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法律コラム


2005年6月30日|弁護士 小川憲久

HDDデバイスと私的録音録画補償金

昨年末に独ミュンヘン地裁は富士通・シーメンス・コンピュータ社に対して同社の販売するPC1台あたり12ユーロの著作権補償料を支払うよう命じました。これは録音録画機器や媒体に課される録音録画の補償金でlevyと略称されるものです。ドイツではこのlevyが汎用コンピュータにも課されるのかという点が紛争となっていましたが、この判決でPCにも課金されることが明らかとなりました。

わが国では、levyに似た制度として「私的録音録画補償金」が平成4年の著作権法改正で導入されています。これは、著作権法30条の私的複製がデジタル方式の録音録画の場合には、利用者は機器や媒体の購入時に一定額の補償金を支払うものとされ、この補償金は機器や媒体のメーカーが支払協力という形で出荷時に支払い、機器や媒体の価格に上乗せされて最終的にユーザが支払うという形態をとっています。補償金の対象はデジタル方式の録音録画機器・媒体であり著作権法施行令で指定され、録音機器・媒体としてはDATレコーダー、DCCレコーダー、MDレコーダー、CD-R・CD-RWレコーダー、及びこれらの機器で使用されるMDやCD-R、CD-RW等のテープ、ディスク、録画機器・媒体としてはDVCR、D-VHS、MVDISKレコーダー、DVD-RWレコーダー、DVD-RAMレコーダー、及びこれらの機器で使用されるDVD-RW等のテープ、ディスクとなっています。アナログビデオテープやカセットテープは対象とされていません。また、録音・録画用の機器・媒体という意味でデータ用のCD-R、DVD-RWやMDは除かれています。CD-R等で音楽用とデータ用の2種類があるのはそのためです。

補償金は、録音はSARAH(サーラ)という私的録音管理協会が、録画はSARVH(サーブ)という私的録画補償金管理協会がメーカーより収受し、権利者への分配と著作権等の保護に関する事業への使用に充てています。補償金の額は録音機器の場合カタログ価格の約1.3%または1000円の低い額、媒体は同じく1.5%、録画機器の場合は0.65%または1000円の低い額、媒体は0.5%となっています。また、この補償金は録音・録画に使用しない場合には上記の管理団体から返還を受けることができることになっていますが、現実に返還請求があった例はないようです。

わが国では、現在のところPCは録音・録画機器ではないとして課金の対象とはされてませんが、ドイツでは上記の判決で対象となることが明らかとなりました。文化審議会著作権分科会では今後の課題として検討対象となっています。また、iPod等のハードディスク内蔵ポータブルデバイスについても現在のところは政令の対象製品とされていないため課金されていませんが、PC同様に検討対象とされています。

ところで、ドイツのlevyは製造者に課金されるものですが、わが国の補償金は私的複製をする利用者に課金されるものです。そこで、携帯電話の着メロのような複製防止措置が施されているコンテンツについては私的複製ができない以上、補償金の支払は不要となるはずです。複製防止措置を含めたコンテンツの権利保護管理をDRMといいますが、DRMの施されているコンテンツについては複製ができず、その利用時に課金されるため補償金は二重課金となります。DRM技術の発展に伴い補償金制度は見直しをする必要が生じるものと思われます。

(2005年2月執筆)

小川憲久
 役職
   (財)ソフトウェア情報センター 特別研究員
   法とコンピュータ学会 理事
   東京工業大学非常勤講師(1998-2002)

このコンテンツは「法律情報メールマガジンLIMM」より提供されております。
e-hoki.com LIMMにおける掲載時点(2005年3月8日掲載分)での執筆物であるため、その後の法改正等により、情報が古くなっている場合も、あり得ます。

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