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ドメインの登録で注意すべきこと(4)ADRとの関係(2)

テーマ:自社HP・eコマース

2010年10月14日

解説者

弁護士 森山裕紀子

 前回はJPドメイン紛争の解決手段として、(1)ADRの効果としてドメインの削除や移転が認められること、(2)その手続がどのように進められるかについて検討してきました。今回は、具体的にどのような条件を満たすとドメインの削除や移転が認められるかについて検討していきます。


【ドメイン紛争のADR】

 JPドメインに関して、ADRを利用しようとした場合、社団法人日本知的財産仲裁センターが「JPドメイン名紛争処理方針」(以下「紛争処理方針」といいます。)に基づき、裁決を下します。
 紛争処理方針4条aによると、下記の(1)〜(3)の3要件のすべて満たしたとき、JPドメインを登録者から申立人に移転させる、又は登録者のドメインを取り消すことができるとされています。


  1. (1)登録者のドメイン名が、申立人が権利または正当な利益を有する商標その他表示と同一または混同を引き起こすほど類似していること
  2. (2)登録者が当該ドメイン名の登録についての権利または正当な利益を有していないこと
  3. (3)登録者の当該ドメイン名が不正の目的で登録または使用されていること

 要件(1)については、第三者が登録している商標についてのドメインを取る場合などが考えられますが、要件(2)や(3)については、「正当な目的」や「不正の目的」など抽象的な要件で、具体的にどのような行為だと問題になるのかがわかりません。このため、紛争処理方針ではその具体的内容が記載されています。


【要件(2)について】

 要件(2)では、登録者がドメインの文字列に対して「正当な利益」を有していない場合を条件としています。紛争処理方針では反対に、どんな場合に「正当な利益」があるのか、3つの例示をあげています。


  1. (i)登録者が、当該ドメイン名に係わる紛争に関し、第三者または紛争処理機関から通知を受ける前に、何ら不正の目的を有することなく、商品またはサービスの提供を行うために、当該ドメイン名またはこれに対応する名称を使用していたとき、または明らかにその使用の準備をしていたとき
  2. (ii)登録者が、商標その他表示の登録等をしているか否かにかかわらず、当該ドメイン名の名称で一般に認識されていたとき
  3. (iii)登録者が、申立人の商標その他表示を利用して消費者の誤認を惹き起こすことにより商業上の利得を得る意図、または、申立人の商標その他表示の価値を毀損する意図を有することなく、当該ドメイン名を非商業的目的に使用し、または公正に使用しているとき

 とされています。いずれも仮に第三者の商標等と同じ文字列を登録したとしても、登録者が既にドメイン名と同じ文字列を利用して何らか適正な活動をしていた場合などには、「正当な利益」が認められているようです。


【要件(3)について】

 では、要件(3)、「不正の目的」でドメインを登録しているとはどのようなことでしょうか?この点についても紛争処理方針は、いくつかの例を示しています。


  1. (i)登録者が、申立人または申立人の競業者に対して、当該ドメイン名に直接かかった金額(書面で確認できる金額)を超える対価を得るために、当該ドメイン名を販売、貸与または移転することを主たる目的として、当該ドメイン名を登録または取得しているとき
  2. (ii)申立人が権利を有する商標その他表示をドメイン名として使用できないように妨害するために、登録者が当該ドメイン名を登録し、当該登録者がそのような妨害行為を複数回行っているとき
  3. (iii)登録者が、競業者の事業を混乱させることを主たる目的として、当該ドメイン名を登録しているとき
  4. (iv)登録者が、商業上の利得を得る目的で、そのウェブサイトもしくはその他のオンラインロケーション、またはそれらに登場する商品およびサービスの出所、スポンサーシップ、取引提携関係、推奨関係などについて誤認混同を生ぜしめることを意図して、インターネット上のユーザーを、そのウェブサイトまたはその他のオンラインロケーションに誘引するために、当該ドメイン名を使用しているとき

 (i)などは、実際に交渉をしてみないとわからない部分ではありますが、(ii)以後はドメイン名と同じ文字列である他人の登録名などを利用して、商売をしたり、害意をもって商売を妨害する場合などが考えられます。


【まとめ】

 ドメインは、先に登録した者の権利を尊重する先願主義を採用しています。そうすると、誰でもどんなドメインでも登録して良いことになります。しかし、商標法や不正競争防止法で仮に訴訟をすることが出来ない場合も、ADRによってドメインの悪用は排除される傾向にあります。インターネット社会においては、ドメイン名が商標のような機能を果たすこともあり得ることを考えると、当然な流れと言えます。ドメイン登録をする際には、仮に他者の有名な文字列のドメインが未登録であったとしても、安易に登録をすることは差し控えた方が良いでしょう。


氏名:森山裕紀子

弁護士登録年・弁護士会:
2008年弁護士登録、第二東京弁護士会所属

学歴:
1998年 明治学院大学法学部卒業、2000年 横浜国立大学大学院国際経済法学研究科修了(国際経済法学修士)、2003年 大宮法科大学院大学法務研究科法務専攻修了(法務博士・専門職)

経歴:
2008年 大宮法科大学院大学非常勤講師(至現在)

得意分野等:
IT法、個人情報保護法、企業法務、一般民事他

所属事務所:
法律事務所フロンティア・ロー http://frontier-omiya.jp/index.html

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