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法律コラム


[人事・労務|2010年10月21日]
弁護士 石井邦尚

職場でのインターネットの私的利用はどのように止めればよいか

弁護士 石井邦尚

【無視できないインターネットの私的利用】

 コンピュータとインターネット接続が普及し、一人一台インターネットに接続できるコンピュータが割り当てられているという職場が多くなっています。ウェブサイトの閲覧や電子メールの利用は業務に欠かせなくなっています。
 ところが、社員が机に向かってウェブサイトを閲覧しているとき、それが業務のためなのか、私的に閲覧しているだけなのかは、すぐには分かりません。友人への電子メールを書いていたり、チャットをしたりしていても、はたから見ていると仕事をしているようにしか見えなかったりします。

 こうした「仕事をしていない時間」は、一日一日は短時間であっても、毎日となると合計では無視できない時間になります。ましてや、そのために本来の業務が終わらずに残業となっては、経営者としては「残業代泥棒!」と叫びたくもなるでしょう。
 また、会社の電子メールアドレスを使って出会い系サイトに投稿していたり、会社のコンピュータを使って掲示板に誹謗中傷の書き込みをしていたりといったことがあれば、会社の社会的信用が大きく傷つく危険性もあります。
 インターネットの私的利用に対し、会社としてどのような態度を取るかは、あらかじめ検討しておくべきです。

【インターネット私的利用と懲戒処分】

 一般に、社員は、労働時間中は職務に専念し他の私的活動を差し控えなければならないという職務専念義務を負っています。就業規則にも、職務専念義務は定められているはずです。
 就業規則では、会社が供する物品を私的に利用することを禁止する規定も置かれていることが多いと思います。勤務時間外(例えば休憩時間中)であっても、インターネットの私的利用はこの規定に違反する可能性があります。
 社員によるインターネットの私的利用は、こうした職務専念義務や就業規則の規定に違反することになり、懲戒処分の対象となり得ます。

 もっとも、どのような処分(戒告、減給、解雇等)が許されるかは、社員の行為がどの程度悪質かによることになり、一概には言えません。懲戒解雇が認められるのは、悪質性が高いケースに限られますが、実際に懲戒解雇が有効と認められた裁判例はあります。
 また、上記のような一般的な職務専念義務や物品の私的利用禁止規定のみでは、例えば、一日に1〜2通程度の短い電子メールを私的に書いたからといって、こうした義務に違反するとは(裁判所に)判断されない可能性が高いと考えられます。

【社内規程整備の必要性】

 とはいえ、例えば、機密性の高い情報を扱っている会社や部署、個人情報を扱っている部署などでは、職務専念義務等の観点のみならず、セキュリティ上の問題から、例え一通でも私的な電子メールは禁止しなければならないこともあります。さらに、ウェブメールの利用も禁止する必要があるでしょうし、ウェブサイトの閲覧も、ウイルスへの感染防止等のために制限したいということもあるでしょう。
 こうしたケースでは、職務専念義務や上記のような一般的な就業規則の定めだけを根拠にするのでは不十分であり、コンピュータやインターネットの利用に関する社内規定を定める必要があります。
 また、職務専念義務や物品の私的利用禁止という一般的な規定はどうしても適用範囲が不明確になります。そこまでセキュリティを厳格にする必要はないという会社であっても、コンピュータやインターネットの利用に関する社内規定を整備することは、職務専念義務や物品の私的利用禁止の具体的な適用範囲を明確にすることにつながり、望ましいことです。これは従業員のためにもなります。

 社内規程の内容(規制目的や規制内容)は、合理的なものでなければなりません。不合理な規定に基づいて懲戒処分を行った場合、裁判で処分の効力が否定される可能性もあります。あまりに厳しくしすぎて、日常の業務に支障が出るというのでも本末転倒です。
 また、社内規則を定めた場合は、それを従業員に周知するとともに、きちんと遵守するよう日頃から指導等を行っておく必要があります。普段は規則違反の蔓延を放置しておきながら、突然、規則違反を取り上げて懲戒処分を行うというのでは、裁判で処分の効力を否定されても仕方がないでしょう。
 今回のテーマに関連して、従業員の電子メールを、会社が従業員に無断で閲覧することができるかという問題があります。この問題は、次回に取り上げます。

氏名:石井邦尚

生年:1972年生

弁護士登録年・弁護士会:
1999年弁護士登録、第二東京弁護士会所属

学歴:
1997年東京大学法学部卒業、2003年コロンビア大学ロースクールLL.M.コース修了

得意分野等:
米国留学から帰国後に「挑戦する人(企業)の身近なパートナー」となるべくリーバマン法律事務所を設立、IT関連事業の法務を中心とした企業法務、新設企業・新規事業支援、知的財産などを主に取り扱う。留学経験を活かし、国際的な視点も重視しながら、ビジネスで日々発生する新しい法律問題に積極的に取り組んでいる。

所属事務所:
リーバマン法律事務所 http://www.rbmlaw.jp/

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