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電子商取引の注意点(5)オンライン契約と利用規約

テーマ:自社HP・eコマース

2013年1月17日

解説者

弁護士 高橋弘泰

 インターネット通販やインターネット・オークションなど、様々なインターネット取引や各種サービスの提供を行うウェブサイトには、利用規約、利用条件、利用契約等の取引条件を記載した「サイト利用規約」が掲載されていることが一般的です。
 インターネットを通じた消費者取引については、契約書を取り交わした上で行うことはまれであり、事業者はサイト利用規約を前提として利用者と取引を行うことが通常です。


では、サイト利用規約は、利用者との契約にその一部として組み入れられるのでしょうか。


【ウェブ上での契約の成立】

 サイト利用規約が契約に組み入れられるためには、そもそもウェブサイトを通じた取引やその利用に関して契約が成立することが前提となります。法律上は、当事者間の合意で契約が成立するという諾成主義を原則としているため、要物契約など特別な場合を除き、両当事者が合意内容に拘束されることを意図して合意すれば契約は成立することになります。しかし、後のトラブル防止のためには、サイト運営者と利用者が合意内容に拘束されるという意思が客観的に認められることが必要です。


【サイト利用規約が契約に組み入れられるための要件】

 ウェブサイトを通じた取引に関して契約が成立する場合に、サイト利用規約がその契約に組み入れられるためには、(1)利用者がサイト利用規約の内容を事前に容易に確認できるように適切にサイト利用規約をウェブサイトに掲載して開示されていること、及び(2)利用者が開示されているサイト利用規約に従い契約を締結することに同意していると認定できることが必要とされます。


 サイト利用規約が変更された場合には、変更後のサイト利用規約は変更後の取引についてのみ組み入れられ、変更前の取引については変更前のサイト利用規約が適用されます。


 インターネット取引は今日では広く普及しており、ウェブサイトにサイト利用規約を掲載し、これに基づき取引の申込みを行わせる取引の仕組みは、利用者の間では相当程度認識が広まっていると考えられます。したがって、取引の申込みにあたりサイト利用規約への同意クリックが要求されている場合はもちろん、例えば取引の申込み画面(例えば、購入ボタンが表示される画面)にわかりやすくサイト利用規約へのリンクを設置するなど、当該取引がサイト利用規約に従い行われることを明瞭に告知し、かつサイト利用規約を容易にアクセスできるように開示している場合には、必ずしもサイト利用規約への同意クリックを要求する仕組みまでなくても、購入ボタンのクリック等により取引の申込みが行われることをもって、サイト利用規約の条件に従って取引を行う意思を認めることができます。


 サイト利用規約が契約に組み入れられていると認定できる場合でも、消費者契約法第8条、第9条などの強行法規に抵触する場合には、その限度でサイト利用規約の効力が否定されることになります。また、具体的な法規に違反しないとしても、サイト利用規約中の利用者の利益を不当に害する条項については、普通取引約款の内容の規制についての判例理論や消費者契約法が消費者の利益を一方的に害する条項を無効としている趣旨等にかんがみ無効とされる可能性があります。


 なお、サイト利用規約には、例えば「利用条件」、「利用規則」、「ご同意事項」、「ご利用にあたって」など、サイトごとに様々な表題が付されていますが、サイト利用規約につきサイト側が付している表題は特段の事情がない限り効力に影響しません。


【サイト利用規約についての説明義務】

 消費者契約法第3条第1項は、事業者に対して消費者との契約の内容が「明確かつ平易なもの」となるよう努力義務を課しています。取引内容が複雑である場合には、サイト利用規約が長文で複雑になることは避け難い面があり、そのことが直ちにこの義務の違反になるわけではありません。しかし、サイト利用規約に不必要に難読な表現を用いることは避けるように配慮し、できるだけ平易な表現を用いてわかりやすく作成するように努めることがサイト運営者には求められます。


 同条項は努力義務を定めたものなので、サイト利用規約が複雑であったり、契約条件の説明が不十分であるからといって、当然にサイト利用規約の契約への組入れや効力に影響するものではありません。しかし、具体的な事情によっては、事業者には取引上の信義則として重要事項に関する適切な告知・説明の義務を負う場合があることから、事業者が重要な事項につき十分な説明を行わず、これにより利用者が取引条件を誤認して契約した場合には、損害賠償責任が課せられたりサイト利用規約の有効性が制限されたりする可能性があります。


 例えば、重要な事項について利用者に有利な条項はウェブサイト中で強調しつつ、不利益な条項は説明をせず、利用者に有利な条項は平易明瞭に、不利益な条項は難解な表現で記載するような行為は、消費者契約法第4条第2項の「消費者に対してある重要事項又は当該重要事項に関連する事項について当該消費者の利益となる旨を告げ、かつ、当該重要事項について当該消費者の不利益となる事実を故意に告げなかった」場合に該当する可能性があり、利用者がサイト利用規約には不利益な条項が含まれていないと誤信して契約を申し込んだ際には、利用者は契約の申込みの意思表示を取り消すことができます。



氏名:高橋弘泰

生年:1970年生

弁護士登録年・弁護士会:
2009年弁護士登録、第二東京弁護士会所属

学歴:
1994年東京大学法学部卒業

得意分野等:
東京都に勤務の後、大宮法科大学院に入学し、法曹を目指す。行政事件、刑事事件など公益的な活動に力を入れる一方、民事分野でも敷居が低く利用しやすいと同時に、内容的には決して妥協しない良質な法的サービスの提供に努めていきたいと思います。

所属事務所:
法律事務所フロンティア・ロー http://frontier-omiya.jp/index.html

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