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契約書の読みかた(7)請負契約の瑕疵担保条項

テーマ:契約・取引

2012年11月22日

解説者

弁護士 高橋弘泰

【請負契約と他の契約との違い】

 以前のコラムで、売買契約における瑕疵担保条項について説明しましたが、売買契約だけでなく、請負契約においても目的物の瑕疵はしばしば問題になります。
 今回のコラムは、リスク条項のうち、請負契約の瑕疵担保条項について説明します。


 請負契約とは、請負は請負人がある仕事を完成することを約し、注文者がその仕事の結果に対してその報酬を支払うことを内容とする契約です(民法632条)。


 請負は雇用や委任などと同様に労務供給契約の一種ですが、請負においては、ある仕事を「完成すること」を目的とし、そのための手段として労務の供給がなされるという点で雇用や委任とは異なっています。
 一方で、売買契約と請負契約は、物が有償で移動するという点で共通しており、民法の売買に関する規定が請負契約にも準用されています(民法559条)。
 ただし、請負契約における瑕疵担保規定と売買契約における瑕疵担保規定とは、民法上異なる点があります。


【瑕疵担保における売買契約との違い】

  • (1) 注文者は請負人に対し、瑕疵の修補を請求することができます(民法634条)。売買契約においては、修補を請求できる規定はありません。
  • (2) 売買契約では、瑕疵担保の存続期間は瑕疵の事実を知った時から1年ですが、請負契約では、目的物の引渡しから1年です(民法637条)。ただし建物や土地の工作物については5年、石造、土造、れんが造、コンクリート造、金属造その他これらに類する構造の工作物については、10年となります。
  • (3) 売買契約においては、瑕疵は「隠れた瑕疵」に限定されますが、請負契約の場合は、隠れた瑕疵に限定されません。

【いくつかの注意点】

 ビジネス契約の実務においては、売買契約と請負契約が厳密に区別されず、単に取引契約という名称で取引されることもあります。また、売買契約と請負契約の性質をあわせもつ混合契約という法的性質を持つとされることもあります。これは「製造物供給契約」と呼ばれることがあります。


 請負契約の瑕疵担保条項についても、民法の規定は強行規定ではありませんから、ビジネス契約では当事者の合意により異なった定めを設けることが可能です。その内容は、以前売買契約の瑕疵担保条項で説明した点と概ね共通しますので、以前のコラムを参考にして下さい(起算点、保証期間、帰責性の有無、保証内容など)。


 ただし、請負契約の場合に気をつけなければならないのは、下請法の適用対象となる場合があることです。これについては、以前のコラムで下請法について説明する際にも述べましたが、書類の交付義務(下請法3条)として、口頭発注によるトラブルを未然に防止するため、親事業者は発注にあたって発注内容を明確に記載した書面を交付しなければならないとされています。下請法では発注書面の様式は定められていませんが、記載すべき事項については具体的な定めがあります。 ポイントは、発注時に協議して決定した下請代金の額を明確に記載することです。具体的な金額を記載できない「正当な理由」があるときは(ソフトウェア作成委託において最終仕様が確定していないなど)、算定方法による記載も認められています。算定方法を記載する場合は、(工賃単価×所要時間数+原材料費)のように、金額が自動的に確定するような記載であることが必要です。


【法的性質:請負か売買か】

 製造物供給契約については、裁判で争われた場合に、その法的性質について売買契約なのか請負契約なのかが認定されることがあります。その基準としては、(1)当事者の合理的意思、(2)目的物が代替物であるかどうか(代替物であれば売買契約、そうでないときは請負契約)などがあります。


 請負契約のつもりが、裁判で争われた結果、売買契約として認定されてしまい、瑕疵担保の対象が「隠れた瑕疵」に限定されたなどという事態も起こり得ますので、ビジネス契約書においては、瑕疵の補償の仕方についてできるだけ具体的に定めておくことが望ましいといえます。



氏名:高橋弘泰

生年:1970年生

弁護士登録年・弁護士会:
2009年弁護士登録、第二東京弁護士会所属

学歴:
1994年東京大学法学部卒業

得意分野等:
東京都に勤務の後、大宮法科大学院に入学し、法曹を目指す。行政事件、刑事事件など公益的な活動に力を入れる一方、民事分野でも敷居が低く利用しやすいと同時に、内容的には決して妥協しない良質な法的サービスの提供に努めていきたいと思います。

所属事務所:
法律事務所フロンティア・ロー http://frontier-omiya.jp/index.html

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