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新しい事業組合形態

テーマ:企業の機関・形態

2005年4月 7日

解説者

弁護士 井田雅貴

1 政府は、本年2月4日に「有限責任事業組合契約に関する法律案」を閣議決定した上、これを国会に提出致しました。未だ法律案の段階にとどまり、具体的な法律の内容は変更される可能性がありますが、今回はこの「有限責任事業組合契約」についてご説明致します。


2 元々民法にも組合契約の定めがありますが、今回の法律案は民法の特例という側面があります。この法律案が提出された狙いは、新規創業の促進等にあると言われています。「有限責任事業組合」が、何故創業を促進する等の効果を持つのかについて以下で説明致します。


3 創業する際、個人でするのか組織体としてするのか、また組織体とすれば組合とするのか会社とするのか等について悩まれた方は少なくないと思います。というのも、どういう形態で事業を始めたかによって、その後の法律関係が変化するからです。
例えば、個人事業主や組合契約を締結した場合、その責任は無限ですが、有限会社・株式会社の場合に出資者が負う責任は有限(出資額の範囲内)で、かつ間接的なものとなります。事業を開始する者にとっては、責任の範囲だけを見ると株式会社・有限会社形態の方がリスクは少なくなります。
他方、株式会社・有限会社では取締役等を設置するというのが建前であるため、必ずしも出資者自身が経営を行うという事を予定していません。しかも会社組織の場合は、取締役会や株主総会(社員総会)に諮って会社としての意思を決定する場合もあるため、意思決定の迅速さ等で個人に劣る点もあります。このため、どの形態で事業をなすのかを選択する際には、今後起業する事業の将来を見据えてなすこととなります。
また細かい点を言えば、税制においても、組合であれば組合自身に課税されるのではなく、利益分配を受けた構成員にのみ課税されることとなりますが、会社の場合には、法人自体に課税される他に利益分配を受けた出資者にも課税されることとなり、2重に課税されるということにもなります。
今回の「有限責任事業組合契約」の特色は、大まかにいえば、<1>組合契約を締結した構成員の責任の範囲を出資の限度とすること、<2>出資の額に関係なく、損益の分配を内部で自由に決定できること、<3>組合に課税するのではなく、構成員に直接課税すること、です。
この結果どういうことが考えられるかといえば、例えば中小企業同士が新規事業を連携して行う場合に、かかる事業の遂行を目的とした組合契約を締結し、仮に事業が失敗したとしても損失の範囲は出資の限度にとどめる(その結果、本体には影響がない)とか、組合の構成員としてベンチャーと大企業の連携という今までに想定しにくかった事業組合が創設されたり、また責任が有限であることから、個人がより思い切った起業をなすなどの効果が考えられます。
諸外国の例をひけば、例えば同様な制度をもつ英国では、2000年の法制化以降、1万をも超える組合が出てきていること、「有限責任会社」として制度設計している米国では、10年間で数十万もの有限責任会社が設立された模様です。現実に法制化しないと、本制度のメリット、デメリットを正確に論じることはできませんが、日本における経済活力の向上に繋がるのであれば、早期の立法化を期待したいところです。


(2005年2月執筆)


弁護士 井田雅貴(いだ まさき)
平成4年3月  京都産業大学法学部卒業
平成7年10月  司法試験2次試験合格
平成10年4月  京都弁護士会に登録
京都の法律事務所にて勤務
平成14年1月 大分県弁護士会に登録替。
大分市内にて「リブラ法律事務所」を開設。

著書:「Q&A消費者契約法」ぎょうせい
「コンメンタール消費者契約法」商事法務研究会
(いずれも、共同執筆)
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