本文とサイドメニューへジャンプするためのナビゲーションスキップです。

トップページ  >  経営をよくする  >  法律コラム

特集一覧 中小企業に役立つ記事や施策をトピックスごとにまとめています。

『リストラと解雇』

テーマ:解雇・退職

2006年9月28日

解説者

弁護士 壇俊光

リストラと解雇について

先日、とある中小企業の会社の社長さんからこんな相談がありました。
「業績不振で、リストラということで、二人ほど解雇したんですが、二人が解雇は無効と言ってきてるんです。」
私は、いかなる事情で解雇したかについて、数点質問をしたのですが、あまりの法律知識のなさに愕然としました。
そこで、今回はリストラについて解説をしたいと思います。


解雇と労働基準法

会社と社員の地位は法的には、労働契約による使用者と労働者になります(民法623条以下)。しかし、労働契約を一方的に終了させることは、労働者の生活の基礎を失わせることになるため、恣意的な解雇は民法1条3項の権利の濫用とされ、無効となります。
企業のリストラとしておこなう解雇は整理解雇と呼ばれていますが、使用者が自由におこなえるわけではなく、客観的にみて真にやむを得ない事由のある場合に限られるのです。


整理解雇の要件

整理解雇がいかなる場合に許されるかについては、裁判例が種々ありますが、だいたい次に述べる4つの要件が必要とされています。
(1)整理解雇の必要性
企業が高度の経営危機に陥り、企業に維持・存続を図るために必要あるときでなくてはなりません。リストラの必要がない場合に整理解雇は許されません。
(2)整理解雇回避の努力
解雇に先立ち、退職者の募集や出向等の余剰労働力吸収のために相当な努力をした場合でなくてはなりません。整理解雇は最終的な手段とされなければならないのです。
(3)人選の合理性
被解雇者選定の基準及び運用が合理的なものでなくてはなりません。恣意的な人選をすることは許されません。
(4)労働者側との協議
解雇の必要性・時期・基準等について、労働者側を納得させる真剣な努力がなされたことが必要です。一方的な解雇通知は許されません。


整理解雇の基準

整理解雇については、被解雇者選定の基準や運用に客観的合理性が必要なので、解雇基準の設定が重要になってきます。基準として不合理なものは無効です。
合理的とされたものは、退職の家庭に与える影響の少ないもの、勤務態度や適性に問題があるもの、病弱その他の事情により職務遂行に支障があるもの、懲戒処分を受けた事のあるもの、会社の業績に貢献度の低いもの等の基準があげられます。
整理解雇基準が、労働組合との合意によって労働協約として設定された場合は、労働組合法16条で拘束力を持ち、解雇基準に反する解雇は無効となります。
また、基準の適用が不合理な解雇も無効です。整理解雇を理由とする組合活動の不当な制約場合などが多いようです。


希望退職勧告

整理解雇は、最後の手段として位置づけられるため、企業は基本的にはまず希望退職を募り、さらに指名解雇に至らないとなりません。
希望退職制度は、一定の退職基準を設けて、退職者を募ることが多いようです。しかし、形式的には労働者からの退職願が提出されたとしても、実質的には使用者の圧力によりやむを得ず退職するに至った場合は、実質的には一方的な解雇とされる場合がありますし、さらに圧力が強度な場合は脅迫による意思表示として退職願自体が無効となる場合もあります。


まとめ

希望退職制度をおこなったところ、退職したのは、他の企業に移籍するあてがある有能な人材だったというのは良くある笑えない話です。特に中小企業にとって、人材は貸借対照表に載らない財産ですから流出は出来るだけ避けるべきです。余剰人員は会社のキャッシュフローを悪化させる要素ではありますが、リストラをしさえすればキャッシュフローが良くなると考えるのは、すこし安易と言わざるを得ません。
その企業の社長さんですが、基準も希望退職の募集も無しに指名解雇していたので、解雇が認められる事案ではありません。「何とかなりまへんか?」と繰り返し聞いて来たのですが、「何ともなりません」と答えざるを得ませんでした。


(2006年9月執筆)


壇俊光 (ダントシミツ)
出身地 大阪
資格  弁護士 大阪弁護士会所属
役職  大阪弁護士会消費者保護委員会会員
     大阪弁護士会図書情報処理委員会会員
     大阪弁護士会犯罪被害者支援委員会会員
     法情報ネットワーク法学会会員

同テーマの記事を見る 3つのコンテンツから検索ができます!

このページの先頭へ

このページの先頭へ