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取引先が民事再生手続を申し立てた場合

テーマ:契約・取引

2004年6月 3日

解説者

弁護士 人見勝行

近時、民事再生手続が日常的に利用されています。大都市の裁判所では、民事再生法の趣旨を実現するために、専門部が設けられ、非常に迅速かつ定型的に手続が進行します。債権者としては、機会を逃すと、本来は請求できたはずのものが請求できなくなってしまうという事態も生じかねません。そこで、以下、取引先が民事再生手続を申し立てた場合に、留意すべき点を簡潔にご説明致します。


一般的には、民事再生手続の申立と併せて、保全処分の申立が行われます。そして、保全処分が行われると、前日までに生じた原因に基づいて生じた債務の弁済が禁止されるわけですが、少額債権(例:10万円以下)の弁済や、リース料債務の弁済は例外的に禁止されない運用がなされています。そこで、自社の有する債権が、これらの債権である場合には、積極的に請求をすることが考えられます。念のため、債務者に保全処分のなされた決定書の写しをもらって下さい。


また、再生手続申立後、再生手続開始決定までの間になされた取引に基づいて生じる債権は、開始決定がなされると再生債権となってしまい、後に全額の支払を受けるためには改めて手続が必要になりますので、この間は、できるだけ現金取引によるか、開始決定までに弁済をしてもらうことが必要です。


再生手続開始決定がなされると、同時に、再生債権の届出期間が定められます。そして、同期間内に債権の届出をしないと、様々な不利益を受けることになりますから、裁判所から送られてくる開始決定により、届出期間を確認して下さい。また、金額についても正確に記載する必要があります。届出に際して、請求書の控えなどにより正確な金額を算出し、さらに請求書の控えの写しを添付するなどすれば、再生債務者に金額を否定される危険は減少します。なお、届出に際して、再生債権ではないものを再生債権として届け出た場合、無用のトラブルを生じることがありますのでご注意ください。例えば、本来は共益債権と解釈しうるものを再生債権として届け出てしまった場合、再生債務者の側に「自ら再生債権であることを認めたのだから、再生計画に従わない限り弁済することができない。」という主張をされかねません。


また、届出書には、担保権の実行で不足する見込額を記載する欄があるのですが、ここの金額の記載にも注意が必要です。仮に、担保権の額を過大に評価すれば、再生計画による配当分にまわる債権額が圧縮されるため、少額の配当弁済しか受けられないことになります。他方、担保権の額を過小に評価すれば、担保権に関する協定を締結して担保権に相当する部分について優先弁済を受けようとするときに不利となりかねません。したがって、簡易鑑定をするなどして、担保権の実行で不足する見込額を合理的に算出することが望ましいでしょう。


さらに、相殺の主張には時期的な制限がありますので、ご注意ください。再生手続開始決定前に生じた原因に基づく債権をもって、再生債務者の自社に対する債権と相殺しようとする場合には、債権届出期間内に相殺の意思表示をしなければならないのです(民事再生法第92条1項)。後日に紛争が生じた場合に備えて、相殺通知は必ず内容証明郵便の方式で郵送し、配達証明を取得して下さい。


実務では、弁済禁止の例外として指定される少額債権の金額が10万円以下である場合には、金10万円を超える債権であっても10万円を超える部分について放棄する限り、金10万円の弁済を受けることができる例が多くありますので、この扱いを再生債務者にするよう働きかけ、早期に回収を図ることも検討の余地があります。


最後に、再生計画案に特に反対する理由がないのであれば、議決権を賛成として行使することを怠らないようにした方が良いでしょう。再生計画案可決のためには、再生債権者の有する再生債権(議決権)総額の2分の1以上の賛成だけでなく、再生債権者の頭数の過半数という要件も満たさなければなりませんので、他に大口債権者がいるからといって手続に無関心でいると、再生計画案が可決されない場合があります。この場合、破産手続に移行しても、極めて少額ないしは無配当という事態もありえますので、注意が必要です。


このコンテンツは「法律情報メールマガジンLIMM」より提供されております
e-hoki.com LIMMにおける掲載時点(2003年12月24日掲載分)での執筆物であるため、その後の法改正等により、情報が古くなっている場合も、あり得ます。

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