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インターネット上の懸賞と法規制

テーマ:インターネット一般

2005年2月24日

解説者

弁護士 土谷喜輝

インターネット取引の普及に伴い、ウェブサイト上で懸賞や景品を提供して顧客を誘引することも増えています。このような懸賞や景品は、インターネット上であっても無制限に行えるものではなく、独占禁止法や不当景品類及び不当表示防止法(以下「景品表示法」といいます)の規制対象となります。


景品表示法の「景品類」に該当する場合

まず、「懸賞」とは、「くじその他偶然性を利用して定める方法」または「特定の行為の優劣又は正誤によって定める方法」によって景品類の提供の相手方または提供する景品類の価額を定めることと定義されています((i) 懸賞制限告示1項)。例えば、抽選やクイズの正誤により金銭や商品を与えることが懸賞に当たります。
懸賞のうち、顧客を誘引するための手段として、事業者が取引に付随して、経済上の利益を提供する場合は、景品表示法上の「景品類」に該当します(2条1項)。「取引に付随して」とは、商品やサービスを購入することを条件としていたり、商品などを購入した方がクイズに正解しやすくなるような場合のことを指しています。例えば、「キャンペーン期間中に3000円のCDを購入したお客様には、抽選でデジタルカメラ(3万円相当)が当たります」などという場合が「景品類」に当たります。景品表示法上の「景品類」に該当すると、取引価格の20倍の金額(但し10万円を限度)までの懸賞しか与えることができません(懸賞制限告示2項)。また、懸賞により提供できる景品類の総額は、当該懸賞付販売の予定販売総額の100分の2が限度とされています(懸賞制限告示3項)。上記の例で言うと、3000円のCDに対する懸賞ですので6万円以上の懸賞を付けることはできず、また、このCDを1000枚販売する予定の場合、予定販売総額は300万円となりますので、懸賞は6万円まで、すなわち景品とできるデジタルカメラは2個までということになります。
一定の地域における小売業者またはサービス業者の相当多数が共同して行う場合のような共同懸賞の場合には、上記の制限は多少緩和されて、30万円までの景品を提供することができ、また総額も予定販売総額の3%まで可能となります。インターネット上の懸賞の場合、一定の地域と言えるかは問題もありますが、ショッピングモールに出店している相当数が参加するような場合には、共同懸賞に当たる場合も考えられます。


オープン懸賞の場合

誰でも応募できる懸賞のように、取引に付随していない懸賞の場合には、「景品類」に該当せず、オープン懸賞として景品表示法の制限を受けません。インターネット上の懸賞の場合、商品サイトのリンクなどをたどっていかなければならず、「取引に付随して」に当たるのではという疑問もありましたが、トップページから懸賞サイトに直接リンクされている場合のみならず、商品サイトからしか懸賞サイトにリンクされていない場合でも、消費者はホームページ内のサイトを自由に移動できることから、「取引に付随して」に該当しないと考えられています。 (ii)ただし、商品を購入しなければ、懸賞サイトにたどり着けないような構造の場合には、取引付随性が認められ、景品表示法の規制を受けることになります。
景品表示法の規制を受けない「オープン懸賞」の場合、提供できる懸賞の最高額は、金1000万円となります。 (iii)


総付景品の場合

以上のような懸賞以外に商品の購入者全員または先着順で全員に景品を提供する場合があります。これは、景品表示法上、「総付景品」と呼ばれ、取引価額の 10分の1(取引価額が1000円未満の場合には100円)までの景品しか供与することはできません。(iv) 注意すべき点としては、購入対象商品の金額に幅がある場合には、その最低額を取引価額とするということです。例えば、デジタルカメラを購入した顧客全員に商品券を与えるという場合には、対象となるデジタルカメラの一番安い物の10分の1までの価値の商品券しか与えることはできません。


まとめ

店舗を持たず、インターネットだけで商品やサービスを提供する場合、消費者からの注目を得ようとするあまり、独占禁止法や景品表示法の制限を超えた懸賞や景品を掲げてしまう場合もあるようです。電子商取引であっても、店舗営業と同様の規制を受けることを理解しておく必要があるでしょう。


(2004年7月執筆)


<参考サイト>
景品規制の内容(公正取引委員会)
i 正式には、「懸賞による景品類の提供に関する事項の制限」(昭52.3.1公取委告示3号)
ii インターネット上で行われる懸賞企画の取扱いについて(公正取引委員会平成15年4月26日)
iii 広告においてくじの方法等による経済上の利益の提供を申し出る場合の不公正な取引方法(オープン懸賞告示)の指定に関する運用基準1項
iv 一般消費者に対する景品類の提供に関する事項の制限(総付け景品制限告示)1項


土谷喜輝
   ニューヨーク州法曹資格
   
主要著書
 『個人情報保護法Q&A』
  <部分執筆> (中央経済社 2001)
 『インターネットをめぐる米国判例・法律100選<改訂版>』
  <共著>(ジェトロ 2001)
 『ビジネスマンのためのインターネット法律事典』
  <部分執筆> (日経BP社 2001)
 『米国弁護士によるビジネスモデル特許事例詳説』(ジェトロ 2000)   等

このコンテンツは「法律情報メールマガジンLIMM」より提供されております
e-hoki.com LIMMにおける掲載時点(2004年8月3日掲載分)での執筆物であるため、その後の法改正等により、情報が古くなっている場合も、あり得ます。

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