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職場の受動喫煙防止対策

テーマ:労務一般

2012年1月19日

解説者

弁護士 高橋弘泰

 事業者に対し医師などによる従業員のメンタルヘルス(心の健康)チェックを義務づけるよう労働安全衛生法が改正される見込みですが、改正案にはこのほか、職場の全面禁煙か空間分煙を事業者に義務付ける受動喫煙防止対策も含まれています。今回はこの受動喫煙防止対策とそれに対する支援事業について説明します。


 「嫌煙権」が主張されるようになって久しく、愛煙家にとっては窮屈な時代が続いていますが、いよいよ法律でも事業者に分煙が義務づけられる気配になってきました。もっとも一方では、事業者の職種によっては、必要な対策を取ることにより助成金が受けられるというメリットも生じますので、いずれにしても要チェックの動きといえます。今回はこの受動喫煙防止対策とそれに対する支援事業について説明します。


 これまでのコラムで述べたとおり、事業者に対し医師などによる従業員のメンタルヘルス(心の健康)チェックを義務づけるよう労働安全衛生法が改正される見込みですが、改正案にはこのほか、職場の全面禁煙か空間分煙を事業者に義務付ける受動喫煙防止対策も含まれています。


 労働安全衛生の環境改善の一環として、法改正案の中では受動喫煙防止対策の充実・強化が謳われています。その内容は、(1)受動喫煙を防止するための措置として、職場の全面禁煙、空間分煙を事業者に義務付ける(「全面禁煙」とは、建物や車両内全体を常に禁煙とすること、「空間分煙」とは、一定の要件を満たす喫煙室でのみ喫煙を認め喫煙室以外の場所を禁煙とすることをいいます)、(2)ただし、当分の間、飲食店その他の当該措置が困難な職場については、受動喫煙の程度を軽減させるため一定の濃度又は換気の基準を守ることを義務づける、というものです。


【受動喫煙防止対策の支援事業】

 事業者が取る分煙措置に対して、受動喫煙防止対策助成金を始め、以下の3事業が平成23年10月より開始されています。


1.受動喫煙防止対策助成金

 これは、一定の要件を満たす喫煙室の設置や、受動喫煙を防止するための換気設備の設置等の措置に必要な経費に対し、国からの助成が行われるというものです。


 対象となる事業主は、労働者災害補償保険の適用事業主であって、旅館業、料理店又は飲食店を経営する中小企業事業主です。このうち、料理店又は飲食店については、その常時雇用する労働者が50人以下又はその資本金の規模が5000万円以下、旅館業については、その常時雇用する労働者の数が100人以下又はその資本金の規模が5000万円以下となっています。


 助成対象は、上記のとおり一定の要件を満たす喫煙室の設置や、受動喫煙を防止するための換気設備の設置等の措置に必要な経費で、喫煙室の設置等に係る経費の4分の1が上限200万円まで助成されます。助成を受けるにあたっては、工事前に「受動喫煙防止対策助成金関係工事計画」を策定し、所轄都道府県労働局の認定を受ける必要があります。申請書の提出先は、都道府県労働局の健康安全課又は健康課になります。


2.受動喫煙防止対策に係る相談支援事業

 事業場における喫煙室の設置、飲食店等における浮遊粉じんの基準への対応など、技術的な相談内容について、労働衛生コンサルタント等の専門家による電話相談、必要に応じて実地指導も行っています。相談は無料です。


3.職場内環境測定支援事業

 受動喫煙防止対策を行う事業場において、職場内環境の実態把握などを行う際の支援として、デジタル粉じん計(浮遊粉じん濃度の測定)、風速計の無料貸出を行っています。


【受動喫煙規制の流れ】

 なお、これらの分煙措置に関する規制は、国による指導を中心に行われるものであり、守らなかったことにより罰則が付されるものではありません。しかし、平成17年2月に「たばこの規制に関する世界保健機関枠組条約」が発効し、諸外国においても規制の強化が進む中で、わが国においても受動喫煙の有害性に関する知識の普及や健康志向の高まりなどを背景に、職場における受動喫煙防止に対する労働者の意識が向上していることから、分煙対策はこれから事業者にとって必須の要素となるものと思われます。国の助成や指導も上手く利用しながら、効果的な対策を取っていきたいものです。


氏名:高橋弘泰

生年:1970年生

弁護士登録年・弁護士会:
2009年弁護士登録、第二東京弁護士会所属

学歴:
1994年東京大学法学部卒業

得意分野等:
東京都に勤務の後、大宮法科大学院に入学し、法曹を目指す。行政事件、刑事事件など公益的な活動に力を入れる一方、民事分野でも敷居が低く利用しやすいと同時に、内容的には決して妥協しない良質な法的サービスの提供に努めていきたいと思います。

所属事務所:
法律事務所フロンティア・ロー http://frontier-omiya.jp/index.html

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