本文とサイドメニューへジャンプするためのナビゲーションスキップです。

トップページ  >  経営をよくする  >  法律コラム

特集一覧 中小企業に役立つ記事や施策をトピックスごとにまとめています。

契約書の読みかた(6)支払いリスクへの対処

テーマ:契約・取引

2012年11月15日

解説者

弁護士 高橋弘泰

【債務保証条項】

 金銭消費貸借契約では、保証人をつけることが通常ですが、売買契約においても支払いリスクの担保として会社の代表者を保証人とするケースがしばしばあります。売買契約などに直接に債務保証条項を入れる場合もありますが、保証契約書を別に作成するのが通常です。
 保証契約の注意すべき点は、保証契約は売主と保証人(代表者)の間で結ばれる契約であり、会社間の売買契約に「買主会社の代表者を本件売買契約の支払債務の保証人とする」と記載しただけでは、保証人は義務を負うことにならないということです。保証契約書を別に作成すれば問題ありませんが、売買契約書に債務保証条項を入れる場合には、保証人が保証契約の当事者となるためには、保証人が売買契約書に署名押印しなければなりません。
 保証人による債務の履行を確保するためには、実務上は公正証書を作成し、強制執行認諾文言をつけることにより、裁判によらず強制執行することができます。


【保証金条項】

 支払いがなされなかった後に保証人から回収するというのではなく、あらかじめ保証金または担保を受領し、支払いが滞った場合にその中から回収するよう定めることも支払いリスクへの一つの対処の方法です。この場合、保証金は取引が終了し、すべての債務が清算されるまでは返還されないこととします。また、返還の際に利息は付さないと定めておくことが通常です。
 あらかじめ担保を用意しておくという意味で、抵当権(根抵当権)の設定や、質権の設定もこの種の契約条項といえます。


【相殺条項】

 銀行で預金者が預金契約を結ぶ際に必ず設けられるのが相殺条項です。相殺条項は支払いリスクへの対処として簡便であるため、通常のビジネス契約でも重要です。
 相殺とは、当事者がそれぞれ相手方に対して同種の債権(金銭債権)を持っている場合に、同じ金額(対当額)で債権を消滅させる行為です。
 民法上も相殺に関する規定はありますが(民法505条以下)、二当事者間で債権が対立していることが必要とされることや、双方の債権の弁済期が到来していなければならないなど、相殺できる場合に一定の制限があるため、ビジネス契約書では特約として相殺条項を設けることが多いです。
 相殺条項を特約として設けることにより、たとえば、相手方に対する債権と、自社の子会社に対する相手方の債権を相殺することなど、複数会社の決済を簡便に行うことができます。また、債権の弁済期の到来を待たずに、対立する債権を直ちに相殺すると定めることにより、早期の決済処理が可能になります。弁済期の制限を特約によって外す場合には、「弁済期のいかんにかかわらず、本契約の当事者はいつでも債権と債務を対当額にて相殺することができる」などと定めますが、これを「期限の利益の喪失条項」といいます。


【所有権留保条項】

 自動車のローン販売やオフィス機器のリース契約などでよく使われるのが所有権留保条項と呼ばれるものです。所有権留保とは、買主が代金を全額支払う時まで売主に所有権を残すことをいいます。所有権を買主に移転させないことで、代金の支払いが滞った場合に契約を解除し、商品を取り戻し、商品を失った上に代金を受け取れないという事態を防ぐことができます。
 所有権留保の制度は、民法上は定められておらず、契約で特約を定めた場合にのみ認められます。
 この条項を設けることにより、商品の所有権は留保されますが、実際に引き渡しを受けるためには、買主の協力が必要であり、買主が任意に取り戻しに応じないときには、仮処分等の法的手段を取らなければなりません。自社のものだからといって実力行使で商品を取り戻すことは、民法上の不法行為や刑法上の住居侵入罪、窃盗罪などに問われる場合がありますので注意が必要です。



氏名:高橋弘泰

生年:1970年生

弁護士登録年・弁護士会:
2009年弁護士登録、第二東京弁護士会所属

学歴:
1994年東京大学法学部卒業

得意分野等:
東京都に勤務の後、大宮法科大学院に入学し、法曹を目指す。行政事件、刑事事件など公益的な活動に力を入れる一方、民事分野でも敷居が低く利用しやすいと同時に、内容的には決して妥協しない良質な法的サービスの提供に努めていきたいと思います。

所属事務所:
法律事務所フロンティア・ロー http://frontier-omiya.jp/index.html

同テーマの記事を見る 3つのコンテンツから検索ができます!

このページの先頭へ

このページの先頭へ