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法律コラム


[知的財産法|2014年3月25日]
弁護士 石井邦尚

会社名やブランド名、商品名などの使用と保護(5)不正競争防止法による保護(1)周知商品等表示の保護

弁護士 石井邦尚

【不正競争防止法による保護】

 ビジネスでは会社名やブランド名、商品名、サービス名など、様々な名称が使われます。それに併せて、ロゴマークなどが使われることもよくあります。

 こうした名称やマークなどを保護する代表的な法律が商標法ですが、商標登録が必要です。商標登録を行っていなかった場合は、自社の商品名などが他の企業に使われてしまっても、あきらめるしかないのでしょうか。

 「会社名やブランド名、商品名などの使用と保護(1)概説」でも少し触れましたが、不正競争防止法により、商標登録されていない表示でも、その使用等が禁止される場合があります。

 不正競争防止法で禁止される行為の一つは、商品主体等混同行為と呼ばれるもの(同法2条1項1号)、もう一つは著名表示冒用行為と呼ばれるもの(同法2条1項2号)です。

 これらは禁止される行為に着目した呼称ですが、保護される表示に着目して、前者(商品主体等混同行為の禁止)を「周知商品等表示の保護」、後者(著名表示冒用行為の禁止)を「著名商品等表示の保護」とも呼びます。

 こうした行為によって営業上の利益を侵害される者等は侵害者等に対し、その侵害の停止又は予防を請求することができ(同法3条)、損害が発生した場合は、損害賠償請求をすることができます(同法4条)。

 今回は周知商品等表示の保護について解説します。

【周知商品等表示の保護の要件】

 不正競争防止法2条1項1号は、他人の商品等表示として「需要者の間に広く認識されているもの」(=周知商品等表示)と「同一若しくは類似の商品等表示」を使用するなどして、「他人の商品又は営業と混同を生じさせる行為」を禁止しています。

 これは、ある者の営業努力により築いてきた信用や顧客吸引力に、他人がただ乗りすることや、需要者が商品の出所を誤解してしまうこと、それにより信用が傷つくこと等を防止しようとするものです。

 「需要者」は、商品等の取引の相手方をいいます。消費者のような最終需要者に限らず、商取引上の各取引段階における取引者も含まれ、商品等の需要の実態に応じて具体的に判断されます。

 「広く認識されている」ということの地域的範囲としては、全国的に周知であることまでは必要なく、一地方で周知であれば、その限りにおいて(=その地方では)保護されます。逆に言えば、ある地方で周知であっても、相手方の営業地域で周知でなければ、差止や損害賠償を求めることはできません。

 「広く認識されている」かは、商品等表示対象の種類、取引実態、取引慣行、宣伝活動、商品等表示の内容などの諸般の事情に基づき総合的に判断されます。

 「混同」は、現に発生している必要はなく、混同が生じるおそれがあればよいとされています。ただし、漠然とした「おそれ」ではなく、一般取引者や需要者の平均的な注意力、記憶能力を基にした具体的な危険であることが必要です。

【具体例】

 周知商品等表示の保護が認められた裁判例として、例えば次のものが有名です。

 ソニーの「ウォークマン」と同一の表示を看板等に使用したり、「有限会社ウォークマン」という商号として使用したりした業者に対し、その表示の使用禁止及び商号の抹消請求が認められたという例(千葉地裁平8年4月17日判決)。

 大阪の有名な料理屋の名物である「動くかに看板」と類似した「かに看板」を使用した同業者に対し、看板の使用禁止及び損害賠償が認められたという例(大阪地裁昭和62年5月27日判決)。

【どのように「周知」を立証するか】

 周知性が認められるかどうかは、例えば、販売額や販売数量などの販売実績、営業規模、表示の使用期間、宣伝広告の実態、マスコミへの掲載状況、アンケート結果、用語辞典への掲載などを参照しながら、総合的に判断されます。最近では、インターネットやSNSでのホームページや商品紹介ページへのアクセス状況等も資料になるでしょう。

 総合判断となるため、どうしても様々な資料を集める必要がありますし、自分たちでは立証できたと思っても、裁判所が周知性を認めるかどうかはわからないという不安定性があります。事後的に、やむを得ず不正競争防止法の周知商品等表示の保護を主張するというケースはともかく、まずは商標登録を検討することを最優先とすべきです。

【適用除外】

 また、周知性が認められる商品等表示でも、不正競争防止法19条に該当する場合は、周知商品等表示の保護の適用が除外され、同法による保護が受けられません。これについては、著名商品等表示(同法2条1項2号)についての適用除外とほぼ同じものですので、次回、あわせて解説します。

氏名:石井邦尚

生年:1972年生

弁護士登録年・弁護士会:
1999年弁護士登録、第二東京弁護士会所属

学歴:
1997年東京大学法学部卒業、2003年コロンビア大学ロースクールLL.M.コース修了

得意分野等:
専門は企業法務。30年ほど前に小5ではじめてコンピュータを知ったときの驚きと興奮が忘れられずに、今でもITを愛好していることの影響から、企業法務の中でも、特にIT関連の法務を専門としている。著書に「ビジネスマンと法律実務家のためのIT法入門」(民事法研究会)など。

所属事務所:
カクイ法律事務所 http://www.kakuilaw.jp

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