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反社会的勢力との関係遮断(4)

テーマ:企業統制・リスク管理

2011年7月 7日

解説者

弁護士 石井邦尚

 企業が反社会的勢力と関係することは、それが発覚したときに社会から大きな非難を浴び、企業の信用を毀損することになります。さらに、そうした事実上のリスクだけでなく、例えば、以下で述べるような具体的な法的リスクもあります。


【取引先からの契約解除や損害賠償請求等】

 取引先との契約に、反社会的勢力排除条項が含まれている場合、反社会的勢力と関係すると契約が解除されることになります。


 仮に反社会的勢力排除条項が入っていなかったとしても、最近の情勢からすると、契約解除を求められる可能性が高いでしょう。その場合に、契約解除が訴訟で認められることも十分にあり得ると思われます。
 さらに、契約の中に違約金の定めがある場合は、違約金を請求されることになります。違約金の定めがなくても、契約途中での解除となった場合には相手方に損害が発生していることが少なくなく、反社会的勢力と関係することにより解除原因を作った会社は、相手方の損害を賠償する責任を負うことになります。


【公共契約からの排除】

 反社会的勢力と関係している場合、国や地方自治体の公共工事など公共契約から、指名停止等により排除される可能性が高いです。地方自治体の取り組み状況には地域差もありますが、現在の情勢からすれば、国も地方自治体も、今後ますます厳しい方向に進むものと思われます。


 また、公共工事等を受注した場合でも、現在は国や地方自治体との契約(契約約款)の中に反社会的勢力排除条項が含まれているケースが多いと思われます。反社会的勢力排除条項違反の場合の違約金が定められていることもあるようです。こうした場合は受注できたとしても解除されてしまいますし、反社会的勢力との関係が始まる前から締結していた契約も解除されることになります。


【地方自治体の暴力団排除条例違反】

 現在は多くの地方自治体で暴力団排除条例を定めています。東京都では、平成23年3月に制定され、同年10月1日から施行されることになっています。


 暴力団排除条例違反に対し、罰則などが定められていることも少なくありません。例えば東京都暴力団排除条例では、違反に対して勧告、公表、命令がなされることが定められ、命令に違反した場合には懲役又は罰金が科されるという罰則があります。また、会社の代表者や従業員などが違反した場合には、代表者や従業員などだけでなく、会社にも罰金刑が科されるという両罰規定も置かれています。


【取締役の責任】

 取締役は会社に対して善管注意義務を負っており、これに違反して会社に損害を生じさせた場合には、その損害を賠償する責任を負います。株主代表訴訟により損害賠償請求がなされる可能性もあります。


 反社会的勢力に利益を供与したような場合には、供与した利益相当分などの損害が会社に発生したものとして、取締役がその損害を賠償する責任を応可能性は高いといえます。
 さらに、反社会的勢力の排除が社会的に強く要請されている現在の状況を踏まえれば、反社会的勢力排除に適切に取り組まなかったために、契約の解除、公共工事の指名停止、暴力団排除条例違反などにより会社に損害が発生した場合は、取締役は善管注意義務違反として、会社に発生した損害を賠償する責任を負う可能性が十分にあります。


 反社会的勢力排除の要請は、今後ますます強まっていくものと予想されることからすると、内部統制システムと同様に(もしくはその一環として)、反社会的勢力を排除する体制を整えることも取締役の責任と位置づけられていくことも考えられます。


 以上のように、反社会的勢力排除の問題は、単なる社会的責任や企業倫理といった問題ではなく、対外的な法的責任、法的リスクを伴うものです。企業としては、こうしたリスクを踏まえて、適切な取り組みを行っていくことが必要となります。


氏名:石井邦尚

生年:1972年生

弁護士登録年・弁護士会:
1999年弁護士登録、第二東京弁護士会所属

学歴:
1997年東京大学法学部卒業、2003年コロンビア大学ロースクールLL.M.コース修了

得意分野等:
米国留学から帰国後に「挑戦する人(企業)の身近なパートナー」となるべくリーバマン法律事務所を設立、IT関連事業の法務を中心とした企業法務、新設企業・新規事業支援、知的財産などを主に取り扱う。留学経験を活かし、国際的な視点も重視しながら、ビジネスで日々発生する新しい法律問題に積極的に取り組んでいる。

所属事務所:
リーバマン法律事務所 http://www.rbmlaw.jp/

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