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景表法にいう「不当な表示」について

テーマ:宣伝・販促

2012年7月 5日

解説者

弁護士 高橋弘泰

 前回までのコラムでは、インターネット取引において景品表示法に抵触するおそれのある行為について取引の類型ごとに説明してきました。


 今回は、景表法が禁止する「一般消費者を誤認させるおそれがある表示(不当な表示)」が、具体的にはどのような基準で判断されるのか、表示の裏付けとなる「合理的な根拠を示す資料」を巡って争われた裁判例を参考にしながら考えてみます。


【不当表示の類型】

 景表法4条1項は、以下のような「不当な表示」を禁止しています。


1.優良誤認

 (1)商品又は役務の品質、規格その他の内容について実際のものより著しく優良であると一般消費者に誤認される表示。(2)競争事業者の提供する商品又は役務の内容よりも自己の供給するものが著しく優れていると誤認される表示。


2.有利誤認

 (1)商品又は役務の価格その他の取引条件について、実際のものよりも取引の相手方に著しく有利であると誤認される表示。(2)競争事業者の供給する商品又は役務の取引条件よりも自己の供給する取引条件のほうが、取引の相手にとって著しく有利であると誤認される表示。


3.内閣総理大臣が指定する表示

 (1)無果汁の清涼飲料水等についての表示(2)商品の原産国に関する不当な表示(3)消費者信用の融資費用に関する不当な表示(4)不動産のおとり広告に関する表示(5)おとり広告に関する表示など


【不実証広告規制】

 そして4条2項では、公正取引委員会が、不当表示にあたるかどうかを判断するため必要があると認めるときは、期間を定めて、当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めることができると定めています。事業者が資料を提出しないときは、不当表示であるとみなされます。
 事業者が「資料を提出しないとき」とは、提出された資料が「当該表示を裏付ける合理的な根拠を示す資料」に該当しない場合も含むものと解されています。
 この規制は「不実証広告規制」と呼ばれています。


【裁判例】

 この不実証広告規制を巡って、事業者が公正取引委員会の処分の取消しを求めて裁判になった事例があります(東京高等裁判所平成22年10月29日第3特別部判決)。


 原告(事業者)は、問題となった商品の包装紙に、「使用方法 たばこを軽く回しながら、たばこの先端(葉の部分)に【商品名】を少量つけ、火をつけて喫煙してください」、「特徴 【商品名】使用により煙害をなくし、喫煙時の違和感がありません」と記載し、「ニコチンをビタミンに変える」と大きく表示していました。


 公正取引委員会が、この表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めたところ、事業者はペルー国立工業大学作成の試験報告書やDVD-Rに保存された映像資料などを提出しました。しかし、公正取引委員会はこれを合理的な根拠を示すものと認めず、措置命令を行いました。


 裁判所は、「本件表示は、本件商品の需要者と考えられる喫煙者である一般消費者にとっては、単に、ニコチンを減少させてニコチンによる健康被害を回避し、健康維持に有用なビタミンを増加させるというにとどまらず、健康被害の原因となり得るとされるニコチンがそのまま健康維持に有用なビタミンに変化するという認識を与える点で、更に強力な誘引力を有しており、その認識がなければ顧客が誘引されることは通常ないであろうと認められる程度に至っていることは明らかである」として「優良誤認表示」にあたるとしました。


 そして、行政庁(現在は消費者庁)が合理的な根拠の判断基準としている運用指針の内容が妥当なものであるとし、事業者が提出した資料は「合理的な根拠を示す資料」に該当しないとしました。


 運用指針の基準は以下のようなものです。


  1. (1)提出資料が客観的に実証された内容のものであること、具体的には、提出資料が、(ア)表示された商品等の効果、性能に関する学術界、産業界において一般的に認められた方法、若しくは関連分野の専門家多数が認める方法による試験・調査によって得られた結果。又は(イ)専門家、専門家団体、若しくは専門機関の見解、若しくは学術文献であって、当該専門分野において一般的に認められているもののいずれかに該当するものであること
  2. (2)表示された効果、性能と提出資料によって実証された内容が適切に対応していること

【まとめ】

 平成21年に消費者庁が発足し、現在は公正取引委員会ではなく消費者庁が景表法違反事件を審理することとなりましたが、不実証広告規制に関する運用指針やこの裁判例で示された判断基準は今でも有効だと思われます。


 事業者にとっては、「不当表示」にあたらないといえるために、合理的資料の裏付けが必要であること、そしてその資料が合理的なものと言えるためにはどのような条件を満たすべきかを常に念頭に置いておく必要があるでしょう。



氏名:高橋弘泰

生年:1970年生

弁護士登録年・弁護士会:
2009年弁護士登録、第二東京弁護士会所属

学歴:
1994年東京大学法学部卒業

得意分野等:
東京都に勤務の後、大宮法科大学院に入学し、法曹を目指す。行政事件、刑事事件など公益的な活動に力を入れる一方、民事分野でも敷居が低く利用しやすいと同時に、内容的には決して妥協しない良質な法的サービスの提供に努めていきたいと思います。

所属事務所:
法律事務所フロンティア・ロー http://frontier-omiya.jp/index.html

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