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不正競争防止法とは(5)秘密漏えい行為について

テーマ:特許

2011年10月20日

解説者

弁護士 高橋弘泰

 不正競争防止法では、営業秘密の保護についても規制されています。
 インターネットの普及、ファイル交換ソフトの流通などにより、企業の保有するさまざまな情報漏えいのリスクは非常に高まっています。漏えいした場合に取ることのできる手段を考慮する際にも、保有する情報のうちどれが営業秘密であるのかを理解するのは大切なことです。


 ここでいう「営業秘密」には、個人情報保護法という法律で保護の対象となる個人情報と重なる部分もあります。たとえば、顧客名簿を構成するような個人情報などがそうです。ただし、個人情報保護法ではプライバシー保護の側面が強いのに対し、営業秘密は自社の営業活動における営業上の利益を守るという視点からその漏えい行為が規制されていますから、どこまでが保護されるかの範囲は両方の法律で異なります。


【営業秘密の3要件】

 営業秘密とは、「秘密として管理されている生産方法、販売方法その他事業活動に有用な技術上又は営業上の秘密であって、公然と知られていないもの」をいうとされます(不正競争防止法2条6項)。
 この定義から分かることは、(1)秘密として管理されていること(秘密管理性)、(2)事業活動に有用な技術上又は営業上の情報であること(有用性)、(3)公然と知られていないこと(非公知性)という3つの要件をすべてみたす場合にのみ不正競争防止法上の保護の対象になるということです。


【秘密管理性とは】

 秘密として管理されているといえるためには、その情報が客観的に秘密として管理されていると認識できる状態にあることが必要です。そのために、(1)情報にアクセスできる者が特定されていること(アクセス制限)、(2)情報にアクセスした者が、それが秘密であると認識できること(客観的認識可能性)の二つが必要となります。


 アクセス制限とは、具体的には、アクセスできる者が限定され、権限のない者によるアクセスを防ぐような手段が取られていることをいいます。施錠されている保管室や外部者立入禁止の事務室での保管、自社システムと外部ネットワークの遮断などの措置が取られていればよいと考えられています。


 客観的認識可能性とは、(1)アクセスした者が、管理の対象となっている情報をそれと認識できるような状況になっており、また、(2)アクセス権限のある者が、それを秘密として管理することに関心を持ち、責務を果たすような状況にあり、さらに、(3)それらが機能するように、組織として何らかの仕組みをもっていること、をいうとされます。何らかの仕組みというのは、情報の取り扱いに関して上位者の決裁を得る仕組みの存在や、外部からのアクセスへの応答に関する手順の設定といったものを差します。
 たとえば文書にマル秘マークが押印されているような場合には、客観的認識可能性があるといえるでしょう。


【有用性とは】

 有用性とは、財やサービスの生産、販売、研究開発に役立つなど、事業活動にとって有用なものをいいます。その情報を利用することによって経費の節約や経営効率の改善に役立つものであれば、有用性が認められます。具体例としては、設計図、製造法、顧客名簿、仕入先リスト、販売マニュアルなどです。


 現実に利用されていなくとも、将来的に価値がある可能性があればよいと考えられます。ただし、取締役のゴシップやスキャンダルといった情報は、事業活動に役立つとは言えないので、有用性は認められません。実験の失敗データに関しては、開発段階のコスト削減に役立ちますから、有用性が認められる場合もあります。


【非公知性とは】

 非公知性とは、刊行物等に記載されていないなど、一般に入手できない状況にあることをいいます。情報を知る人数の多寡にかかわらず、ライセンス契約で秘密保持義務を定めているような場合には非公知であるといえます。


 以上が「営業秘密」にあたるかどうかのメルクマールです。では、これらの要件に該当する営業秘密の漏えいに対しては、どのような規制が設けられているのでしょうか。
 次回は、営業秘密が漏えいした場合の民事上・刑事上の保護措置について説明したいと思います。


氏名:高橋弘泰

生年:1970年生

弁護士登録年・弁護士会:
2009年弁護士登録、第二東京弁護士会所属

学歴:
1994年東京大学法学部卒業

得意分野等:
東京都に勤務の後、大宮法科大学院に入学し、法曹を目指す。行政事件、刑事事件など公益的な活動に力を入れる一方、民事分野でも敷居が低く利用しやすいと同時に、内容的には決して妥協しない良質な法的サービスの提供に努めていきたいと思います。

所属事務所:
法律事務所フロンティア・ロー http://frontier-omiya.jp/index.html

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