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インターネットと著作権の基礎(4)-許される行為

テーマ:著作権

2010年8月19日

解説者

弁護士 石井邦尚

 CDを買ってきた後、携帯型音楽プレーヤーにコピーして聞いた経験のある人は多いと思います。私も、最近はCDを買ってきてもすぐに携帯型音楽プレーヤーにコピーしてしまい、CDプレーヤーでは一度も再生したことのないCDを何枚も持っています。
 こうした行為は著作権の中の複製権(コピーをコントロールする権利)を侵害するようにも見えますが、一定の範囲で許されており、実際にも広く行われています。今回は、一見すると著作権侵害になりそうですが、許されている行為について、代表的なものを説明します。


1.私的使用目的の複製

 個人や家庭内などで用いる目的(私的使用目的)であれば、著作物を複製することが許されています。
 例えば、自分や家族が見たり聞いたりするためにテレビ番組をビデオに録画したり、CDの音楽を携帯型音楽プレーヤーにコピーするような場合です。
 ただし、そのビデオを第三者に貸与や譲渡したり、CDから作成したデータを第三者に譲渡したりすることはできません。ホームページに掲載することはもちろん、P2Pファイル交換ソフトで公開することなどはできませんし、公開することを「目的」として複製することは、公開前でも複製した時点で著作権侵害です。反対に、当初は個人的に利用する目的でコピーしたものを、後から第三者に頒布したりすることも著作権侵害になります。
 また、あくまでも個人や家庭内などで用いる目的に限られますので、会社の内部で使用する目的で複製した場合には著作権侵害になります。
 なお、私的使用目的であっても、いわゆるコピー・プロテクト、コピー・ガードなど、複製を技術的に妨げる手段(技術的保護手段)が施されているにもかかわらず、これを回避して複製を行うことは禁止されています。


2.図書館における複製

 図書館は文化の発展等に非常に重要な役割を果たしていますが、図書館の図書や資料を全く複製できなければ非常に不便で、図書館の社会的価値も損なわれます。そこで、図書館の利用者や図書館自身は、一定の範囲内で、図書館が所蔵している図書や資料を複製することが認められています。


3.教育関係

 教育の重要性もまた言うまでもありませんが、教科書等に著作物を利用することなどが全く許されなければ、教育に大きな不便、マイナスを生じます。そこで著作権法では、著作物の教科用図書等への掲載、学校その他の教育機関における複製、試験問題としての複製などを、一定の範囲で許容しています。


4.営利を目的としない上演等

 公表された著作物は、非営利で、かつ聴衆や観衆から料金を受け取らず、出演者も無報酬の場合には、公に上演や演奏をすることが許されています。学校の学芸会などは、これに該当することが多いでしょう。
 ただし、例え低額であっても料金等を受け取る場合や、チャリティー目的でも料金等を受け取る場合には、この例外にはあたらず、原則どおり著作権者の許可が必要になります。


5.引用

 報道や批評、研究などのために、あるいは表現の自由・学問の自由という観点から、他人の著作物を引用することは不可欠というほど重要です。そこで、著作権法は一定の要件のもとに他人の著作物の「引用」を許容しています。
 ホームページやブログで「引用」が行われることは少なくありません。個人のブログなども著作物として著作権法による保護の対象となり得るので、他人のブログを転載するような場合にも、著作権法上の「引用」の要件を満たしているか注意が必要です。


 著作権法上の「引用」として許されるのは、


  1. (1)公正な慣行に合致している
  2. (2)報道、批評、研究などの目的上正当な範囲内で行われている
  3. (3)引用箇所を明記している
  4. (4)引用部分が本文と比べ従属的な扱いである
  5. (5)出典を明記している

 などの要件を満たしている場合です。


 このうち、(2)に関しては、例えば、2〜3行引用すれば十分目的を達成するのに、数ページにわたる記事を丸ごと転載したような場合は、この要件を満たしません。
 また、(4)については、例えば、新聞の社説などを丸ごと転載した上で、一言「私もこの意見に賛成である。」と書いただけのような場合は、この要件を満たさないでしょう((2)も満たさないことが多いと思われます)。


 なお、会社が、自社を取り上げた新聞や雑誌の記事をホームページに掲載しているのを見かけることがあります。この場合も、引用の要件を満たしているか確認し、満たさないようであれば著作権者の許諾を得る必要があります。


6.限定列挙とフェアユースの議論

 以上の他にも、著作権法は、いくつか許される行為を定めていますが、注意しなければならないのは、著作権法に明文で規定された事項以外には例外が認められておらず、こうした規定に該当しない限り、原則に戻って著作権侵害となるということです(こうした定め方を限定列挙と呼びます)。例えば、アメリカでは、いくつか許される行為が列挙された上で、さらに「フェアユース」(「公正な利用」)という一般的な例外事由が定められており、列挙された事由に該当しなくても、「公正な利用」であれば著作権侵害にはならないとされています。しかし、日本にはこのような一般的な条項はないのです。


 最近は、日本にもフェアユースのような規定を設けるべきだという意見はありますが、反対意見も根強く、今後もこうした規定が設けられるかはわかりません。現状では、安易に「こうした使い方なら許されるはずだ」などと独断するのではなく、きちんと著作権法のどの条文に該当するかを注意深く確認する必要があります。


氏名:石井邦尚

生年:1972年生

弁護士登録年・弁護士会:
1999年弁護士登録、第二東京弁護士会所属

学歴:
1997年東京大学法学部卒業、2003年コロンビア大学ロースクールLL.M.コース修了

得意分野等:
米国留学から帰国後に「挑戦する人(企業)の身近なパートナー」となるべくリーバマン法律事務所を設立、IT関連事業の法務を中心とした企業法務、新設企業・新規事業支援、知的財産などを主に取り扱う。留学経験を活かし、国際的な視点も重視しながら、ビジネスで日々発生する新しい法律問題に積極的に取り組んでいる。

所属事務所:
リーバマン法律事務所 http://www.rbmlaw.jp/

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