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新信託法について

テーマ:経営ビジョン・相談

2007年4月19日

解説者

弁護士 赤司修一

新信託法の制定経緯

 現行の信託法は、大正11年に制定されて以来、80年以上にわたり実質的な改正がなされることはありませんでした。しかし、その後の社会、経済活動の活発化、多様化に伴い、信託法が制定された当時には想定されなかったような形態での信託の活用がなされるようになったことから、この変化に対応できるように信託法を改正する必要性が高くなっていました。そして、第164回国会(通常国会)に「信託法案」(以下「新信託法」といいます。)および「信託法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案」が提出され、第165回国会(臨時国会)で継続審議になっていた前記各法案が平成18年12月8日に法律として成立し、同月15日に平成18年法律第108号及び第109号として公布されました。新信託法は、公布の日から起算して1年6月を超えない範囲内において政令で定める日から施行されます。


 今回の改正は、金融、資産流動化、投資、事業経営など様々な方面での活用が考えられる商事信託分野のみならず、少子高齢化社会の進展に伴い、今後はその社会的需要が一層高まることが予想される民事信託分野、民間ボランティア活動の受け皿としての発展が期待される公益信託分野など、信託利用のあらゆる場面を見据えて、現在及び将来の社会的経済的ニーズに柔軟かつ的確に対応できるルールの法制化を目指してなされたものです。


 現行信託法は、条文数が全65ヵ条(公益信託を除きます。)であるのに対し、新信託法は、全271ヵ条に及びます。今回の新信託法の要点としては、(1)当事者の私的自治を基本的に尊重する観点から、現行信託法の過度に規制的なルールを改め、受託者の義務の内容を適切な要件の下で合理的にしていること、(2)受益者のための財産管理制度としての信頼性を確保する観点から、受益者の権利行使の実効性、機動性を高めるための規定や制度を整備していること、(3)多様な信託の利用ニーズに対応するため、新たな類型の信託の制度を創設していることを挙げることができます(NBL No.850「新信託法の解説」)。


 この新信託法は、あらゆる分野での活用が期待されています。商事信託分野についてはもちろん、民事信託分野においても、(1)財産管理手段としての活用、(2)親族等の扶養手段としての活用、(3)財産承継手段としての活用が考えられます。
 これは、例えば、(1)については、広大な土地を有する者が自己を委託者兼受益者として、信頼できる開発業者等を受託者として、土地を信託目的とする信託契約を締結することにより開発からの全ての業務を一括して受託者に委ねることで、土地の価値を向上させることができ、一つの財産管理方法として期待されています。また、(2)については、親族等の扶養の手段として、扶養者自身が高齢化して判断能力がなくなってしまった場合や扶養者自身が財政状態が悪化して扶養することができなくなる場合があり、このようなリスクについても信託制度を活用すること(例えば、委託者の財産からの倒産隔離機能)により、委託者の将来の状況の変化等に影響されることがない扶養方法となると思われます。そして、(3)については、生前贈与または遺言によらない財産承継手段としての活用が信託を利用することにより可能になります。


 このように新信託法の制定により、現在は、新しい信託制度への期待とその活用方法が検討、模索されている状況です。


(2007年3月執筆)


弁護士 赤司修一 (アカシシュウイチ)
昭和50年3月生まれ
日本大学法学部卒
得意分野 民事系全般
現在さくら共同法律事務所所属

このコンテンツは「法律情報メールマガジンLIMM」より提供されております。
e-hoki.com LIMMにおける掲載時点(2007年3月20日掲載分)での執筆物であるため、その後の法改正等により、情報が古くなっている場合も、あり得ます。

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