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法律コラム


[インターネット|2011年2月24日]
弁護士 石井邦尚

インターネット上の発言と法的責任:物の写真の利用

弁護士 石井邦尚

 前回までに、人には肖像権やパブリシティ権、プライバシー権などが認められていることを解説しました。他人が写った写真や動画を、ホームページやブログに掲載するような場合には、こうした権利を侵害しないように注意が必要です。また、他人が撮影した写真であれば、著作権の問題もあります。
 それでは、物の写真や動画を利用する場合、何か注意すべきことはあるでしょうか。

【著作権との関係】

 人でも物でも、他人が撮影した写真を利用する場合は、その撮影者等の著作権侵害とならないよう、著作権者の許諾を得る必要があります。
 また、自分(自社)で撮影する場合でも、他人の著作物、例えば絵画などを撮影し、それをホームページやブログなどに掲載することは著作権(複製権や公衆送信権)の侵害になります。

 もっとも、既に著作権の保護期間(原則として著作者の死後50年)が経過した著作物については、それを撮影して掲載しても、著作権侵害等の問題は生じません。過去には、著作権保護期間を経過した後の美術品の所有者が、その作品の写真乾板を用いて作成された出版物(複製物)の販売について、所有者の所有権を侵害するとして、その出版物の販売差止と廃棄を求めたケースがあります。しかし、最高裁はその主張を認めず、著作権保護期間経過後の美術品を複製しても、所有権侵害にはならないという判決を下しています。

 ただし、著作権や作品の所有権とは別に、美術館等の施設管理権などに基づいて、館内での写真撮影を禁止することはできるので、保護期間経過により著作権法上の問題がないからといって、安易に撮影をしないようにしてください。
 さらに、少し話がややこしくなりますが、美術品を撮影した写真(例えば、古い壺を撮影した写真)自体に著作権が発生している場合がありますので、被写体が保護期間経過後であっても、そうした写真の利用には、写真撮影者等から使用許諾を得る必要があります。

 なお、著作権については、以前、以下の記事で解説をしていますので、そちらもご参照下さい。
インターネットと著作権の基礎(1)-著作権法の改正について
インターネットと著作権の基礎(2)-著作権法の特徴
インターネットと著作権の基礎(3)-著作権とは
インターネットと著作権の基礎(4)-許される行為
インターネットと著作権の基礎(5)-ロイヤリティフリーは著作権フリー?

【物のパブリシティ権?】

 芸能人等には、その「氏名・肖像のもつ顧客吸引力という独立した利益ないし価値を排他的に支配する財産的な権利」であるパブリシティ権が認められています。それでは、テレビのCMにいつも出演している犬、お茶の間で人気の動物園の動物などに、パブリシティ権は認められるでしょうか。

 こうした動物たちも、一定の「顧客誘引力」という経済的な価値を有していると言えるでしょう。しかし、法律上は、動物は「物」とされており、「人」に認められている権利が、直ちに物に認められるわけではありません。

 過去には、競走馬の名称を使用したゲームソフトについて、馬主が、競走馬という「物」のパブリシティ権侵害であるとして、ゲームソフト会社に対し、ゲームソフトの制作、販売等の差止や損害賠償を求めて訴えを提起したというケースがありました。このケースでは、一審(名古屋地裁)、二審(名古屋高裁)では一定の範囲でパブリシティ権が認められたのですが、平成16年に出された最高裁判決では、物のパブリシティ権は認められないという判断が下されました。
 この最高裁判決により、現在は、動物も含めた「物」には、パブリシティ権は認められないということになっています。

【商標権侵害、不正競争防止法違反】

 物にパブリシティ権は認められないとはいえ、他社の製品等の写真を利用する場合には、商標権や不正競争防止法にも注意する必要があります。

 著名なブランドの商品の写真をホームページに掲載するような場合、そのホームページ(を配信している会社)が、そのブランドと何らかの関係があると閲覧者が誤解するような態様で掲載をすると、不正競争防止法条の周知商品等表示(不正競争防止法2条1項1号)として、差止や損害賠償などの対象となることがあります。周知商品等表示というのは、他人の商品等表示として広く認識されているものと同一もしくは類似の商品等表示を使用するなどして、他人の商品又は営業と混同を生じさせる行為です。
 また、そうした場合、そのブランドのロゴなどの商標も写真に写っていることがあるでしょうが、その写り方や写真の掲載の仕方によっては、商標権侵害となる可能性もあります。

 人でも物でも、写真や動画をホームページ、ブログ等で利用するには、法律上の問題を意識することが欠かせません。インターネットは全世界に向けて簡単に情報発信ができるだけに、思いもよらぬ形でトラブルになるリスクがありますので、安易に考えず、判断に迷ったときは掲載を取りやめる、あるいは専門家に相談するなどしてください。

氏名:石井邦尚

生年:1972年生

弁護士登録年・弁護士会:
1999年弁護士登録、第二東京弁護士会所属

学歴:
1997年東京大学法学部卒業、2003年コロンビア大学ロースクールLL.M.コース修了

得意分野等:
米国留学から帰国後に「挑戦する人(企業)の身近なパートナー」となるべくリーバマン法律事務所を設立、IT関連事業の法務を中心とした企業法務、新設企業・新規事業支援、知的財産などを主に取り扱う。留学経験を活かし、国際的な視点も重視しながら、ビジネスで日々発生する新しい法律問題に積極的に取り組んでいる。

所属事務所:
リーバマン法律事務所 http://www.rbmlaw.jp/

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