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法律コラム


[取引・債権回収|2011年7月28日]
弁護士 石井邦尚

抱き合わせ販売と独禁法

弁護士 石井邦尚

【抱き合わせ販売とは】

 独禁法で禁止されている行為に「抱き合わせ販売」があります。
 抱き合わせ販売というのは、ある商品やサービスを販売する際に、その購入者らに対し、不当に他の商品やサービスを一緒に購入等させる行為です。

 少し古い(1992年の事案)ですが、おもちゃの問屋が、当時人気が高騰して極めて品薄であったゲームソフト「ドラクエIV」を入荷できたことを利用して、小売店に対してドラクエIV1本あたり不人気のゲームソフト3本をあわせて購入させたことが、不公正な取引方法にあたるとして独禁法違反とされ、排除措置命令が出されたケースが有名です。このケースでは問屋が小売店に販売をしましたが、小売店が一般の消費者に同じように抱き合わせ販売をしても独禁法違反となり得ます。

 このような抱き合わせ販売は、購入者に対し、購入者にとって不要な取引を実質的に強制するものであり、購入者の商品選択の自由を害するため禁止されているのです。

【セット販売でも独禁法違反とならないもの】

 もちろん、複数の商品やサービスがセットで販売されているというのはよくあることであり、これら全てが抱き合わせ販売として禁止されるわけではありません。
 二つの商品やサービスがセットで販売されていても、購入者がそれぞれの商品等を単品でも購入できるのであれば、購入者はセットで買うか単品で買うかを自由に選べるので「不当」なものではなく、独禁法違反にはなりません。
 さらに、そもそも二つの商品やサービスのように見えても、これらを組み合わせることにより別個の特徴を持つ単一の商品やサービスになる場合は、二つの商品等を抱き合わせているとはいえず、独禁法違反にはなりません。もっとも、実際のケースでは微妙な判断になることもあります。

 これと似ていますが、技術的な理由により二つの商品やサービスを組み合わせることが必要不可欠な場合も抱き合わせ販売とはなりません。ただし、単に有益というのではなく、本当に必要不可欠なものかが問われます。
 また、例えばレンタカーを借りる際に自動車保険への加入が求められるように、二つの商品やサービスに密接な補完関係がある場合も抱き合わせ販売とはなりません。

【もう一つの抱き合わせ販売の類型】

上記のような、不要な商品・サービス等の購入を強要する類型の他に、競合他社の取引を排除する類型の抱き合わせ販売もあり、独禁法違反とされています。
 これは、競争力の強い商品・サービス(仮にAとします)を販売している者(X社)が、他社(Y社)との競争環境にある別の商品・サービス(B)も販売している場合に、購入者に対し、X社がBを自社から購入することを条件にAを販売するというものです。

例えば、X社が圧倒的なシェアを獲得しているAソフトを販売する際に、ライバル社と激しいシェア争いをしているBソフトを購入することを条件とするような場合です。購入者としては、X社からBソフトを購入した上でY社からもBソフトを購入するということも可能ではありますが、余計な費用がかかることからそのような購入者は多くはないでしょう。
 これは、Bの市場で、X社とY社がBの品質や価格等による競争を行うことを妨げるものであり、公正な競争を阻害することから独禁法違反とされています。

なおこの類型では、X社から(Aとあわせて)Bを買う人が、それで構わないと考えているかどうかは関係ありません。そう考えている場合でも、Y社のBを購入する可能性のあった人が、X社とY社のBの品質や価格等を比較するのではなく、X社のAを欲しいという理由によりX社のBを選ぶということ自体が、Bの市場における公正な競争を害しているからです。

【最後に】

ミクシィやツイッターなどによる口コミ、テレビ番組での放送などきっかけは様々ですが、ある商品が大ヒットし一時的に品薄になるということはしばしばあります。少し前には食べるラー油のブームがありました。また、東日本大震災の直後には防災や停電関連の商品をはじめ、様々な商品が品薄となりました。
 そうした状況に乗じて抱き合わせ販売を行っているのではないかと疑われる例を目にすることもあります。そのようにして一時的な利益を追求することは、顧客からの信頼を傷つけるとともに、独禁法違反となることもあるのです。

氏名:石井邦尚

生年:1972年生

弁護士登録年・弁護士会:
1999年弁護士登録、第二東京弁護士会所属

学歴:
1997年東京大学法学部卒業、2003年コロンビア大学ロースクールLL.M.コース修了

得意分野等:
米国留学から帰国後に「挑戦する人(企業)の身近なパートナー」となるべくリーバマン法律事務所を設立、IT関連事業の法務を中心とした企業法務、新設企業・新規事業支援、知的財産などを主に取り扱う。留学経験を活かし、国際的な視点も重視しながら、ビジネスで日々発生する新しい法律問題に積極的に取り組んでいる。

所属事務所:
リーバマン法律事務所 http://www.rbmlaw.jp/

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