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法律コラム


[人事・労務|2009年12月10日]
弁護士 石井邦尚

人事・労務の基礎(5) 会社が実施すべきセクハラ対策

弁護士 石井邦尚

1.会社に求められるセクハラ対策

 前回も述べましたが、セクハラ対策は、従業員(特に女性従業員)が安心して仕事に集中できる環境を整え、生産性を向上させるために大切なものです。現在では、セクハラ対策は法律でも求められ、いわば会社として「当然やらなければならないこと」になっています。
 そして、具体的にどのようにすればよいのかについても、現在は厚労省から指針が示されており、まずはそれに従った対策を検討すべきです。今回は、厚労省の指針に準拠して説明します。

2.セクハラ対策の概要

 セクハラ対策として求められることは、

  • I . セクハラに対する会社の方針を明確にしてそれを周知・啓発すること(方針の明確化と周知・啓発)
  • II . 相談や苦情に適切に対応するための体制を整備すること(体制の整備)
  • III . セクハラ(が疑われる)問題が発生したときに迅速かつ適切に対応すること(適切な事後対応)

です。さらに、I〜IIIと同時に、

  • IV . 行為者・相談者等のプライバシーの保護や相談者等の不利益扱いの禁止 といった措置も必要です。

 これらについて、順に説明します。

3.方針の明確化と周知・啓発

 まず、(1)そもそも何が職場におけるセクハラになるのかということ、そしてセクハラがあってはならないということを明確にし、それを従業員らに周知・啓発することが必要です。何がセクハラかは一般にまだまだ十分に理解されているとは言い難い状況ですし、「このくらいはいいだろう」といった考えが抜け切れていない人もいます。会社として、セクハラを起こしてはならないという方針を明確に示すことは最初に行うべき重要なことです。
 周知・啓発の方法としては、例えば、社内報などへの掲載、講習の実施などの方法があるでしょう。
 さらに、やはりセクハラを起こしてはならないと言っているだけでは不十分で、(2)セクハラを行った者に対しては厳正に対処するということを、具体的な対処の内容(懲戒など)も含め、就業規則などに定めて、それを周知・啓発することも必要です。もし、まだ就業規則などで定めていないようであれば、その見直しが必要になります。

4.体制の整備

 体制の整備としては、まず(1)相談対応の窓口を定めることになります。相談窓口は「実質的」なものであることが必要で、できるだけ相談しやすい状況を作るべきです。会社内部の相談窓口の他に、外部にも窓口を設けることも一考に値します。私も、外部窓口の依頼を受けることがあります。
 そして、(2)窓口で相談を受けた後、適切に対応できる体制を作っておくことも非常に重要です。相談窓口は話を聞くこと自体が目的ではありません。相談を受けた後の体制、つまり窓口で聞いた話をもとに、誰(どこの部署)に相談し、誰(部署)と連携して対応するのかなどもマニュアルを作るなどして定めておく必要があります。また、窓口で受けた相談は、最終的には権限のある人・部署が対応する(対応できる)ようにしておかなければ、有効に機能するか疑わしくなります。相談後の対応ルートの人物がセクハラ当事者とされる場合もあり得るので、複数の対応ルートあるいは迂回ルートがある方が望ましいでしょう。
 また、相談者が安心して相談できるためには、相談後の対応ルートも、あらかじめ示されていることが望ましいと言えます。

5.適切な事後対応

 セクハラの相談があった場合や、セクハラの(疑われる)事例を認知した場合には、迅速かつ適切な対応が求められます。
 まずは(1)事実関係を迅速かつ正確に確認しなければなりません。迅速な対応のためには、上述の通り、前もって体制を整備しておくことが重要です。
 事実関係を把握し、セクハラが確認された場合は、(2)行為者に対する措置と被害者に対する措置を適正に行います。就業規則などに基づいて懲戒処分を行ったりする他、行為者から謝罪させるなどして被害者との関係改善を図ったり、場合によっては被害者から行為者を引き離すために配置転換も考える必要があるかもしれません。会社が、きちんとした、毅然とした態度でのぞまないと、かえって問題をこじらせることもあるので注意が必要です。
 そして、最後に(3)あらためてセクハラに関する方針を周知・啓発するなど再発防止に向けた措置を講ずることが重要です。起きた問題を個々の問題として終わりにするのではなく、会社全体の問題ととらえて対応するべきです。なお、セクハラの相談を受けたけれども事実確認まではできなかった場合でも、やはり同様の措置を行い、問題の発生を未然に防ぐ努力をすべきでしょう。

6.プライバシー保護や不利益扱いの禁止

 上記のような対策や措置を講じるにあたっては、相談者や行為者(と疑われている者)のプライバシーを保護しなければなりません。4.で述べた体制の整備の中で、相談窓口担当者や相談後の対応ルート上の人たちには、プライバシー保護も含めた研修などを行うべきでしょう。事後対応のマニュアルなどの中でも、プライバシーが保護されるような仕組みを組み込めると望ましいです。
 また、当然のことですが、セクハラを訴えたために会社で不利益に扱われるようなことがあっては、セクハラ対策は全く機能しません。そうしたことのないよう、特に注意が必要です。

7.最後に

 以上のセクハラ対策は、セクハラ問題を完全に防止することはできないことを前提に、できるだけ発生を抑えるとともに、セクハラが発生した場合に適切な処置を行うことで被害の拡大を防ぎ回復を図ることを目指したものといえます。このような対策をとらないまま、セクハラ問題が発生したり、被害を拡大させたりしてしまえば、会社に対する非難は免れないでしょう。繰り返しになりますが、よりよい環境作り、生産性の向上のためのものと捉えて、セクハラ対策に積極的に取り組んでいただきたいと思います。

氏名:石井邦尚

生年:1972年生

弁護士登録年・弁護士会:
1999年弁護士登録、第二東京弁護士会所属

学歴:
1997年東京大学法学部卒業、2003年コロンビア大学ロースクールLL.M.コース修了

得意分野等:
米国留学から帰国後に「挑戦する人(企業)の身近なパートナー」となるべくリーバマン法律事務所を設立、IT関連事業の法務を中心とした企業法務、新設企業・新規事業支援、知的財産などを主に取り扱う。留学経験を活かし、国際的な視点も重視しながら、ビジネスで日々発生する新しい法律問題に積極的に取り組んでいる。

所属事務所:
リーバマン法律事務所 http://www.rbmlaw.jp/

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