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パワーハラスメントとは

テーマ:労務一般

2012年2月 9日

解説者

弁護士 高橋弘泰

 「パワハラ」という言葉が一般に使われるようになって久しいですが、今回は、職場でのパワーハラスメントに関して、つい最近出た厚生労働省のワーキング・グループによる報告書に基づき、パワハラとは何か、どういう対策を取るべきかについて説明していきたいと思います。


【パワハラの増加傾向と対策の必要性】

 職場のいじめ・嫌がらせは、近年、社会問題として顕在化してきており、都道府県労働局に寄せられる「いじめ・嫌がらせ」に関する相談は、平成14年度には約6,600件であったものが、平成22年度には約39,400件と、年々急速に増加しています。


 多くの企業も、「いじめ・嫌がらせ」、「パワーハラスメント」を経営上の重要な課題と認識しており、東証一部上場企業を対象に行われた調査では、43%の企業が「パワーハラスメント」あるいはこれに類似した問題が発生したことがあると回答しています。また、この調査では、82%の企業が、「パワーハラスメント」対策は経営上の重要な課題であると回答しています。近年、「いじめ・嫌がらせ」、「パワーハラスメント」に関する訴訟の増加もうかがわれ、判決でも「パワーハラスメント」という言葉が使用される例が見られます。


 「パワーハラスメントの実態に関する調査研究」では、「パワーハラスメント」が企業にもたらす損失として、「社員の心の健康を害する」(83%)、「職場風土を悪くする」(80%)、「本人のみならず周りの士気が低下する」(70%)、「職場の生産性を低下させる」(67%)、「十分に能力発揮が出来ない」(59%)と回答されています。


 企業として「いじめ・嫌がらせ」、「パワーハラスメント」に加担していなくとも、これを放置すると、裁判で使用者としての責任を問われることもあり、企業のイメージダウンにもつながりかねません。この問題への取組を、職場の禁止事項を増やし、活力を削ぐものととらえるのではなく、職場の活力につながるものととらえて、積極的に進めることが求められています。


【パワハラの定義】

 報告書は、パワーハラスメントとは何かについて、「同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為をいう」と定義しています。


 パワーハラスメントという言葉は、上司から部下へのいじめ・嫌がらせを指して使われる場合が多いですが、先輩・後輩間や同僚間、さらには部下から上司に対して行われるものもあり、こうした行為も職場のパワーハラスメントに含める必要があることから、「職場内の優位性」を「職務上の地位」に限らず、人間関係や専門知識などの様々な優位性が含まれるとしています。


 もっとも、職場のパワーハラスメントについては、「業務上の指導との線引きが難しい」との指摘もあり、「業務の適正な範囲を超え」るものであることが必要とされています。すなわち、個人の受け取り方によっては、業務上必要な指示や注意・指導を不満に感じたりする場合でも、これらが業務上の適正な範囲で行われている場合には、パワーハラスメントには当たらない場合もあるということです。


【法的な対処の枠組み】

 なお、報告書も指摘するとおり、職場のパワーハラスメントにより、すでに法で保障されている権利が侵害される場合には、法的な制度の枠組みに沿って対応がなされるべきです。


 解雇、雇止め、配置転換、賃金の引下げなどの労働条件のほか、いじめ・嫌がらせなど労働問題に関するあらゆる分野について、個々の労働者と事業主との間の紛争(個別労働紛争)の円満解決を図るため、都道府県労働局において、無料で個別労働紛争の解決援助サービスを提供し、個別労働紛争の未然防止、迅速な解決を促進することを目的として、「個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律」が平成13年10月に施行されています。この法律に基づいて、総合労働相談コーナー(主要都市の駅周辺ビルなどに設置されていることが多い)における情報提供・相談、都道府県労働局長による助言・指導、紛争調整委員会によるあっせんが行われているところです。


 また、行政以外でも法テラス(日本司法支援センター)で無料法律相談などの取組を行っているほか、労働組合においても組合員であるか否かを問わず、無料で労働相談を受け付けていますから、積極的に活用すべきでしょう。


 次回は、職場のパワーハラスメントの行為類型やその予防策について説明します。



氏名:高橋弘泰

生年:1970年生

弁護士登録年・弁護士会:
2009年弁護士登録、第二東京弁護士会所属

学歴:
1994年東京大学法学部卒業

得意分野等:
東京都に勤務の後、大宮法科大学院に入学し、法曹を目指す。行政事件、刑事事件など公益的な活動に力を入れる一方、民事分野でも敷居が低く利用しやすいと同時に、内容的には決して妥協しない良質な法的サービスの提供に努めていきたいと思います。

所属事務所:
法律事務所フロンティア・ロー http://frontier-omiya.jp/index.html

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