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「保証債務と消滅時効」

テーマ:契約・取引

2007年4月12日

解説者

弁護士 浜田慶信

 今回は保証債務一般についてお話しした後で、消滅時効との関係についても触れたいと思います。


 保証債務とは、平たく言いますと、例えば友人あるいは自分の会社でもよいですが、自分以外の人がお金を借りるときに(実際にお金を借りる人を「主たる債務者」と言います。)、お金を貸す人に対して、主たる債務者が支払をできない場合には自分が代わりに支払いますという約束をすることです。ですから保証債務は主たる債務者がきちんと支払を続けているときは何も怖くないのですが、何かの事情で主たる債務者が支払をできなくなってしまうと、保証人は、自分では全然お金を使っていないのにもかかわらず代わりに支払をしなくてはいけないという非常に恐ろしいことになってしまいます。実務の現場では保証債務は通常「単なる保証債務」ではなく、債権者に有利な「連帯保証債務」ですので、以下では連帯保証債務を想定してお話しします。


 事業者の方ですと、会社がお金を借りるときに、銀行から社長さん個人が保証をするように求められたことがあるかもしれません。逆に、取引先の経営状態が悪化したために、今後売却する商品の代金について取引先の社長個人に保証をしてもらわないと取引を続けられないという状況もよくありそうです。債権者として保証人をつけてもらった場合に、注意をしなくてはいけないのが消滅時効です。保証人に資産が何もなければ保証をつけてもらった意味がないのですが、仮に保証人に充分な資産があっても、保証人がついたことで安心してしまって主たる債務者に対して請求を怠っていると、一定の期間の経過により主たる債務が時効により消滅してしまいます。そればかりでなく主たる債務が時効により消滅してしまうと、それと連動して保証人に対しても請求をすることができなくなってしまいます。


 また、たとえ保証人が保証債務の存在を認めたとしても、その効果は主たる債務には及ばず、主たる債務の時効を中断しません。いったんは債務の存在を認めた保証人が、後から主たる債務について消滅時効が成立した場合には、時効を援用して保証債務の支払を拒むこともできてしまうのです。


 一般的には請求権の消滅時効期間は10年とされていますが、法律では請求権の種類によって消滅時効の期間を短縮しているので、10年もあるのだからとノンビリ構えていてはいけません。例えば、卸売商が売却した商品の代金は2年間で時効消滅してしまいます。飲食店の料金も1年間で時効消滅です。ツケで飲んで(今はツケなんてあまりないでしょうか)1年間ほっておくと支払う必要はなくなってしまうんですね。実は弁護士費用も2年間で消滅してしまいます。だいたい弁護士は依頼者が費用を支払ってくれなくても訴訟を起こしてまで請求することはあまりやりませんので、だからと言って踏み倒そうなんていう考えは絶対に起こさないでくださいね。お願いいたします!


 話がそれましたが、1年や2年なんていうのはうかうかしているとあっという間に過ぎてしまいます。ですから時効の管理はきちんとしておく必要があります。具体的にはしかるべきときに時効中断の措置をとらなくてはいけないということです。この点勘違いされている方が少なくないのですが、内容証明郵便を出して請求しただけでは完全には時効は中断しないのです。裁判所が関与する法的な請求を行うことなどが必要となってくるのです。


 保証人がいる場合における主たる債務者及び保証人双方に有効な時効中断の措置をまとめると、
1)主たる債務者に対する法的な請求(差押えや仮差押えでもOK)
2)主たる債務者による債務の承認
3)連帯保証人に対する法的な請求(ただし1と違って差押えや仮差押えではダメ)
ということになります。


 この3つのうちのどれかがあれば、他方(主たる債務者か連帯保証人)に対しても時効中断の効力が及ぶことになります。ただし以上のことは連帯保証債務について当てはまることであって、単なる保証債務の場合には、上記3)があっても主たる債務の時効を中断しませんのでご注意ください。


以上


(2007年4月執筆)


弁護士 浜田慶信

1971年 2月  川崎市生まれ
1995年 3月  一橋大学法学部卒業
1999年10月  司法試験合格
2000年 3月  京都大学大学院法学研究科卒業
2001年10月  弁護士登録(横浜弁護士会)
現在 横浜ランドマーク法律事務所勤務

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