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法律コラム


[契約書|2009年7月23日]
弁護士 石井邦尚

会社の文書管理を考える〜契約書や議事録などの管理

弁護士 石井邦尚

1.会社にある様々な文書

 会社にはいろいろな性質の文書があります。どのような視点から、どのような目的で文書管理をするかによって、いろいろな文書の分類の仕方があり得ます。みなさんの会社でも、整理しやすいように工夫しながら、文書を分類して管理していると思います。
 今回は、法的側面から文書管理を考えるという観点から、(1)秘密文書、(2)対外的文書、(3)意思決定文書に分けて注意すべきことを検討します。このうち、(1)秘密文書の管理は前回検討したので、今回は(2)対外的文書と(3)意思決定文書を検討します。

2.対外的文書〜契約書など、契約に関する文書

 (1)会社外との関係で作られる文書を、ここでは「対外的文書」と呼ぶこととします。  対外的文書の代表は契約書です。また、受発注書なども、当事者間の契約内容を記した文書として、契約書と同様に重要です。

 (2)契約書などの内容の管理
 契約書などは、単に「保存」しているだけでは不十分です。いつでも取り出せることは当然の前提として、わざわざ契約書を見なくても、重要な内容はすぐにわかるようにしておくべきでしょう。
 全ての取引先と同じ条件で取引できればよいのですが、残念ながら、そのような例は多くありません。そうすると、取引先毎に少しずつ異なる内容に応じて、業務手順などを変えていく必要があり、いちいち契約書を確認するわけにもいかないからです。
 方法としては、一覧表にしたり、マニュアルに組み込んだりといったことが考えられます。「そんなことしなくても、何も問題は生じていない」という会社も(多く?)あるでしょうが、それは「担当者の記憶」が活用されている結果だと思います。しかし、システマティックに少し工夫することで、間違いが減り、担当者の負担も減るといった効果が期待できるかもしれません。
 なお、普段はあまり意識されませんが、契約を終了する場合の手続にも注意が必要です。例えば、一年ごとに自動更新され、途中解約には違約金が発生するような契約になっていることを認識しておらず、いざ解約しようとするときになって慌てるといったトラブルも見られます。

 (3)必要な文書などが作成されていることの管理
 「契約書」という名称の書面は「基本契約書」のみ作成し、あとは受発注書などのやり取りで取引をしていくということもよくあります(本連載第3回「意外と知らない契約書の基本(4)〜基本契約書とは」参照)。こうしたケースでは、受発注書を保存しておくことはもちろん、受発注書がきちんと発行されていること、必要事項が記載されていること(逆に余計な事項が記載されていないこと)なども、日々チェックしていく必要があります。こうしたチェックも、システマティックに行い、ミスの減少と業務の効率化を図るべきでしょう。
 また、契約書の内容を変更するには書面によることが必要、第三者に業務(の一部)を委託する場合には書面による同意が必要といった形で、「書面」を要求する契約はよくあります。こうした契約できちんと書面を作成しないと、後々トラブルになりかねませんので、しっかりとした管理が必要です。

3.対外的文書2〜製造物責任との関係

 契約書以外にも、会社外との関係で作られる文書はいろいろと考えられますが、そのうち、特に注意すべきものに、製造物責任に関連するような文書・資料があります。
 製造物責任法により、製造業者等は、製品の欠陥について、重い損害賠償責任を課されています。この損害賠償が請求される期間は、「製造物を引き渡したときから10年」です。したがって、訴訟に備えるために、最後の製造物引渡から、少なくとも10年間は関連する文書・資料を保存しておく必要があります。一般的な会社では、10年間も保存している書類は限られると思いますが、製造物責任が問題となり得る会社は注意してください。

4.意思決定文書

 会社は日々さまざまな意思決定を行いながら事業を遂行しています。ある程度重要な意思決定については、稟議書や重要な会議の議事録、取締役会議事録などが作成されます。
 最近では、株主代表訴訟による取締役の責任追及や、会社法・金融商品取引法で要請される内部統制システムの構築の場面などで、取締役の意思決定(経営判断)や業務執行の適切性自体に加えて、適切性がきちんと担保される「仕組み」ができていたか、といったことが問われるケースが増えてきました。取締役らに総額800億円以上の損害賠償責任を認める判決が出されたことで有名な大和銀行事件(後に控訴審で和解)も、こうした仕組み(内部統制体制)を構築していなかったことが問題とされたものです。
 そして、「適切性を担保する仕組み」の重要な要素として、意思決定や業務執行が適切に記録され、意思決定や業務遂行を行った者以外の者でも検査できるようなものとなっていることが必要となります。
 議事録などでは、意思決定の結果だけでなく、どのようなことが議論されたかといった、意思決定の過程も記録することが重要です。それにより、後で訴訟になった場合に、裁判官は、真剣に会社のために検討されたということを確認できるからです。
 そして、そうした議事録などに加え、意思決定の前提となった事前の調査資料なども保存しておくべきです。そもそも事前に十分に調査せず、あやまった事実認識の下に議論していたのでは、いくら真剣に議論しても適切な判断は下せないからです。
 このように、意思決定文書は単に保存すればよいのではなく、その内容や、一緒に保管する資料も含めて、適切に管理することが必要なのです。
 どんなに小さな会社でも、取締役の責任が問題とされる紛争は見られます。また、紛争対策というだけでなく、日常の業務執行をより適切なものとするためにも、適切に議事録等を作成し、文書を保存しておくことは意味があることでしょう。

(2009年7月執筆)

氏名:石井邦尚

生年:1972年生

弁護士登録年・弁護士会:
1999年弁護士登録、第二東京弁護士会所属

学歴:
1997年東京大学法学部卒業、2003年コロンビア大学ロースクールLL.M.コース修了

得意分野等:
米国留学から帰国後に「挑戦する人(企業)の身近なパートナー」となるべくリーバマン法律事務所を設立、IT関連事業の法務を中心とした企業法務、新設企業・新規事業支援、知的財産などを主に取り扱う。留学経験を活かし、国際的な視点も重視しながら、ビジネスで日々発生する新しい法律問題に積極的に取り組んでいる

所属事務所:
リーバマン法律事務所 http://www.rbmlaw.jp/

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