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不正競争防止法とは(6)秘密漏えいに対する保護

テーマ:特許

2011年10月27日

解説者

弁護士 高橋弘泰

 前回のコラムでは、不正競争防止法によって保護されている「営業秘密」について詳しく説明しました。今回は、営業秘密が漏えいした場合、不正競争防止法はどのような民事上・刑事上の保護措置を用意しているかについて説明したいと思います。


【民事的保護】

 不正競争行為に対する民事的保護については、以前コラムで説明したとおり、(1)差止請求権、(2)損害賠償請求権、(3)信用回復請求権が定められています。


1.差止請求権(不正競争防止法3条)

 たとえば、他人の営業秘密である技術情報を用いて商品が製作されるおそれがある場合、その商品の部品または設備の廃棄などを請求できます。また、侵害の停止として、販売行為の停止を求めることもできます。


 営業秘密に関する差止請求権は、差止めの対象となる行為が継続する場合、当該行為及びその行為者を知った時から3年の消滅時効にかかり、また、当該行為の開始時から10年の除斥期間が定められています(同法15条)。


2.損害賠償請求権(同法4条)

 損害賠償請求をする場合には、損害額は原則として請求する側が主張立証しなければなりません。しかし、営業秘密に関する不正競争の場合は、侵害した者が「侵害により受けた利益の額」が損害額と推定されます(同法5条2項)。特に、技術上の営業秘密が侵害された場合、「(被害者がその侵害行為がなければ販売することができた物の単位数量あたりの利益)×(侵害者が販売した物の数量)」を損害額と推定することができるため、侵害者が利益を上げていない場合にも逸失利益の立証が容易になっています(同法5条1項)。


3.信頼回復請求権(同法14条)

 謝罪広告の掲載など、営業秘密の漏えい行為によって損なわれた信頼を回復するために必要な措置を求めることができます。


【秘密保持命令】

 営業秘密の漏えいが訴訟で争われた場合、裁判所に書面や証拠を提出することになりますが、これらの書面や証拠に営業秘密が含まれている場合、訴訟を通じて営業秘密が漏えいする危険性があります。


 そこで、秘密保持命令(同法10〜12条)という制度により、裁判所は、訴訟の当事者に対して、書面や証拠に含まれる営業秘密を不正に使用または開示してはならないと命じることができます。この命令に違反した場合には、5年以下の懲役または500万円以下の罰金が科されることになります。


【刑事的保護】

 不正競争防止法は、営業秘密の不正な取得・使用・開示行為のうち、悪質な行為を刑事罰の対象としています(同法21条1項・2項)。国内で管理されている営業秘密を海外で使用・開示する行為も、国外犯として刑事罰の対象となります(同法21条4項・5項)。さらに、行為者だけでなく、その者が所属する法人も処罰の対象となります(同法22条1項)。


 刑事罰の対象となる営業秘密の漏えい行為は、類型ごとに列挙されています(同法21条1項1ないし9号)。
 すべて説明すると細かくなりすぎますので、大まかに言えば、「図利加害目的で」営業秘密を不正に取得する行為、使用または開示する行為がそれに該当します。図利加害目的とは、行為者が自己若しくは第三者の利益を図ったか(利得犯)、本人に損害を加える目的があった(財産侵害犯)ことを意味します。図利加害目的は背任罪の要件でもあります。営業秘密の漏えいには、背任行為としての側面があるということです。


1.罰則

 不正競争防止法21条1項に定める営業秘密侵害罪に対しては、10年以下の懲役または1000万円以下の罰金(またはこれの併科)が科されます。


2.親告罪

 営業秘密侵害罪は、親告罪であり、公訴提起には被害者からの告訴が必要です(同法21条3項)。


3.法人処罰

 法人の業務に関して、特定の営業秘密侵害罪が行われた場合には、行為者が処罰されるほか、その者が所属する法人も3億円以下の罰金の対象となります(同法22条1項)。


 法人処罰については、従業者等の選任・監督その他違反行為を防止するために必要な注意を尽くさなかったという過失の存在が推定され、その注意を尽くしたことを証明しないと事業主も刑事責任を免れません。そこで、法人処罰を受けないためには、積極的かつ具体的に違反行為の防止のために必要な注意を尽くしていたことが要求されます。


 そこで次回は、法人がリスクを負わないため、営業秘密をどう管理するかについての実務的な対策について説明します。


氏名:高橋弘泰

生年:1970年生

弁護士登録年・弁護士会:
2009年弁護士登録、第二東京弁護士会所属

学歴:
1994年東京大学法学部卒業

得意分野等:
東京都に勤務の後、大宮法科大学院に入学し、法曹を目指す。行政事件、刑事事件など公益的な活動に力を入れる一方、民事分野でも敷居が低く利用しやすいと同時に、内容的には決して妥協しない良質な法的サービスの提供に努めていきたいと思います。

所属事務所:
法律事務所フロンティア・ロー http://frontier-omiya.jp/index.html

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