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法律コラム


[人事・労務|2010年2月25日]
弁護士 石井邦尚

自転車通勤中の事故に労災は適用される?

弁護士 石井邦尚

【通勤途中の事故と労災】

 「通勤」中の事故には、労災保険が適用され、一定の保険給付が受けられます。
 ところが、「通勤」中の事故といえるのかどうかが問題となるケースが少なくありません。労災保険で保護される「通勤」といえるには、

  1. 就業に関する住居と就業場所を往復、あるいは別の就業場所への移動、単身赴任先からの帰省などであること
  2. 合理的な経路及び方法によるものであること

 が必要です。
 自転車通勤も、通常は「合理的な方法」の一つであり、他の要件を満たせば、労災保険が適用されます。
 もっとも、通勤経路から「逸脱」したり、通勤が「中断」した場合は、それ以降はたとえ通勤経路に戻ったとしても「通勤」とは認められず、労災保険は適用されないことに注意が必要です。例えば、仕事帰りに飲みに行く、映画を観る、自動車教習所に通う、などの場合は、労災保険は適用されません。通勤経路とは無関係のサイクリングコースへ寄り道したり、スポーツジムに行ったりした場合も、以降は労災保険が適用されなくなることがあります。
 ただし、少し話がややこしくなりますが、さらに例外があり、日常生活に必要な最小限度の行為をする場合は、その逸脱・中間の間は除いて、通勤経路に戻った以降も「通勤」として労災保険が適用されます。具体的には、日用品を買うためにスーパーに立ち寄る、クリーニング店に立ち寄る、通勤経路上の店でごく短時間、コーヒーやビールなどを飲む(自転車通勤ではビールを飲んではいけませんが)、病院などでの受診、といったケースです。
 自転車通勤は、電車などを利用するよりも、事故のリスクは高いと思われます。もちろん、事故に遭わないように安全運転を心がけることが第一ですが、通勤途中の「寄り道」により、万が一の事故の場合に労災保険が適用されず「自己責任」となるリスクがあることは、知っておいてください。

【交通費の節約はできる?】

 「自転車通勤で、交通費も節約できる!(小遣いが増える!)」と思っている方は、考え直す必要があるかもしれません。
 交通費は、会社の就業規則等に基づいて支払われるもので、賃金の一種です。ときどき誤解されることがありますが、交通費の支払いは法律で求められているものではなく、会社が任意で規定を定めて支払っているものです。当然、どのような規定を設けるかも、会社が決めます。
 よくある規定は、合理的な経路の公共交通機関の料金の「実費」を支払うという内容で、社員に通勤手段を申請させた上で、定期券代相当分を支払うというものです。この場合、電車通勤やバス通勤という申請のまま、定期券を購入せずに定期券代を受け取っていると、後からその分の返還を求められるだけでなく、「虚偽の申告により、本来受け取れないはずの賃金を受け取っていた」として、懲戒の対象になる可能性があります。あまりに悪質であれば、最悪、懲戒解雇の可能性も否定できません。したがって、自転車通勤をすることは、会社に伝える必要があります。
 また、就業規則等の文言上は、「公共交通機関を利用した場合の金額を支給する」など、公共交通機関を利用してもしなくても、一定の金額が支払われるかのように読める規定となっていることもあります。しかし、このような文言となっていても、会社の解釈としては、実費支給であり、実際の運用もそうなっているかもしれません。自分勝手に解釈すると、後でトラブルになりかねませんので、事前に会社に相談しておくべきです。
 なお、悩ましいのが、普段は自転車通勤だけれども、雨の日など、たまに電車やバスを使うといったケースの交通費の扱いです。ここまで想定して規定を設けている会社は多くないと思います。例えば、1ヶ月あたり定期券代相当分を上限として実費を支払う、定期券代相当分を日割り計算する、といったあたりが合理的でしょうか。しかし、会社からしてみれば、社員の都合で、賃金の計算等に余計な手間(=コスト)がかかることであり、難色を示されるかもしれません。一方的に会社に要求するのではなく、よく相談することが大切です。

【その他の注意点】

 自転車通勤が就業規則等で禁止されていることもありますので、確認が必要です。
 また、明確に禁止されていなくても、例えば、あまりに長距離を通勤するため、疲れて勤務に差し支えるようであれば(会社にそのように評価されてしまえば)、それ自体により勤務評定が下がったり、ひどい場合は懲戒の対象となることもあり得ます。自転車通勤に対しては、(1)危険ではないか、(2)疲労で勤務に差し支えるのではないか、といった考えを持つ人、会社がまだまだ多いのが現実です。そういった見方を打ち破るためにも、「自転車通勤者の方が健康で、朝からばりばり働いて業務成績がよい」と言われるくらいになりたいものです。
 なお、自転車でも飲酒運転は道交法で禁止されており、酒酔い運転の場合、5年以下の懲役又は100万円以下の罰金が科せられます。昨今の飲酒運転に対する厳しい見方を前提とすれば、自転車通勤中に飲酒運転をしたり、さらに飲酒運転で事故を起こしたような場合に、厳しい懲戒処分がなされても不思議ではありません。そのようなことのないよう、「飲んだら乗らない」は自転車でも実践してください。

氏名:石井邦尚

生年:1972年生

弁護士登録年・弁護士会:
1999年弁護士登録、第二東京弁護士会所属

学歴:
1997年東京大学法学部卒業、2003年コロンビア大学ロースクールLL.M.コース修了

得意分野等:
米国留学から帰国後に「挑戦する人(企業)の身近なパートナー」となるべくリーバマン法律事務所を設立、IT関連事業の法務を中心とした企業法務、新設企業・新規事業支援、知的財産などを主に取り扱う。留学経験を活かし、国際的な視点も重視しながら、ビジネスで日々発生する新しい法律問題に積極的に取り組んでいる。

所属事務所:
リーバマン法律事務所 http://www.rbmlaw.jp/

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