本文とサイドメニューへジャンプするためのナビゲーションスキップです。

トップページ  >  経営をよくする  >  法律コラム

特集一覧 中小企業に役立つ記事や施策をトピックスごとにまとめています。

契約書の読みかた(5)解除条項

テーマ:契約・取引

2012年11月 8日

解説者

弁護士 高橋弘泰

 いったん契約を結んだら、当事者はいつでも好きな時に解除することはできません。契約を解除することは、契約の拘束力から当事者を解放します。簡単に契約の解除が認められると、当事者だけでなく、取引関係にある第三者にも影響を及ぼしますから、民法では、解除権が発生する場合を、履行遅滞や履行不能の場合などに限定しています。


 しかし、民法の解除に関する条文は強行規定(違反したら契約が無効になるような規定)ではありませんから、契約により、民法が定める事由以外にも解除事由(解除できる理由となる事実)を定めることができます。ビジネス契約においては、通常はさまざまな解除事由が定められることが多いでしょう。解除事由を定めた条項を解除条項といいます。


【解除事由の定め方】

 ビジネス契約でよく定められる解除事由としては、


  • 契約違反
  • 仮差押え、仮処分、強制執行、競売申立て、破産、民事再生、会社更生開始の申立て
  • 租税公課の滞納による督促
  • 支払い停止、手形交換所の取引停止
  • 監督官庁による行政処分

などがあります。


 解除事由について抽象的な定め方をしている場合、例えば契約違反という解除事由については、当事者間で契約の解釈が異なるため、契約違反の事実がないとして争いになることも想定されます。


 そこで、解除事由を具体化するための条項を設ける場合があります。たとえば、次のような条項です。
 「甲または乙は、相手方が本契約に違反している事実が判明したときは、文書にてその是正を求め、文書通知後10日以内に相手方が是正を行わないときは、何ら催告を要せず本契約を解除できる。ただし、第○条違反(○○違反)に関する場合は、本契約の重大な違反とみなし、相手方に通知することなく直ちに本契約を解除することができる。」


【倒産解除条項】

 上に挙げた解除事由のうち、仮差押えや税金の滞納、支払い停止など、相手方に強い信用不安が生じた場合に、無催告解除ができるとする規定を、倒産解除条項といいます。


 しかし、このように解除特約を規定していても、実際の倒産手続きにおいては解除権の行使が制限される場合があります。
 これは、倒産手続きに入って破産管財人がついた場合に、債権者平等の原則や破産法における債権処理の規定が優先するという理由で、裁判で特約の有効性が否定されることがあるためです。


 たとえば、売主が破産し、破産管財人が買主に売買代金の支払いを請求したところ、買主が倒産解除条項により解除を主張して支払いを拒んだケースにおいて、倒産手続きにおいては、取引を継続するかどうかの判断は管財人に任されているから、一方当事者による解除は認められないといして、解除が認められなかった裁判例があります(東京地裁平成10年12月8日判決)。


 ですから、当事者としては、解除条項のみに頼るのではなく、取引先の信用状況をチェックし、取引量の調整や支払いサイトの短縮(または現金払い)などでリスクヘッジしておくことも大切です。


【継続的契約の場合】

 会社間の契約では、継続的な取引関係がある場合に、基本契約書と個別契約書をそれぞれ作成し、基本契約書で、解除事由が生じた時には催告なしに解除できるという条項を設けることがしばしばあります。


 しかし、裁判になった場合、継続的契約においては解除条項による解除が認められず、解除権の行使には「やむを得ない事由」が要求されることが多いので、注意が必要です。


 継続的契約は、通常は当事者間の信頼関係を基礎にしたものであることから、単なる(1回の)債務不履行では解除を認めることが相手方に酷であり、信頼関係が破壊されたといえるようなやむを得ない事情がある場合に限って解除を認めるという考え方が取られることが裁判上は多いのです。


 また、取引契約が継続的契約と言えるかどうか自体が争いになる場合もあります。契約書に「継続的」取引であることが明示されていれば問題ありませんが、そうでない場合は、取引の実体、取引条件や数量、価格などによって、継続的取引かどうかの認定がされることになります。



氏名:高橋弘泰

生年:1970年生

弁護士登録年・弁護士会:
2009年弁護士登録、第二東京弁護士会所属

学歴:
1994年東京大学法学部卒業

得意分野等:
東京都に勤務の後、大宮法科大学院に入学し、法曹を目指す。行政事件、刑事事件など公益的な活動に力を入れる一方、民事分野でも敷居が低く利用しやすいと同時に、内容的には決して妥協しない良質な法的サービスの提供に努めていきたいと思います。

所属事務所:
法律事務所フロンティア・ロー http://frontier-omiya.jp/index.html

同テーマの記事を見る 3つのコンテンツから検索ができます!

このページの先頭へ

このページの先頭へ