本文とサイドメニューへジャンプするためのナビゲーションスキップです。

トップページ  >  経営をよくする  >  法律コラム

特集一覧 中小企業に役立つ記事や施策をトピックスごとにまとめています。

全株式譲渡制限会社による募集株式の発行(5)

テーマ:資金調達

2010年7月15日

解説者

弁護士 戸谷 景

【申込みを条件とする割当て】

 第三者割当てによって募集株式を発行する場合、株主総会で募集事項を決定する前の段階で、誰に対して何株発行するかが、会社と第三者との間である程度決まっているのが通常であると思われます。


 そのような場合には、申込みを条件とする割当てや、次に説明する総数引受契約(会社法205条)を行うことによって、これまで説明してきた手続をいくらか省略できることになります。


 申込みを条件とする割当ては、株主総会で募集事項を決定すると同時に、○○から申込みがあることを条件として、○○に対して○株を割り当てる、という割当ての決定も行ってしまうテクニックで、これにより、株主総会を2回開催する手間を省くことができます。


 もっとも、取締役会設置会社の場合、割当てを行う機関は原則として取締役会となるので(会社法204条2項)、割当ての決定は株主総会によるという定款の定めがない限り、募集事項を決定する株主総会で割当ての決定をすることはできないことになります。


【総数引受契約】

 これは、会社と募集株式を引き受けようとする者との間で、募集株式の総数の引受契約を締結するというテクニックです。


 総数引受契約が締結された場合には、これまでに説明してきた募集事項等の通知(同法203条1項)、申込み(同条2項)、割当て(同法204条1項)、割当ての通知(同法204条3項)の手続が不要になります(会社法205条)。


 募集事項等の通知が要らない理由は、総数引受契約が締結される場合には、契約を締結する際に必要な情報はきちんと提供されるだろうと考えられるので、あえて法律で情報提供を義務付ける必要はないから、などと説明されています。


 総数引受契約は、会社が複数の者との間で複数の契約書を作成して締結することも可能ですが、実質的に同一の機会に一体的な契約で募集株式の総数の引受けが行われたと評価できなければならないとされています。


 なお、変更登記の申請に際しては、総数引受契約を証する書面(通常は契約書)を添付する必要があります。


【現物出資】

 現物出資とは、金銭以外の財産による出資のことをいいます。
 現物出資財産は、不動産、動産、債権、有価証券、知的財産権、事業でもかまいません。


 第1回目のコラムにおいても少し触れましたが、現物出資を行うためには、募集事項を決定した株主総会の議事録に、現物出資財産の内容と価額を記載しておかなければならず、後に説明する一定の場合を除き、募集事項の決定後、遅滞なく、裁判所に対して検査役の選任を申し立てなければなりません(会社法207条1項)。


 検査役の調査の対象は、現物出資財産の価額であり、検査役の報酬額は、裁判所が定めることができるとされています(同条3項)。


 そして、検査役の報告を受けた裁判所が、現物出資財産の価額を不当に高いものと判断したときは、これを変更する決定がなされます(同法207条7項)。


 この決定に不服がある現物出資者は、即時抗告により争うことができ(同法872条4号)、決定の確定後1週間以内であれば、引受けの申込みを取り消すことができます(同法207条8項)。


【検査役の調査が不要となる場合】

 このような面倒かつ費用がかかる検査役の手続を回避できるのは、次の場合です。


  1. 現物出資者に割り当てる株式の総数が発行済株式総数の1/10を超えない場合(会社法207条9項1号)
  2. 現物出資財産の価額が500万円を超えない場合(同項2号)
  3. 現物出資財産が市場価格のある有価証券で、その価額が市場価格として法務省令(会施規43条)で定める方法により算定されるものを超えない場合(同項3号)
  4. 現物出資財産の価額が相当であることについて、弁護士・公認会計士・税理士等の証明を受けた場合(不動産の場合は不動産鑑定士の鑑定評価を要する)(同項4号)
  5. 現物出資財産が会社に対する金銭債権であって(いわゆるデット・エクイティ・スワップ)、その弁済期がすでに到来しており、かつ、その価額が当該金銭債権にかかる負債の帳簿価額を超えない場合(同項5号)

氏名:戸谷 景

弁護士登録年・弁護士会:
2009年弁護士登録、第二東京弁護士会所属

学歴:
2008年大宮法科大学院大学卒業

所属事務所:
法律事務所フロンティア・ロー http://frontier-omiya.jp/index.html

同テーマの記事を見る 3つのコンテンツから検索ができます!

このページの先頭へ

このページの先頭へ