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『会社社長の相続』

テーマ:事業承継・再生・廃業

2006年10月12日

解説者

弁護士 石渡真維

最近、立て続けに会社社長の相続のご相談を受けました。
社長の相続は、会社財産と個人財産の混同、会社を承継する長男とそうでない次男の温度差などがあると複雑化します。骨肉の争いに発展してしまうと、会社自体の看板に傷がついたり、会社の分裂を招いてしまう可能性もあります。
良くあるケースで考えてみましょう。


1 長男が会社社長を継ぐケース(会社は株式会社を前提とします)

この場合、長男の会社承継がスムーズに行くよう遺産分割を工夫する必要があります。 家族経営の色彩の強い会社では、会社の財産と社長個人の財産が混ざっていることが多くあります。
調べてみたら会社名義の事務所が、社長(父親)名義の土地の上に建っている、なんてこともあります。
できれば、会社の事務所の底地は事業のために長男が承継するとスッキリします。また、社長所有の会社株式を長男に全部とは言わなくても多めに相続させる方が、後の会社経営をスムーズにします。
そのため、相続人全員が話し合い、相続額に不均衡が出ることについて了解してもらうか、相続額の不均衡を平らにするために長男がお金で精算をするなど、遺産分割協議を行う必要があります。長男が不均衡をお金で精算する場合、相続人の合意があれば支払を分割で行うことも当然できます。
なお、長男が会社社長になることについては、遺産分割協議で決まるものではなく、会社の株主総会で選任をします(登記のために総会議事録を作成する必要があります)。株主が相続人だけの場合は、遺産分割の協議の席で、事実上一緒に行うことはできるでしょう。


2 赤字会社で、子どもが社長の保証債務を引き継ぎたくないケース

社長が会社の債務についてした「個人保証」は相続の対象になるのでしょうか?答えはYESです。
学説には、個人保証は社長としての地位に基づく個人的な性質があるため、相続の対象にならないとの説もありますが、裁判上は相続されるものとして扱われています。
そこで相続人は社長の個人保証を引き継ぐことになります。
ただし単に「赤字」と言っても将来的には黒字に転換し、会社としての運営には問題がない場合もありますので、慎重に検討する必要があります。保証は、支払が滞った時に現実化しますので、会社の支払ができている間は徐々に債務も減っていくこととなります。
しかし赤字状態が長く、社長自身も会社を畳むことを考えていた矢先のことだったような場合は相続をしない(=相続放棄)選択を検討する必要があります。
また相続財産を計算し、社長名義の自宅や預貯金及び借入等を合わせたところ社長のマイナス財産(保証や借入)の方が多い場合も、相続放棄を検討する必要があります。
相続放棄は、被相続人が亡くなったことを知ったときから、原則として3ヶ月以内(ただし例外はあります。)に家庭裁判所に申し立てる必要があります。
また、相続放棄は、全ての相続財産を放棄するため、「自宅は相続したいが保証債務は要らない」という選び方はできません。全てを放棄するか、全てを相続するかしか選択肢はありませんので、ご注意ください。


3 社長たる者、元気な間にすべきこと

社長たる者、相続の混乱を避けるために日頃から個人財産と会社財産の管理をきちんと分けることが大切です。例えば自分の財布から会社のために使ったお金があれば、会社に貸付の形で計上しておく必要があります。備品の購入等も個人の財布ではなく会社の経理から処理しましょう。
また、生前に少しずつ長男など会社承継者に財産を贈与しておくことも可能です。これは税金対策との兼ね合いもありますので、計画的に実行する必要があります。
そして保証債務などマイナスの財産については、その存在と内容を家族に伝えておくことや、遺言を残すことが大切です。
遺言は何度でも書き替えられますし、書いてみることで問題点や将来像が見え、安心して老後を生活することもできます。まずは遺言を書いてみてはいかがでしょうか。


(2006年9月執筆)


弁護士 石渡真維 いしわたり まい

弁護士(第二東京弁護士会所属)
1999年 上智大学法学部卒業
2000年 司法試験合格
2002年 弁護士登録
現在 法律事務所オーセンス、パートナー弁護士
       〒206-0032 港区六本木3丁目2番24号
       http://www.authense.jp/

【担当業務】
1 企業法務一般 契約書作成および確認業務
            労働、人事、セクシュアル・ハラスメント問題等のアドバイス
            不動産業務等に関するアドバイス及び訴訟
            製造物責任に関する訴訟
            民事再生、破産申立等
            株主総会対策等
            その他、知的財産に関係する問題一般
2 一般民事事件 離婚、相続等家事事件一般
            消費者問題、労働問題等一般
            セクシュアル・ハラスメント問題
            破産、民事再生、任意整理等多重債務問題
3 刑事事件     刑事事件一般および少年事件

【講演等】
地方公共団体、各種企業等で、講師等を行っている。
最近の主な講師内容
2004. 9.26 企業における賃貸住宅災害対策セミナー講師
2005. 1.19 相模原市職員人権研修
2005. 2.13 日本ナレッジセンター アカデミックセクハラ講演
2005. 5.31 産業労働局男女平等推進研修
2005. 8.30 東京都特別区人権研修
2005.10.13 東京都労働相談情報センター ポジティブアクションリーダー養成講座
2005.10.15 私立大学におけるアカデミックセクハラ講演
2005.11. 8 東京都歴史文化財団研修セクハラセミナー
2006.1. 18 東京都歴史文化財団研修セクハラセミナー

【所属会等】
関東弁護士連合会 法教育委員会委員
国学院大学ロースクール 学習アドバイザー
千葉県主催、DVを考える若者フォーラムインちば実行委員会委員(2004年)
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