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法律コラム


[人事・労務|2007年3月 1日]
弁護士 赤司修一

偽装請負

1 「偽装請負」とは

最近、「偽装請負」という言葉を新聞等で目にすることがあると思います。これは一部上場の日本を代表する企業が「偽装請負」で労働基準監督署の調査を受けたりしたことから、新聞等で注目される問題となりました。「偽装請負」とは、契約の形式は請負等とされているものの、発注者が直接請負労働者を指揮命令するなど労働者派遣事業に該当するものを言います(なお、「偽装委託」という言葉もありますが、これは契約形態が委託の場合です)。
本来であれば派遣事業として遂行しなければならないところ、コストが安いことや、派遣事業の場合派遣元事業主及び派遣先の事務負担が重い等の理由から、製造業などの現場においては、請負という形式で就業するケースが多いようです。そして、「偽装請負」は、多くの場合、労働災害を契機として発覚します。なお、実は、「偽装請負」が一番多いと言われているのがIT業界です(ただ、現在まではあまり問題となっていないようです。理由は、怪我等による労災があまり想定できないことから発覚するケースがないと考えられます)。

2 「偽装請負」の問題性

この「偽装請負」は、労働市場における労働力需給調整の基本的なルールである職業安定法及び労働者派遣法(正式名称:労働者派遣事業の適性な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律)に抵触する違法な行為です。また、労働基準法、労働安全衛生法に定める事業主の責任の所在が曖昧になり、労働者に対する必要な措置が取られず、労働災害が発生した場合に安全衛生・労働条件確保等が図られないという問題もあります。「偽装請負」が発覚した場合、送り込んだ側は当然違法になりますが、受け入れをした側も労働者派遣法上違法となりますので十分に注意が必要です。

3 請負と派遣の区別基準

では、請負により行われることが許される事業は何かが問題となりますが、この点については、「労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関する基準」(昭和61年労働省告示37号)があります(なお、さらに運用基準として「労働者派遣事業関係業務取扱要領」があります。)。この基準に基づいて「請負により行われる事業」が派遣事業に該当しないかどうか判断し、派遣事業に該当するにもかかわらず、請負の形式を取っている場合は問題となります。

4 行政による取り締まりの動向

「偽装請負」については、厚生労働省より平成18年9月4日に「偽装請負に対する当面の取組について」というものが各都道府県労働局長へ指示がなされています。その取組内容は、(1)広報、集団指導の実施など周知啓発を強化すること、(2)職業安定行政と労働基準行政の間で情報共有を徹底するとともに、共同監督を計画的に実施すること、(3)労働安全衛生法等違反を原因とする死亡災害等重篤な労働災害を発生させた事業主等に対して、厳格に対応すること、(4)その他職業安定行政と労働基準行政のそれぞれにおいて偽装請負の防止、解消を図るため監督指導を強化するというものです。このように行政は、「偽装請負」について、取り締まりを強化するとしており、今後は本格的な調査、指導をすることが予測されます。

5 企業としての取組

このような行政の姿勢からして、今後、企業は「法令順守」の観点から対策を講じる必要があります。確かに、内容によっては請負という形式でも行うことが可能なものもありますが、請負として行うことが困難であるものについては、派遣に切り替えていく必要があるでしょう。

(2007年1月執筆)

弁護士 赤司修一 (アカシシュウイチ)

昭和50年3月生まれ
日本大学法学部卒
得意分野 民事系全般
現在さくら共同法律事務所所属

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