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個人情報基礎知識 これだけはおさえよう!

2 個人情報漏えい事件等の損害賠償額

テーマ:個人情報基礎知識

2014年4月 4日

ポイント
ポイント:個人情報が漏えいしたような場合の損害賠償額は、ケース・バイ・ケースですが、一人一人については数千円から数万円程度の範囲のことが多いです。しかし、一度に大量の個人情報が漏えいしたようなケースでは、トータルでは大きな損害賠償額になってしまいます。

 個人情報を漏えいしてしまったような場合、漏えいした情報の本人(個人情報保護法では、例えば、「Aさんの個人情報」について、Aさんのことをその情報の「本人」と呼びます。)に対して、民法上の不法行為(プライバシー権侵害)として損害賠償責任を負います。漏えいによる実被害がある場合はもちろん、実被害がなくても漏えいしたという事実自体により慰謝料などの損害賠償責任を負うことがあります。


 以下に、いくつかの裁判例を挙げますが、個人情報漏えい自体による損害賠償額(慰謝料)は、過去の裁判例では、概ね一人あたり数千円から数万円程度です。


 裁判例1:市の住民基本台帳のデータがシステム開発の再々委託先から流出したというケースで、1人あたり1万円の慰謝料(このほかに弁護士費用5000円)の損害賠償を認めた(大阪高裁平成13年12月25日判決)。


 裁判例2:大学で開催された中国国家主席の講演会の参加者名簿を参加者の同意を得ないまま警視庁に提出したというケースで、1人あたり5000円の損害賠償(慰謝料)を認めた(東京高裁平成16年3月23日判決)。


 裁判例3:ISPサービス加入者の個人情報(住所、氏名、電話番号、電子メールアドレス等)が漏えいしたケースで、1人あたり5000円の損害賠償(慰謝料)を認めた(大阪地裁平成18年5月19日判決)。


 裁判例4:ウェブサイトを利用したエステティックサロンのアンケート調査等の回答の情報がウェブサイト上で閲覧可能な状態に置かれて流出したケースで、1人あたり3万円(ただし、迷惑メールなどの2次被害のない者は1万7000円)の損害賠償(慰謝料)を認めた。


 また、裁判にならなくても、自主的に一人あたり500円から1万円くらいの商品券等を配ったりするということもよく行われています。


 一件ごとの賠償額は少額でも、漏えい量が多い場合、総額では巨額の損害賠償を支払うことにもなりかねません。例えば、2009年に発覚した三菱UFJ証券の個人情報漏えい事件では、情報が漏えいした約5万人に対して、一人あたり1万円の商品券を配布したとのことです。単純に計算して、これだけで5億円になります。


 以上のように、個人情報の漏えい等のケースでは、一人一人についての損害賠償額はそれほど大きくならないものの、一度に大量の個人情報が漏えいすることも少なくなく、そのようなケースではトータルでは大きな損害賠償額になってしまうというのが特徴です。

氏名:石井邦尚

1972年生
1999年弁護士登録、第二東京弁護士会所属
1997年東京大学法学部卒業、2003年コロンビア大学ロースクールLL.M.コース修了

専門は企業法務。30年ほど前に小5ではじめてコンピュータを知ったときの驚きと興奮が忘れられずに、今でもITを愛好していることの影響から、企業法務の中でも、特にIT関連の法務を専門としている。著書に「ビジネスマンと法律実務家のためのIT法入門」(民事法研究会)など。

所属事務所:カクイ法律事務所

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