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保証制度に関する民法改正

テーマ:企業の機関・形態

2005年4月21日

解説者

弁護士 壇俊光

1 始めに

多くの中小の株式会社や有限会社では、銀行の貸し付けに関して代表者が担保として個人保証をしているというのが多いのではないでしょうか。
ところが、このような個人保証は、債権者からみれば担保として重要ではあるものの、他方企業が倒産した際には個人の資産まですべて債権者の手に渡り、再起への大きな足かせになります。
また、近年では、企業向け金融業者が高金利の貸し付けを主債務者におこなったうえ、多額の債務を保証人に請求するという事案が問題となりました。このような、問題の根幹にはいわゆる「根保証」の問題があり、今回の民法の保証制度に関する改正はこの点を改めたものです。


2 「民法の一部を改正する法律」

「民法の一部を改正する法律案」は、平成16年11月25日に法律として成立して成立し、平成17年4月1日から施行されました。
この法律は、民法の表記を平仮名・口語体に改めるなど現代語に対応させるとともに、保証制度について改正がなされました。
これは、保証金額や保証期限に定めのない包括根保証は、保証人が過大な責任をあることや、経営者の新たな事業展開や再起を阻害するとの指摘がなされており、平成16年3月から法務省法制審議会保証制度部会において、保証制度の適正化に関する審議をおこない、その審議結果を反映した包括根保証を禁止する内容に改正されたのです。


3 根保証とは

前提として根保証について解説します。
根保証とは、例えば会社の運転資金の貸し付けで発生した債務を保証するなど、「一定の範囲に属する不特定の債務を主たる債務とする保証契約(改正民法465条の2第1項)です。
本来の保証は、特定の主債務を保証するので保証額は定まっていますが、このような保証では、継続的な取引の場合、個々の貸付け毎に保証契約を締結する必要があり、これでは契約処理が煩雑になります。
根保証は、このような保証契約処理の煩雑さを避ける点で便利で、中小企業が融資を受ける際の代表者の個人保証などに多用されています。
根保証では、保証の範囲について極度額を定める場合や保証する期間を定める等して保証の範囲を限定する場合もありますが、保証の範囲について法律上の制限がないため契約によって定まっていました。そのため、保証の金額や期間に定めのない根保証(包括的根保証)が多くありました。
しかし、このような包括根保証では、保証人が知らない間に貸し付けが繰り返され予想外の多額な保証債務の履行を請求されると可能性があります。


4 法改正の概要

今回の法改正は、(1)要式行為化、(2)根保証の極度額の定め、(3)保証期限の定め、(4)元本確定事由が制定されたことが骨子となります。
(1)保証契約は、書面でしなければ無効です。(改正民法446条2項、準用465条の2第3項)
(2)根保証のうち、主債務が金銭の貸し付けか手形の割引によって生じた債務で、保証人が個人(法人を除く趣旨)の場合は、保証の限度額である「極度額」の定めを要する(改正民法465条の2第1項)こととし、極度額の定めのない場合は無効(改正民法465条の2第2項)保証の極度額の定めとは、根保証契約については、主債務の元本、利息などの要件が欠けていれば無効です。
(3)実際に保証する主債務が具体的に定まる日を「元本確定期日」(改正民法465条の3第1項)といいますが、根保証において元本確定期日を定める場合は契約日から5年以内とする必要があり、それ以上の期間を定めたとしても元本確定日は5年に短縮されます(改正民法456条の3第1項)。元本確定期日を定め無い場合は、契約締結日から3年を経過した時点で保証する主債務の元本が確定します。(改正民法456条の3第2項)
(4)(3)で述べた以外にも、主債務者や保証人に一定の事由が発生した場合は、元本が確定する事由が数種定められています。


5 法改正の今後

今回の法改正によって、包括根保証に関する一定の制限がなされたことは評価すべきでしょう。しかし、従前の取引によっても、相当長期間の根保証については判例上責任の範囲が制限されていたのであり、今回の法改正がどれだけの効果があるのかは今後の運用を待つより他ありません。また、今回の改正でも法外な保証極度額の定めや元本確定後に再度根保証契約を締結することまでが否定された訳ではありません。このような法外な保証極度額や再度の根保証契約を求められたとしても、実際に個人保証を拒むのは困難と言えましょう。この点については、これからも、債権回収の必要性と事業者の再起とのバランスを図ることが必要です。


(2005年4月執筆)


壇俊光 (ダントシミツ)
出身地 大阪
資格  弁護士 大阪弁護士会所属
役職  大阪弁護士会消費者保護委員会会員
     大阪弁護士会図書情報処理委員会会員
     大阪弁護士会犯罪被害者支援委員会会員
     法情報ネットワーク法学会会員

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