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法律コラム


[人事・労務|2012年9月28日]
弁護士 高橋弘泰

再雇用職員の雇止めについての裁判例

弁護士 高橋弘泰

 以前のコラムで、有期雇用契約についての法改正及び高齢者雇用安定法の改正があったことを説明しました。それに関連して、最近、再雇用職員の雇止めについて出た裁判例を紹介します。

【事案の概要】

 この事案は、定年退職後に、雇用期間(1年間)の定めがある再雇用契約を締結した職員(原告)が、雇用主(被告)から期間満了後新たに契約を締結しない旨を通告されたが、この雇止めは無効であるとして、労働契約上の権利を有する地位にあることの確認を求めたというものです。

 原告は、雇用継続を期待する合理的な理由があり、本件雇止めは、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当と認められないので、権利を濫用するものとして無効であると主張しました。

 雇用継続を期待する合理的な理由として、原告は(1)雇用契約締結時の採用面接の際に、当時の事務局長から、再雇用制度があり、65歳まで働くことができる旨が説明されたこと、(2)再雇用契約書を交付された際に、65歳まできちんと契約が更新されるのかを尋ねたところ、就業規則上1年毎の更新になっているため再雇用契約書がそのような記載になっているが、65歳まで契約が更新されることはその通りである旨回答があったこと、(3)65歳まで契約が更新されることは被告の慣例になっていたことを主張しました。

【裁判所の判断】

 判決(東京地裁平成24年7月27日判決)は、原告の請求を棄却しました。以下に、この判決の具体的な理由づけを説明します。

 まず、判決は、高齢者雇用安定法で60歳定年制が義務づけられたのは平成6年改正によってであり、継続雇用制度を含む高年齢者雇用確保措置が義務づけられたのは平成16年の改正によってであること、経過措置により、事業主に対し、平成25年3月31日までの間に必要な措置を講ずるよう努めることが求められたことを述べたうえで、(1)職員が引き続き勤務することを希望すれば、就業規程の定める一定の要件の下、1年間の再雇用をするという内容の再雇用制度が採用されたのは、平成18年の就業規程の改訂によってであり、原告は、改訂後初めて定年退職を迎える正職員であったこと、(2)本件雇止めは、更新を経ずして行われたものであることから、雇用継続の合理的な期待を裏付けるに足りる客観的な事情は特に見当たらないと判断しました。

 原告が雇用された平成3年当時には、60歳定年制は未だ法律上義務づけられておらず、職員が引き続き勤務することを希望し、一定の要件を満たしていれば、1年間の再雇用をするという内容の再雇用制度は存在しませんでした。
 また、定年が60歳であることが求人カードによって明示されていることから、求人カードに再雇用制度有りという旨の記載があるとしても、また、再雇用制度があり、65歳まで働くことができる旨の説明があったとしても、それは、定年が60歳であることを前提に、65歳まで再雇用されることもあり得るという意味にとどまるものと評価され、原告の65歳までの雇用継続を保障するものとは認められないとされました。

 さらに、再雇用契約書には、1年間という期間の定めが記載されていたことに加え、平成18年に改訂された就業規程には、1年間の再雇用をするという内容の再雇用制度の定めがあるが、その期間の終了後については、「重ねて再雇用することがある。」との規定があるのみで、職員が引き続き勤務することを希望し、一定の要件を満たしていれば、更に再雇用を継続する旨は規定されていないことから、原告がこのことを本件再雇用契約締結までに認識していた以上、再雇用継続についての期待を、合理的なものであったということはできないとされました。

 慣例については、被告の再雇用制度は、平成18年の就業規程の改訂により導入されたもので、原告は、改訂後初めて定年を迎える正職員であったから、制度の運用について慣例は存在しなかったと認定されました。

【まとめとポイント】

 この判決は、継続雇用について合理的な期待があったかどうかについて、雇用契約時と再雇用契約時の両方の時点で、再雇用に関する法律の規定がどのようなものであったか、会社の就業規則がどのように定められていたかを重視しています。

 法改正によって、裁判所が雇止めを解雇権濫用にあたると判断する傾向が強まる可能性も考えられます。「合理的な期待」というものの中身をどう考えるかが難しいところですが、就業規則、再雇用契約書の文言がどうなっているかは大切なポイントです。

氏名:高橋弘泰

生年:1970年生

弁護士登録年・弁護士会:
2009年弁護士登録、第二東京弁護士会所属

学歴:
1994年東京大学法学部卒業

得意分野等:
東京都に勤務の後、大宮法科大学院に入学し、法曹を目指す。行政事件、刑事事件など公益的な活動に力を入れる一方、民事分野でも敷居が低く利用しやすいと同時に、内容的には決して妥協しない良質な法的サービスの提供に努めていきたいと思います。

所属事務所:
法律事務所フロンティア・ロー http://frontier-omiya.jp/index.html

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