2007年3月22日|弁護士 米村俊彦
期間雇用労働者との労働契約について
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以前、期間雇用労働者(一般に契約社員といわれる、期間の定めのある労働契約により労働する労働者のことです)の労働契約期間満了にあたり、雇い止め、つまり契約を更新しないことが無条件に許されるわけではないことに触れました。
最近に限らず、契約社員の雇い止め(期間満了による契約の打ち切り)の是非について相談を受けることがよくありますが、その際感じるのは、労働者との契約条件が曖昧なままになっているケースが多いということであり、このことがトラブルを招いていることも多いように思います。そこで今回は、有期労働契約の締結を慎重にしていただきたいという趣旨で、厚生労働省が告示している有期労働契約についての基準をご紹介したいと思います。
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有期労働契約の締結、更新・雇い止めについては、厚生労働省が平成12年に指針を出していましたが、平成15年に告示による基準(「有期労働契約の締結及び更新・雇い止めに関する基準」)に格上げされました。これにより、厚生労働省がこの基準に違反する企業に対して必要な助言や指導を行えることになりました。
この基準は、その名の通り有期労働契約の締結、更新・雇い止めについて使用者が行うべきことについて定めたものであり、これによりトラブルを防止し、労働者にとって良好な労働条件が確保されることを目的としたものです。以下、基準の具体的内容について説明します。
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- (1)契約締結時の明示事項
使用者は、有期労働契約の締結に際し、契約の更新の有無を明示し、更新する場合がある旨を明示したときには、更新するか否かの判断の基準を明示しなければなりません。
更新の有無とは、例えば、「必ず更新する」「更新はない」「更新する場合がある」などです。このような情報を予め与えることで、労働者に将来の更新について予見可能性を与え、もってトラブルを防止することを期したものです。
更新するか否かの判断の基準とは、例えば、「契約期間満了時の会社の経営状況、業務量により判断する」「労働者の勤務成績、勤務態度により判断する」等です。
このような明示事項については、特に書面で明示することまでは定められていませんが、トラブルの防止の観点からは、労働条件通知書といった書面により通知することが必要であると思います。
なお、これら契約の締結に際して明示した事項について、労働者との契約後に変更する場合には、使用者は速やかに変更した内容を明示しなければならないとされています。 - (2)雇い止めの予告
使用者は、契約期間満了にあたり、契約を更新しないこととしようとする場合には、少なくとも期間満了日の30日前までにその予告をしなければならないとされています。
ただし、この予告が必要なのは、当該労働者が雇い入れの日から起算して1年を超えて継続勤務している場合で、かつ、あらかじめ当該契約を更新しないとは明示されていない場合です。もっとも、継続労働期間が1年未満であっても、予告をすることは差し支えありません。
なお、契約期間が30日未満である契約の場合には、期間満了日の30日前までに予告をするということは不可能ですが、その場合でもできるだけ速やかにその予告をすることがトラブル防止につながります。
この予告についても、書面で行うことが望ましいと言えます。書面で行うことにより、予告をしたことを明確にできます。 - (3)雇い止めの理由の明示
契約期間満了にあたり契約が更新されない場合に、労働者が、更新しないこととした理由についての証明書を請求したときには、使用者は遅滞なくこれを交付しなければなりません。
証明書の交付の対象となっているのは、上記(2)と同様に、当該労働者が雇い入れの日から起算して1年を超えて継続勤務している場合で、かつ、あらかじめ当該契約を更新しないとは明示されていない場合です。
この証明書に記載すべき理由は、当たり前のことですが、「契約期間が満了したから」という理由ではいけません。例えば,「会社の事業規模を縮小するため」「担当業務が終了したため」「業務遂行能力が不十分であるため」などです。 - (4)契約期間についての配慮
使用者は、契約を1回以上更新済みであり、かつ雇い入れの日から起算して1年を超えて継続勤務している労働者との契約を更新しようとする場合においては、当該契約の実態及び当該労働者の希望に応じて、できる限り契約期間を長くするよう努めなければなりません。
なお、契約期間の上限は平成15年の労働基準法改正(平成16年1月1日施行)により、原則として3年とされています(一定の場合には上限は5年となります)。
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厚生労働省の基準の概要は、以上の通りです。契約期間の定めのある労働契約において、更新があるか否かは労働者にとって重大なことである場合が多く、それゆえ、「最初の話と違う」といったトラブルが後を絶ちません。労働環境の多様化により、このようなトラブルは今後も増えることが予想されます。転ばぬ先の杖の一つとして、上記の基準により慎重に労働契約を締結することが必要であると思います。
(2007年3月執筆)
昭和51年4月
兵庫県神戸市生まれ
平成11年3月
上智大学法学部卒業
平成12年4月
司法研修所入所(54期)
平成13年10月
弁護士登録(第二東京弁護士会)
現在,栄枝総合法律事務所勤務
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