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法律コラム


[組織・運営|2005年2月 3日]
弁護士 松村昌人

倒産犯罪

債権者たる企業にとって、倒産犯罪は、無縁のことと思われがちです。しかし、実際には、企業再建のためにおこなわれる保有事業の移転、保有資産の売却、債権放棄等の様々な財産処分は、保有企業の財産の不利益処分として、倒産犯罪を構成することがあります。債権回収に関する行為についても、一定の場合、刑事罰に触れる可能性があります。平成16年6月2日に公布された「破産法」(平成16年法律第75号)及び「破産法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律」(平成16年法律第76号)では、会社更生法、民事再生法、破産法における刑罰規定を改正しており、新たな倒産犯罪も設けています。これら新法は、平成17年から施行予定であり、事前の検討が必要です。

1、企業再建に伴う財産処分

上記倒産新法では、何人にも債務者の財産の隠匿等を禁止しています(詐欺破産罪=新破産法265条。詐欺再生罪=新民事再生法255条。詐欺更生罪=新会社更生法266条)。すなわち、破産等の手続前後を問わず、債権者を害する目的で、債務者の財産を以下のように処分した者を処断対象としています(10年以下の懲役、1千万円以下の罰金。併科あり。)。

・隠匿、損壊
・譲渡、債務負担仮装行為
・現状改変による価格減損
・債権者の不利益に処分、債権者に不利益な債務を債務者が負担

企業再建にあたっては、不採算部門の整理、資産処分等を早期に行う必要があり、必ずしも、高額での処分が可能なわけではありません。したがって、企業再建に伴う各種処分行為等が、債務者財産に対する現状改変による価格減損行為であると形式上評価される場合もあり得ます。条文の表現上、規制主体が「債務者」(旧破産法374条)と限定されていないこと(不利益処分、不利益債務負担については行為の相手方を含む旨明示)、行為時点も限定されていないことからして、上記詐欺破産罪等の適用領域は実際にはかなり広いものとなり得ます。なお、詐欺破産罪等については、規定上、破産等の手続開始決定確定を客観的処罰条件として一定の歯止めをしています。しかし、実際には、資産処分時点では、後日、当該企業が、会社更生、民事再生、破産の手続に入るか否か、容易には、予想し難いものです。この点、裁判例では、問題となる行為と破産宣告との間に、具体的な原因結果の関係まで存在せずとも処断可能としています(最判昭和44 年10月31日刑集23巻10号1465頁)。したがって、経営再建中の企業、その相手先企業としては、企業財産の売買経緯、処分価格の妥当性、処分後の売手側企業の動向等に関して、慎重な検討と配慮を求められることになるでしょうし、後日のため、検討結果を資料化しておくことが望まれます。

2、支援融資、債権放棄

関連会社の支援のために追加貸付を実行したり、債権放棄を行う場合があります。このような追加貸付については、当該貸付債権について不良債権となることが確実視される場合には、上記詐欺破産罪にいう自社財産の不利益処分となる余地があります。また、債権放棄をする場合であっても、債権という自社財産の不利益処分とならないか、検討の要があります。従って、関連会社に対する支援の場合、不良債権化や債権放棄損失に伴う株主代表訴訟提起リスクの他に、別途、自社を基準として、上記詐欺破産罪の観点から検討を行う必要があるでしょう。すなわち、支援をする自社の経済状態に対する将来予測等(自社について、将来、破産等の手続が開始される可能性)についても検討結果の資料を残しておくことが考えられます。

3、債権確保、債権回収

既存債権の確保のために、債務者に対して、優先的弁済を要求したり、新たな担保を要求することがあります。また、関連会社の支援のため追加貸付を実行する場合であっても、当該新貸付分について確実な担保を徴求することもあります。問題は、債務者企業が、かかる要求に対して、どの程度、適法に応じることができるかです。新法では、特定の債権者に対する債務について、他の債権者を害する目的で、担保の供与又は債務の消滅に関する行為を行うことを禁止していますが(特定の債権者に対する担保の供与等の罪=新破産法266条、新民事再生法256条、新会社更生法267条。5年以下の懲役、5百万円以下の罰金。併科あり。)、あらゆる担保供与等の行為を禁止しているわけではありません。すなわち、「債務者の義務に属せず又はその方法若しくは時期が債務者の義務に属しないもの」であることを要件としています。これは、偏頗な非本旨弁済を禁止する規定であり、約定に従って弁済する行為(本旨弁済)は、本条の規制対象外と言えます(旧法に関する裁判例として、最判昭和45年7月1日刑集24巻7号399頁)。したがって、債権者側企業としても、要求事項の適法性について、倒産法上の否認該当性のみならず、上記担保供与等罪からの検討も、おこなう必要があるでしょう。
このほか、収賄罪(新破産法273条5項。新民事再生法261条5項。新会社更生法272条5項。)では、債権者(その代理人、役員、職員を含む。)が、債権者等集会における議決権の行使等に関して、不正の請託を受けて、賄賂を収受、要求、約束することを禁止しています(5年以下の懲役、5百万円以下の罰金。併科あり。)。また、破産者等に対する面会強請等の罪(新破産法275条、263条)では、個人たる破産者等に対して、債権の弁済や保証をさせる目的で、面会強請や強談威迫をすることを禁止しています(3年以下の懲役、3百万円以下の罰金。併科あり。)。従って、債権者側企業としても、債権確保、債権回収のための事務が適法に行われるよう、社内で徹底する必要があるでしょう。

松村昌人
 第二東京弁護士会 倒産法制検討委員会委員(1999年4月〜)
 法律扶助協会相談登録弁護士(1999年10月〜)
 第二東京弁護士会 広報委員会委員(2000年4月〜)
 日弁連法務研究財団事務局員(2001年4月〜)
   
主要著書
 『民事再生法書式集[新版]』
  <共著>(二弁倒産法制検討委員会,信山社 2001)
 『ビジネスマンのための インターネット法律事典』
  <部分執筆> (日経BP社 2001年)
 『インターネット事件と犯罪をめぐる法律』
  <部分執筆>(オーム社 2000)
 『詳解民事再生法の実務』
  <部分執筆>(第一法規出版 2000)
 『法律業務のためのパソコン徹底活用BOOK』
  <部分執筆>(トール 1999)
 『債権管理回収モデル文例書式集』
  <部分執筆>(新日本法規出版 1996)    等

このコンテンツは「法律情報メールマガジンLIMM」より提供されております。
e-hoki.com LIMMにおける掲載時点(2004年8月17日掲載分)での執筆物であるため、その後の法改正等により、情報が古くなっている場合も、あり得ます。

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