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コンテンツ基本法とレコード輸入権

テーマ:著作権

2004年12月 9日

解説者

弁護士 小川憲久

このたび、「コンテンツの創造、保護及び活用の促進に関する法律」が国会で可決され、成立しました。この法律は基本法であり、国や事業者の遵守すべき基本理念を掲げるもので、具体的な権利義務を規定するものではありません。しかし、文化芸術ではなく教養・娯楽を担うコンテンツを正面から対象とした基本法として意義があるものといえます。


この法律は、第1条に「コンテンツの創造、保護及び活用の促進に関し、基本理念を定め、・・・国民生活の向上及び国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする。」と規定しています。また、この法律にいう「コンテンツ」とは、映画、音楽、演劇、文芸、写真、漫画、アニメーション、コンピュータゲームその他の文字、図形、色彩、音声、動作、映像をコンピュータを介して提供するプログラムで、人間の創造的活動により生み出されるもののうち、教養又は娯楽の範囲に属するもの、とされています。つまり、教養・娯楽の範疇に入るコンテンツの創造、保護、活用をいう点にこの法律の特色があります。そして、国は、(1)制作者の創造性が十分に発揮されること、知的財産権が適正に保護されること、円滑な流通が促進されること等を通じて、国民生活の向上に寄与し、多様な文化の創造に資すること、(2)コンテンツ事業者の自立的発展が促されること等により経済社会の活力の向上及び持続的な発展に寄与すること、(3)高度情報ネットワーク社会形成基本法、文化芸術振興基本法、消費者保護法の基本理念に配慮すること、を基本理念として施策の策定、実施をしなければならないとしています。さらにその上で、国のなすべき施策について、基本的施策、コンテンツ事業促進に必要な施策、行政機関の措置に分けて、指針をあげています。


ところで、同じ国会で、著作権法の改正がなされ、いわゆるレコード輸入権が創設されました。この問題については前にも取り上げましたが、音楽レコード(CD)について、国内販売版と海外販売版を区別し、国内販売版と同じ内容の海外販売版については、7年内の政令で定める期間内は輸入を禁止することができるというものです。法文上、対象となるレコードは国内販売版と国外販売版の区別のあるものですから、日本の楽曲に限定されず、日本国内で正規の販売がなされている洋楽についても並行輸入は禁止されることになります。問題は、わが国が先進国で唯一、レコードの小売り価格について再販価格維持が認められていることにあります。つまり、今まで並行輸入品との関係で事実上行われていたレコード価格の自由競争が不可能となり、消費者は世界で一番高いといわれる日本のメーカー指定価格で購入せざるを得なくなるということです。


レコードはコンテンツの代表といえます。コンテンツ基本法は、「国は、・・・社会経済情勢の変化に伴うコンテンツの利用方法の多様化に的確に対応したコンテンツに係る知的財産権の適正な保護が図られるよう、コンテンツの公正な利用に配慮しつつ、権利の内容の見直しその他の必要な施策を講ずるものとする。」(第11条)とし、「国は、コンテンツ事業の振興に関する施策を講ずるに当たっては、消費者の利益の擁護及び増進が図られるよう配慮をしなければならない。」(第21条2項)としています。レコード輸入権の創設は事業者の利益の増進を図るもので、現在消費者が享受している自由競争の利益を喪失させるものです。コンテンツ基本法に定める「消費者の利益の擁護及び増進が図られるよう配慮しなければならない」とは何を意味するのでしょうか。


<参考>
コンテンツの創造、保護及び活用の促進に関する法律(首相官邸・官報ダイジェスト)


小川憲久
 役職
   (財)ソフトウェア情報センター 特別研究員
   法とコンピュータ学会 理事
   東京工業大学非常勤講師(1998-2002)

このコンテンツは「法律情報メールマガジンLIMM」より提供されております。
e-hoki.com LIMMにおける掲載時点(2004年6月11日掲載分)での執筆物であるため、その後の法改正等により、情報が古くなっている場合も、あり得ます。

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