合があります。この点について、裁判所では、訴訟の当日に何が行われたかを明らかにするために「期日調書」という書類が作成されます。また、訴訟代理人である弁護士の大半は期日報告書等を作成して、当日に行われた内容を依頼者である企業に報告しているはずです。したがいまして、傍聴した担当者の報告書を作成するなり、期日調書を謄写するなり、期日報告書の交付を求めるなりして、訴訟の当日に何が行われたかを明確にしておく必要があります。


 さて、期日報告書を別にすれば、訴訟の係属中は、通常、当事者の主張が記載された書面や証拠書類の原本は、訴訟代理人である弁護士が保管しています。しかしながら、訴訟が終了した場合には、当然、原本類は企業で保管するようにして下さい。基本的に、後日の同一当事者間における紛争にしても、株主代表訴訟にしても、従前の紛争を明らかにするために必要となる書類は、前訴において提出された書類の原本です。そのため、一般の取引で作成される契約書等と同じように、訴訟で提出された書類の原本も、厳重に保管するようにして下さい。


(2007年1月執筆)


人見勝行 弁護士

このコンテンツは「法律情報メールマガジンLIMM」より提供されております
e-hoki.com LIMMにおける掲載時点(2007年1月30日掲載分)での執筆物であるため、その後の法改正等により、情報が古くなっている場合も、あり得ます。

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