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電子商取引の注意点(4)ワンクリック請求

テーマ:自社HP・eコマース

2012年12月27日

解説者

弁護士 高橋弘泰

【ワンクリック請求とは】

 ワンクリック請求とは、携帯電話やパソコンに届いたメールや、各種ウェブページ、ブログのトラックバックに記載されているURLを一度クリックしてアクセスしただけで、有料サービスの登録がされたという画面表示がなされ、代金を請求されるというものです。多くの場合は詐欺的手法により代金名目で金銭をだましとることが目的とされている架空請求の一類型といえます。ワンクリックをした者は、クリックという自分の行為が介在しているため、そのことにより契約が成立したのだと誤信して、代金の支払に応じてしまう場合があります。
 しかし、このようなワンクリック請求を受けた人は、必ず代金の支払義務を負うのでしょうか。以下のような場合には、請求に応じる法的義務がないと考えられます。


【契約が不成立の場合】

 契約は、申込みと承諾の意思表示が合致した場合に成立し、申込とは、それをそのまま受け入れるという相手の意思表示があれば契約を成立させるという意思表示です。ところが、ワンクリック請求では、そもそもワンクリックが契約の申込みであるとの判断ができない場合があります。この場合は、そもそも契約の申込みといえる意思表示がなく、これに対する承諾もありえないから、契約は成立していません。
 ワンクリックの際に、クリックが契約の申込みであるとの表示がまったくない場合が典型的なケースです。また、表示がなされていたとしても、それが画面構成上認識しにくいようになっている場合も、契約の申込み行為がないと判断される可能性があります。


【錯誤により契約の無効の主張が可能な場合】

 契約の申込みについて、申込者に契約の要素につき錯誤がある場合には、申込者に重過失があるときを除き、申込者は錯誤による契約の無効を主張することができます(民法第95条)。ただし、ワンクリック請求業者が、申込者が錯誤に陥ることを意図していたような場合には、相手方であるワンクリック請求業者を保護する必要がないため、錯誤無効又は詐欺取消しを主張できる可能性が高いといえます。また、電子消費者契約にあたる場合において、申込者が契約を申し込む意思がなかったのに、誤って申込みのクリックボタンを押してしまったような場合においては、事業者が申込内容の確認措置を講じていた場合を除き、申込者の重過失の有無にかかわらず、錯誤無効の主張ができます(電子契約法第2条、第3条)。


【消費者契約法違反の条項があり無効となる場合】

 契約が消費者契約にあたる場合(消費者契約法第2条)、契約の内容について、同法第8条から第10条までに違反する条項がある場合は、当該条項は無効となります。
 ワンクリック請求においては、代金請求の際、支払が遅延すると高額の遅延損害金や手数料が発生するような表示をして早期の支払を迫るケースが見られますが、消費者契約法第9条第2号は、消費者契約について、年14.6%を超える損害賠償額の予定や違約金の規定を、当該超える部分につき無効としています。また、同法第10条は、消費者の利益を一方的に害する条項を無効としています。


【契約の内容が公序良俗に違反するとして無効の主張が可能な場合】

 契約の内容が公序良俗に反する場合、契約は無効となります(民法第90条)。画像の閲覧などにつき、一般常識に照らして不相当に高額な代金を設定している場合などは、暴利行為として公序良俗に違反していると判断しうる可能性があります。また、わいせつ物の販売(刑法第175条)、著作権者の許諾など正規な著作権処理がなされていない画像の販売など、取引自体が法律に違反するような取引については、そもそも公序良俗に違反する契約として、無効となる可能性があります。


【詐欺による契約の取消しの主張が可能な場合】

 ワンクリック請求業者が、申込者に対して欺罔行為を行い、その結果として申込者が錯誤に陥って申込みの意思表示をした場合には、申込者は詐欺(民法第96条)による契約の取消しを主張することができます。
 ワンクリック請求業者に欺罔行為があったかどうかについては、契約の申込みをさせるためのメール又はサイトの画面構成や文言、代金請求に当たっての画面構成や文言などから、総合的に判断することになります。


【申込者が未成年であることにより取消しの主張が可能な場合】

 契約の一方当事者が未成年の場合、その未成年者は原則として意思表示を取り消して契約の効力を否定することができます(民法第5条)。もっとも、年齢確認画面への対応によっては、民法21条の「詐術」が適用され、取り消すことができない場合があります。


※民法第21条
 制限行為能力者が行為能力者であることを信じさせるため詐術を用いたときは、その行為を取り消すことができない。



氏名:高橋弘泰

生年:1970年生

弁護士登録年・弁護士会:
2009年弁護士登録、第二東京弁護士会所属

学歴:
1994年東京大学法学部卒業

得意分野等:
東京都に勤務の後、大宮法科大学院に入学し、法曹を目指す。行政事件、刑事事件など公益的な活動に力を入れる一方、民事分野でも敷居が低く利用しやすいと同時に、内容的には決して妥協しない良質な法的サービスの提供に努めていきたいと思います。

所属事務所:
法律事務所フロンティア・ロー http://frontier-omiya.jp/index.html

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