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インターネット上の不当表示

テーマ:インターネット一般

2005年3月 3日

解説者

弁護士 土谷喜輝

2003年5月16日に不当景品類及び不当表示防止法(以下「景品表示法」といいます)が改正され(同年11月23日施行)、不当表示に対する規制が強化されています。インターネット上の表示についても、当然、景品表示法が適用されますが、ウェブサイト上だけでの情報提供という特殊性から気を付けておくべき点がいくつかあります。


景品表示法の不当表示規制

景品表示法は、事業者が自己の供給する商品又は役務の取引について、一般消費者に対し、以下のような表示をして、不当に顧客を誘引し、公正な競争を阻害する行為を禁止しています。
<1> 優良誤認(4条1項1号)
(a) 商品などの内容について、実際のものよりも著しく優良であるという表示
ADSL通信を利用したインターネット接続サービスにおいて、実際には、1Mbps程度の速度であるにもかかわらず、「通信速度8Mbps」などと表示する場合などがこれにあたります。
(b) 商品などの内容について、競争事業者のものよりも著しく優良であるという表示
ADSL通信を利用したインターネット接続サービスにおいて、他社よりも速度が極端に遅いにもかかわらず、「他社より断然安い」などと表示する場合などがこれにあたります。
<2> 有利誤認(4条1項2号)
(a) 商品などの取引条件について、実際のものよりも著しく有利であるという表示
入会者は、全員割引料金で入会できるにもかかわらず、「特別優待料金」などと表示する場合などがこれにあたります。
(b) 商品などの取引条件について、競争事業者のものよりも著しく有利であるという表示
インターネット・サービス・プロバイダへの加入では、入会金は不要であるのが一般的であるにもかかわらず、「他社にはない入会金無料サービス」などと表示する場合などがこれにあたります。
<3> 誤認されるおそれのある表示(4条1項3号)
上記以外のもので公正取引委員会が指定するもの
おとり広告に関する表示などが指定されています(平成5年公正取引委員会告示第17号)。


景品表示法2003年改正

以前から、「食事制限なしで10kg痩せる」と表示しながら、その裏付けデータが全くないという優良誤認表示がありましたが、公正取引委員会が表示通りの効果がないことを立証しなければ不当表示には該当しないと考えられており、多大な労力を必要とするなどの不都合が指摘されていました。そこで、2003年改正により、4条2項が新設され、公正取引委員会は、当該表示をした事業者に対し、期間を定めて、当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めることができ、この提出のない限り、当該表示は不当表示と認定できることになりました。


インターネット上の表示の特徴

(1) 情報変更の容易性
インターネット上の表示の特徴として、まず、情報がウェブサイト上のものに限定されるということが挙げられます。商品の現物を見ることができないというのは、他の通信販売も同様ですが、紙媒体のパンフレットなどもなく、唯一の情報であるウェブサイトは、容易に変更可能であるという特徴がある反面、サーバーに情報を残しておけば、古い情報でもいつまでも表示され続けるという特徴があります。したがって、ウェブサイトでの表示については、その表示時期や更新時期を明記することが望ましいと考えられます。


(2) 表示の限定
そして、その唯一の表示であるウェブサイトは、モニタという表示装置のサイズの制限を受け、スクロールしなければ画面全体を見ることができなかったり、リンク先に行かなければ情報を取得することができなかったりする場合があります。したがって、重要な情報がリンク先などに記載されている場合には、それを分かりやすく表示することが必要になります。例えば、「送料無料」と大きく記載しながら、「追加情報」という小さな字がスクロールすると下に現れてきて、これをクリックすると「関東地域は送料無料ですが、それ以外は有料」などと記載されている場合には、有利誤認に該当すると考えられます。少なくとも、ある程度目立つように「送料について」というリンク表示をする必要があります。


(3) 契約締結の容易性
ウェブサイト上では、クリックしていくだけで契約が簡単に成立してしまうという特徴がありますので、クリックをする前に重要な表示を読むことができる状態にする必要があります。


(4) 無体物の販売
音楽、映像、ソフトウェアといった無体物をウェブサイトからダウンロードして購入する人が増えていますが、このような契約は、その後の商品の送付などがなく、その時点で契約が完結してしまいますので、その時点でどのような表示をしていたかが特に重要になります。例えば、「1ヶ月間無料」と表示しながら、実際には、解約しない限り2ヶ月目から料金が引き落とされてしまうような場合は、有利誤認に該当する可能性があります。


まとめ

公正取引委員会も、平成14年6月5日、「消費者向け電子商取引における表示についての景品表示法上の問題点と留意事項」を公表し、上記のような問題点を指摘しており(同年8月29日一部改訂)、ADSL等のインターネット接続サービスに関する表示についても、別途問題点を指摘しています。公正取引委員会は、BtoC取引の不当表示監視に力を入れており、一般消費者から募集した電子商取引調査員を用いてのウェブサイトの調査・監視も行っています。
本稿では紙面の都合上説明できませんでしたが、インターネット上で消費者を対象にBtoC取引を行う場合には、以上のような景表法以外にも特定商取引法や消費者契約法にも注意する必要があります。


消費者向け電子商取引における表示の監視状況等について(H15.1.17公正取引委員会)


土谷喜輝
   ニューヨーク州法曹資格
   
主要著書
 『個人情報保護法Q&A』
  <部分執筆> (中央経済社 2001)
 『インターネットをめぐる米国判例・法律100選<改訂版>』
  <共著>(ジェトロ 2001)
 『ビジネスマンのためのインターネット法律事典』
  <部分執筆> (日経BP社 2001)
 『米国弁護士によるビジネスモデル特許事例詳説』(ジェトロ 2000)   等

このコンテンツは「法律情報メールマガジンLIMM」より提供されております。
e-hoki.com LIMMにおける掲載時点(2004年9月10日掲載分)での執筆物であるため、その後の法改正等により、情報が古くなっている場合も、あり得ます。

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