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取締役の利益相反取引とは

テーマ:役員・株主

2010年6月17日

解説者

弁護士 高橋弘泰

【取締役個人の利益と会社の不利益】

 株式会社の取締役は、会社経営について大きな権限を持ち、責任を担っていることは以前のコラムで述べました。権限を持っているということは、その反面として、権限を利用して不当な利益を得る危険もあるということです。
 たとえば、取締役が、自分の財産を土地や財産を時価よりも高く会社に売ることで、会社は損害を被り、取締役は不当な利益を得ます。


 このように、取締役と会社との間で利益が相反するおそれのある取引を、会社法では「利益相反取引」と呼びます。利益相反取引を行う場合には、取締役会を設置していない会社は、その取引につき重要な事実を開示して株主総会の承認を受けなければならず、取締役会を設置している会社は、取締役会の承認を受けなければなりません。


【利益相反取引の類型】

 利益相反取引の類型としては、(1)取締役が当事者として会社の財産を譲り受けたり、自己の財産を譲渡したり、金銭の貸借をしたりする場合と、(2)会社が取締役の債務を保証するなど、取締役と会社が直接取引するのではないが、会社に損害を与えるおそれがある場合があります。(1)のような場合を直接取引、(2)のような場合を間接取引といいます。
 また、直接取引には、取締役と会社の間の契約だけでなく、会社が取締役の債務を免除したり、会社を保険金受取人とする生命保険契約の保険金受取人を取締役の親族に変更するといったような、会社の単独行為による利益供与も含まれると解されています。
 ただ、取締役との取引であっても、会社が取締役から無償で商品を譲り受けるような場合は、会社に損害はないので利益相反取引にはあたりません。


【承認は具体的に】

 利益相反取引に対する取締役会の承認は、ある程度具体的なものでなければならず、包括的承認はできません。「取締役Aが売却する商品Xを100万円で会社が購入することを承認する」ならOKですが、「会社が取締役Aから商品を購入することを承認する」ではダメです。もっとも、関連会社間の取引のように、反復継続して同種の取引がなされるような場合には、取引の種類・数量・金額・期間等を特定して包括的に承認を与えることは許されます。


 承認に際しては、取引について重要な事実の開示や、相当な説明がなされなければなりません。また、取引が終わった後は、遅滞なく取引についての重要な事実を取締役会に報告しなければなりません。


 このように、利益相反取引については、会社の損害を防ぐために、かなり厳格な要件が課せられています。このことは、取締役が会社に与える影響力の大きさ、権限の強力さを反映したものといえます。


【違反した取引の効果】

 (取締役設置会社の場合)取締役会の承認を得ないで行った利益相反取引の効果は、原則として無効になります。ただし、承認を得ていないことを知らずに利害関係を持った第三者に対しては、会社は無効を主張できないとされています。
 また、会社の利益保護が利益相反取引を規制することの目的ですから、取締役の側から取引の無効を主張することは許されないと解されています。
 承認を得ない利益相反取引により会社に損害が生じた場合は、その取引を行った取締役とその取引の相手方として会社を代表した取締役は、損害賠償責任を負います。


 取締役会の承認を得ていた場合でも、結果的に会社に損害を与えた場合には、その取引を行った取締役は、会社に対して損害賠償責任を負うことになります。また、取締役会で承認に賛成した取締役も、利益相反取引を行った取締役と連帯して損害賠償責任を負うことになります。この場合、議事録に異議を留めなかった取締役は、承認決議に賛成したとの推定が働くので、注意が必要です。


氏名:高橋弘泰

生年:1970年生

弁護士登録年・弁護士会:
2009年弁護士登録、第二東京弁護士会所属

学歴:
1994年東京大学法学部卒業

得意分野等:
東京都に勤務の後、大宮法科大学院に入学し、法曹を目指す。行政事件、刑事事件など公益的な活動に力を入れる一方、民事分野でも敷居が低く利用しやすいと同時に、内容的には決して妥協しない良質な法的サービスの提供に努めていきたいと思います。

所属事務所:
法律事務所フロンティア・ロー http://frontier-omiya.jp/index.html

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