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インターネット上の発言と法的責任:肖像権

テーマ:ブログ・SNS

2011年2月10日

解説者

弁護士 石井邦尚

【写真の掲載と肖像権】

 会社のホームページなどに、自社で開催したパーティーの写真や研修会の写真などを掲載している例を見かけます。言葉でいろいろ説明するよりも、写真の方が、会社の雰囲気などが良く伝わることがあります。
 また、最近は写真にとどまらず、動画配信サイトを通じて、研修会などの様子を社外に配信することも簡単にできるようになっています。


 インターネットの発達のおかげで、写真や動画の配信が簡単になりましたが、肖像権の問題に注意しておかなければ、思わぬトラブルに発展するリスクがあります。


【肖像権とは】

 肖像権というのは、自分の肖像(容姿)をみだりに他人に撮影されたり使用されたりしない権利です。
 法律の明文で「肖像権」という権利が定められているわけではありませんが、このような肖像権は法的保護に値するものと考えられており、これを侵害する行為は、民法上の不法行為として、損害賠償や差止請求権の対象となります。肖像権を認めた裁判例は複数あります。


 もっとも、およそ他人の写真を使うことができないとすれば、マスコミの報道にも支障をきたし、表現の自由との関係でも問題です。そこで、公共の利害に関する事柄で、公益を図る目的でなされた場合には違法性を欠き、肖像権侵害とはならないとされています。
 ただし、このような要件を満たすのは、報道目的などの限定的な場合であり、自社のサイトにパーティーや研修会の写真を載せたり、研修会の動画を配信したりといった場合には、この要件を満たすことはほとんどないでしょう。


 したがって、自社のサイトに誰かが写った写真を掲載したり、誰かが映った動画を配信したりする際は、その人たちの同意を得ておかなければ、肖像権侵害としてトラブルに発展する可能性があります。


【どのように対処すればよいか?】

 それでは、無用なトラブルを防ぐためにどのように対処すればよいでしょうか?
 それは、面倒くさがらずに「一手間かける」ことです。
 パーティーや研修会の様子を撮影する場合は、例えば、まず開会にあたり「撮影しますのでご了承下さい」ということをアナウンスしておいた方がよいでしょう。開催案内などに、その旨を付記しておくのも良いと思います。


 写真の場合、「撮影を望まない人は・・・にお申し付け下さい」といった配慮までする必要があるかは、参加者の顔ぶれや会の性質などを考慮しながら、ケース・バイ・ケースで判断することになります。筆者としては、写真の場合は撮影してすぐに公開するわけではないので、撮影前にきめ細かな配慮が必要なケースよりも、むしろ公開段階での配慮が望ましいケースの方が多いのではないかと考えています。
 動画を即時配信する場合は、より慎重な配慮をすべきです。まじめな研修会であっても、例えば、その日に社外で研修を受けていることを会社の同僚には知られたくないという人はいるかもしれません。一度、配信してしまえば取り返しがつかないかもしれないのが、インターネットの恐いところです。意味もなく参加者の顔を映すようなことがないよう、撮影にも配慮が必要です。


 仮に、研修会の冒頭で「本研修会の様子は、撮影してインターネットで即時配信されます。皆様のお顔が映る場合もありますので、ご了承下さい」というアナウンスをしていた場合でも、それだけで「参加者の同意があるから許される」と即断するのは危険です。実際に裁判となった場合、このようなアナウンスと、それに対して異議を述べなかったというだけで、参加者が同意したと認められるかは、ケース・バイ・ケースです。研修会の講師を撮影していて、参加者の横顔がちらっと映るくらいであれば、同意があったと認められるかもしれませんが、突然、意味もなく一部の参加者のアップを撮影するような場合は、そこまで同意していたとは認められないかもしれません。


 動画の即時配信の場合は、どうしても参加者を映すことが必要であれば、撮影を望まない人に対して、どのようにすればよいか(例えば、撮影対象とならない席を指定するなど)を伝えるなどの配慮をすべきです。
 写真の場合、あるいは動画でも即時配信ではない場合、公開前に、写っている(映っている)人たちに、公開してもよいか一声かけるべきだと思われます。これは事前にアナウンスをしていてもです。連絡先がわからない人が写っている場合には、公開しない方が無難です。


 最近は、肖像権やプライバシー権などに対する一般の人々の意識が高まってきています。そして、こうした問題は、人によって受け止め方が異なるのが悩ましいところです。あまり気にしない人もいれば、意識の強い人もいます。そのことを前提に、一手間かけて、相手に配慮を示すようにしましょう。


氏名:石井邦尚

生年:1972年生

弁護士登録年・弁護士会:
1999年弁護士登録、第二東京弁護士会所属

学歴:
1997年東京大学法学部卒業、2003年コロンビア大学ロースクールLL.M.コース修了

得意分野等:
米国留学から帰国後に「挑戦する人(企業)の身近なパートナー」となるべくリーバマン法律事務所を設立、IT関連事業の法務を中心とした企業法務、新設企業・新規事業支援、知的財産などを主に取り扱う。留学経験を活かし、国際的な視点も重視しながら、ビジネスで日々発生する新しい法律問題に積極的に取り組んでいる。

所属事務所:
リーバマン法律事務所 http://www.rbmlaw.jp/

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