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不正競争防止法とは(7)営業秘密をどう管理するか

テーマ:特許

2011年11月 2日

解説者

弁護士 高橋弘泰

 前回のコラムでは、営業秘密が刑事罰となる行為によって漏えいされた場合に、法人が処罰を免れるためには、営業秘密の漏えいを防止するために積極的かつ具体的に必要な注意を尽くしていたことが要求されると述べました。そこで今回は、営業秘密をどう管理するかについて、いくつか実務的な対策を説明したいと思います。


【技術面での対策】

 秘密漏えい防止のためにまずできることで、最も即効性のある対策は、オフィスや業務に使用するパソコンについてのハード面の対策でしょう。


1.入退室管理

 施錠と鍵の管理はセキュリティ対策の基本中の基本です。事務所の規模が大きくなると、職員にIDカードの着用を義務づけ、来訪者にも専用の名札を着用させ、入退室履歴を記録するという措置を取る必要も出てくるでしょう。それぞれの部門、部屋ごとにセキュリティのレベルを設定して、特定の条件を満たす者だけに入場を制限するという措置もあります。


2.文書管理

 文書の作成・保存・廃棄についての手順を定め、契約書等の書式を統一しておくことは、営業秘密の保護にも役立ちます。特に秘密扱いの文書については「極秘」のマークを必ず記載し、複写・複製を禁ずる措置を取ることも必要でしょう。


3.パソコン・磁気媒体の管理

 現在はインターネットを通しての情報漏えいが一番の脅威です。特に営業秘密については、IDとパスワードによるアクセス制限はもちろん、IDはユーザー個別にし、パスワードも定期的に更新するよう管理していくべきでしょう。アンチウイルスソフトを最新に保ってウイルス感染には万全の注意を払うことはもちろん、企業情報漏えいの昨今の事例を見ると、ファイル交換ソフトなどのフリーソフトの利用を禁止するのは今や必須かもしれません。


4.紛失・盗難対策

 紛失や盗難を防ぐためには、業務に使用するパソコンの社外持ち出し禁止、磁気媒体での情報持ち出し禁止などの措置があります。


【組織面での対策】

 技術面での対策と同時に、組織的な体制構築も重要です。


 大会社については、取締役または取締役会が、業務の適正を確保するために必要な体制(いわゆる「内部統制システム」)を構築することが会社法によって義務づけられています(会社法348条4項、362条5項)。この内部統制システムには、会社にとって重要な情報の保存や管理に関する体制が含まれていますから(会社法施行規則100条1項1号参照)、これが営業秘密漏えい防止の対策として活用されるべきです。大会社でなくとも、扱う情報によっては営業秘密保護のための体制作りが不可欠な場合もあります。


 この仕組みは、細かく説明するときりがないので割愛しますが、いわゆるPDCAサイクル、つまり(1)管理方針の策定(Plan)、(2)その実施(Do)、(3)管理状況のチェック(Check)、(4)見直し(Act)という流れに沿って設計するのが効果的といわれています。


【人的関係での対策(秘密保持契約)】

 事業者内部からの不注意による情報流出が相当部分を占める現状からすると、従業員や外部の業者との関係において秘密漏えいを防止するための対策が不可欠です。人的関係においては、主に秘密保持契約の締結が中心的な対策となります。


1.従業員との契約

 パートタイマーや派遣労働者についても、秘密保持は徹底しなければなりません。就業規則だけでは規定が抽象的になりがちで、退職者は対象にならないなど実効性が低いきらいがありますので、営業秘密については個別に秘密保持契約を締結することが有効です。その際には、対象となる秘密の範囲を明確にしておくことが大切です。一般的には、(1)営業秘密が記録された媒体の複製禁止、(2)営業秘密の社外持ち出し禁止、(3)退職時の記録媒体の返還などが主な内容になりますが、従業員の地位に応じて条項は変えた方がいいでしょう。


2.取引先との契約

 取引の過程で営業秘密を相手方に開示する必要のある場合には、秘密保持条項を盛り込んだライセンス契約を締結しなければなりません。こちらが営業秘密の開示を受けるライセンス契約を締結する場合には、自社(ライセンシー)の従業員が営業秘密を使用することになりますから、ライセンシーの側では自社従業員との間で、ライセンス契約の内容に従った秘密保持契約を締結する必要が出てきます。


3.委託先との契約

 営業秘密の移転が内容の一部となる業務委託をする際には、委託先の選定には十分に注意しなければなりません。委託先選定のためのマニュアルを整備し、秘密保持のための措置が取られているかチェックする体制を取っておくとよいでしょう。委託契約の中身には、再委託の原則禁止、データの複写禁止、事故発生時の通知義務・立入調査権、秘密漏えい時の委託先の費用負担、契約終了時の情報の返却及び消去などの条項を盛り込むことが考えられます。


氏名:高橋弘泰

生年:1970年生

弁護士登録年・弁護士会:
2009年弁護士登録、第二東京弁護士会所属

学歴:
1994年東京大学法学部卒業

得意分野等:
東京都に勤務の後、大宮法科大学院に入学し、法曹を目指す。行政事件、刑事事件など公益的な活動に力を入れる一方、民事分野でも敷居が低く利用しやすいと同時に、内容的には決して妥協しない良質な法的サービスの提供に努めていきたいと思います。

所属事務所:
法律事務所フロンティア・ロー http://frontier-omiya.jp/index.html

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