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契約書の読みかた(4)瑕疵担保とは

テーマ:契約・取引

2012年11月 1日

解説者

弁護士 高橋弘泰

 前回は、ビジネス契約書のリスク条項について一般的な説明をしましたが、今回は、リスク条項の代表的なものである瑕疵担保条項について説明したいと思います。


【瑕疵担保責任とは】

 瑕疵担保条項とは、売買契約において特に問題となります。瑕疵担保責任とは、売買の目的物に隠れた瑕疵(欠陥)があった場合に売主が負担する責任のことです。
 「隠れた瑕疵」というのは、買主が取引通念上一般に要求される程度の注意を用いても発見できない瑕疵のことをいいます。


【民法と商法での扱い】

 民法上は、(1)売買の目的物に隠れた瑕疵があった場合、(2)買主がその事実を知った時から1年以内であれば、(3)買主は、契約の解除及び損害賠償請求をすることができる(解除ができない場合には損害賠償請求のみ)と規定されています(民法570条、566条)。


 しかし、商人間で締結されるビジネス契約においては、商法の規定が適用されますから、瑕疵担保の内容が若干異なっています。すなわち、商人間の売買においては、(1)買主は目的物を受け取った後、遅滞なく検査をすること、(2)検査の結果、瑕疵や数量の不足を発見した場合には、直ちに売主に通知すること、(3)直ちに発見できない瑕疵の場合は、6か月以内にこれを発見し、通知すること、(4)これらの要件を満たさない場合には、売主の瑕疵担保責任を追及することができない、とされています(商法526条)。


 商人間の売買には迅速な処理が必要なことから、買主に検査義務があり、すぐに発見できない瑕疵でも6か月以内に通知しなければならないという点が民法の規定とは大きく異なります。もう一つの違いは、民法の瑕疵担保責任は特定物(美術品や不動産のように物の個性に着目するもの)だけに適用されますが、商法の規定は不特定物(規格品のように物の個性に着目せず、同じ種類であればよいもの。種類物ともいいます)にも適用されるという点です。


【ビジネス契約書での定め方】

 上で紹介した民法と商法の規定は、強行規定(当事者の合意により変更できないもの)ではありません。ですから当事者の合意によって、ビジネスの内容や当事者間の関係性に応じた瑕疵担保責任の処理の仕方について任意に定めることができます。


 ビジネス契約書での主なポイントとしては、(1)起算点、(2)保証期間(法律的には「補償」が正しいと思われますが分かりやすく保証とします)、(3)帰責性、(4)保証内容などがあります。


 (1)起算点とは、具体的にいえば、責任の発生時を「納入時」とするのか、「受入検査合格時」とするかという問題です。保証期間が同じであれば、売主にとっては、起算点が早い方が早期に責任を免れることになるので、納入時の方が有利ですし、買主にとっては、受入検査合格時の方が有利ということになります。


 (2)保証期間とは、民法上の1年あるいは商法上の6か月に関わらず、期間の長短を定めることです。場合によっては無保証という規定もありえますが、公序良俗に反し無効となる可能性があるので要注意です。


 (3)帰責性とは、担保責任が発生するのを売主に過失があった場合に限るかどうかという問題です。民法や商法の瑕疵担保責任は無過失責任とされていますから、売主にとっては不利(買主にとっては有利)ですが、これを「売主の責めに帰すべき場合」に限るという規定にすることも可能です。


 (4)保証内容とは、損害賠償だけでなく、代品納入や瑕疵の修補請求ができるような定めもできるということです。民法や商法では損害賠償と解除(商法では代金減額も)しか規定されていないので、代品納入で済む場合にはその旨の定めを入れておく方がいいでしょう(現実的には条項がなくともそのように処理する場合もあると思われますが)。


 その他、「隠れた瑕疵」だけでなく、仕様に合致しないといった瑕疵についても補償を請求できるという条項にすることもできます。具体的には「隠れた瑕疵」の代わりに「瑕疵」という文言を用いることになるでしょう。瑕疵について別に定義規定を設けておけばこの点はさらに明確になるでしょう。


 今回は主に売買契約について説明しましたが、請負契約についても瑕疵担保条項はよく問題になります。これについては別の機会に説明したいと思います。



氏名:高橋弘泰

生年:1970年生

弁護士登録年・弁護士会:
2009年弁護士登録、第二東京弁護士会所属

学歴:
1994年東京大学法学部卒業

得意分野等:
東京都に勤務の後、大宮法科大学院に入学し、法曹を目指す。行政事件、刑事事件など公益的な活動に力を入れる一方、民事分野でも敷居が低く利用しやすいと同時に、内容的には決して妥協しない良質な法的サービスの提供に努めていきたいと思います。

所属事務所:
法律事務所フロンティア・ロー http://frontier-omiya.jp/index.html

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