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契約書の読みかた(8)製造物責任条項

テーマ:契約・取引

2012年11月29日

解説者

弁護士 高橋弘泰

【製造物責任法(PL法)とは】

 会社間の売買に関するビジネス契約では、製造物責任法(PL法)を意識した規定が設けられることがしばしばあります。 製造物責任法とは、直接的には、欠陥製品によって生命や身体に損害を被った被害者(消費者、ユーザー)の被害を救済するための法律です。購入した製品に欠陥があったことが証明できれば、製造業者に直接責任を追及できることを定めた法律であり、大きな特徴としては以下の二点があります。


 一点目は、民法上の債務不履行や瑕疵担保等の責任は、直接の契約関係にある当事者間、つまり買主から売主に対して追及することしかできませんが、製造物責任法に基づき、直接の契約関係になくとも、消費者(ユーザー、被害者)から製造業者(メーカー)に直接責任を問うことができるという点です。


 二点目は、一般に不法行為責任は故意又は過失がなければ追及できませんが(民法709条)、製造物責任法では、被害者の側で欠陥の存在が証明できれば、製造業者に無過失責任を問うことができるという点です。ただし、この「欠陥」とは、生命・身体・財産に害をもたらすような安全上の瑕疵のことをいい、一般に契約上の欠陥としてイメージされるような「仕様を満たさない」とか「故障していた」というものではありません。


【製造物責任に関する条項】

 個人だけでなく会社も「被害者」となりえますが、法人である企業が製造物責任法上の被害者となることはあまり想定できないため、ビジネス契約で製造物責任に関する規定を設ける場合には、もっぱら、最終消費者(ユーザー)が被害者となった場合に、企業間の責任分担をどうするかについての規定となります。


 先ほど述べたように、PL法を使えば、被害者は製造業者に直接製造物責任を追及できるのですが、実際にはクレームはまず購入した店舗や小売業者に行くのが通常と思われます。そうした場合に、クレームを受けた小売業者がユーザーにとりあえず解決金を支払うというケースも出てくるかもしれません。そこで、ビジネス契約においては、小売業者が被害者に賠償した場合にも、最終的には製造業者がすべての賠償を負うという規定が設けられることがしばしばあります。また、損害拡大防止のために、リコールその他必要な一切の措置を取ることや、製造物責任保険(PL保険)への加入を義務付ける条項が設けられることもあります。


【条項の具体例】

 消費者の損害が商品の欠陥に直接的に起因するものであれば、製造業者がすべての責任を負うことは当然のように思われますが、実際には、小売業者にも賠償責任が発生する場合があります。たとえば、ある裁判例では、大手小売店が販売した電気ストーブが化学物質に対する過敏症の原因となる有害物質を発生させたと認定されたケースで、小売店にも化学物質の飛散が発生していたこと及びこれにより健康被害が生じることを認識し予見できた可能性があり、結果発生を回避するための措置を執るべき義務があったのにこれに違反したとして、損害賠償が命じられました(東京高判平成18年8月31日判決)。


 しかし、このような場合も、例えばビジネス契約書の中に、次のような条項を設けておくことにより、製造業者が小売業者の分も賠償の支払いを負担するということにできます。


(条項例)
「本件商品の欠陥により損害を被ったとして第三者から乙(小売業者)が損害賠償請求を受けた場合には、甲(製造業者)が自らの費用と責任をもって当該第三者との紛争を解決し、乙は一切の責から逃れるものとする。乙が当該第三者に対し本件商品の欠陥から生じた損害について賠償した場合、合理的な内容の弁護士費用も含め、その全額を甲が負担する。」


 一方、製造業者の側では、契約に加入を義務付ける定めがなくとも、万一のためにPL保険に加入しておくことは望ましいと考えられますし、製造の過程に複数の会社が関わっている場合には、損害賠償責任が発生した場合の費用分担について、それぞれの役割や立場に応じた合理的な範囲を契約上定めておくことには大きなメリットがあるといえるでしょう。



氏名:高橋弘泰

生年:1970年生

弁護士登録年・弁護士会:
2009年弁護士登録、第二東京弁護士会所属

学歴:
1994年東京大学法学部卒業

得意分野等:
東京都に勤務の後、大宮法科大学院に入学し、法曹を目指す。行政事件、刑事事件など公益的な活動に力を入れる一方、民事分野でも敷居が低く利用しやすいと同時に、内容的には決して妥協しない良質な法的サービスの提供に努めていきたいと思います。

所属事務所:
法律事務所フロンティア・ロー http://frontier-omiya.jp/index.html

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