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有期労働契約について(4)法改正の動き

テーマ:採用・雇用

2012年3月29日

解説者

弁護士 高橋弘泰

 今回は、前回までに説明した有期労働契約に関する問題点やそれに関する議論を踏まえて、今後の法改正の方向性について説明します。


 労働政策審議会は、平成24年3月16日、昨年末に提出された報告書に基づく労働契約法の改正案要綱を厚生労働大臣に答申しました。答申を踏まえ、開会中の通常国会に改正法案が提出される予定です。
 この報告書では、いわゆる正社員以外の非正規労働者(パート労働、派遣労働などを含む)の割合が増大している中で、有期労働契約の利用に関する明確なルールがないことから、雇止めの不安や処遇に対する不満が多く指摘されていることを踏まえ、ルールの明確化を行う必要があるとしていくつかの提言が行われています。
 今回は、その具体的な内容について見てみましょう。


【契約締結事由の制限について】

 雇用の原則は期間の定めのない直接雇用が基本であり、有期労働契約は例外と位置付けるべきだから、有期労働契約を締結できる場合を一定の目的や理由がある場合に限定する規制(締結事由の制限)が必要であるという議論があります。これについて報告書では、「例外業務の範囲を巡る紛争多発の懸念や、雇用機会の減少の懸念等を踏まえ、措置を講ずべきとの結論には至らなかった」として、契約締結事由の制限については現時点で留保しています。


【長期にわたる反復・継続への対応】

 ここは今回の法改正の目玉といえる部分です。報告書は、有期契約労働者の雇用の安定や有期労働契約の濫用的利用の抑制のため、有期契約労働が、同一の労働者と使用者との間で5年を超えて反復継続された場合には、労働者の申出により、期間の定めのない労働契約に転換させる仕組みを導入することが適当であると述べています。この転換に際し、期間の定めを除く労働条件は、別段の定めのない限り従前と同一とするものとされています。


 さらに報告書は、6か月の「クーリング期間」を定めることを求めています。クーリング期間とは、同一の労働者と使用者の間で、一定期間をおいて有期労働契約が再度締結された場合、反復更新された有期労働契約の期間の算定において、従前の有期労働契約と通算されないこととなる期間のことです。つまり、いったん有期労働契約を終了して、6か月が経過した後に再び雇用することで、契約が反復継続したとみなされなくなるということです。


 このクーリング期間は、有期労働契約の期間(複数ある場合にあっては、その合計)が1年未満の場合には、3か月にすることとされています。また期間の算定は、制度導入後に締結又は更新された有期労働契約から行うことが適当とされています。


【雇止め法理の法定化】

 もう一つ重要なのは、「客観的に合理的な理由を欠き社会通念上相当であると認められない雇止めについては、当該契約が更新されたものとして扱う」という、いわゆる「雇止め法理」について、その内容を制定法化し、明確化を図ることが適当であるとされた点でしょう。これまでは判例上のルールであった「雇止め法理」を法定化することにより、より認識可能性が高いルールとなり、紛争の予防に役立つことが期待されます。


【その他】

 報告書が触れているその他の点としては、(1)有期労働契約の内容である労働条件については、職務の内容や配置の変更の範囲等を考慮して、期間の定めを理由とする不合理なものと認められるものであってはならないこととすることが適当であること(期間の定めを理由とする不合理な処遇の解消)、(2)有期労働契約の継続・終了に係る予測可能性と納得性を高め、そのことによって紛争の防止に資するため、契約更新の判断基準は、労働基準法第15条第1項後段の規定による明示をすることが適当であること(契約更新の判断基準)などがあります。


 1回の契約期間の上限等を設けることや、雇止め予告を法律上の義務とし、有期労働契約締結時に「有期労働契約を締結する理由」を明示させることについては、今回の報告書では措置を講ずべきとの結論は見送られました。


(参考)
労働基準法第15条(労働条件の明示)
 使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない。この場合において、賃金及び労働時間に関する事項その他の厚生労働省令で定める事項については、厚生労働省令で定める方法により明示しなければならない。



氏名:高橋弘泰

生年:1970年生

弁護士登録年・弁護士会:
2009年弁護士登録、第二東京弁護士会所属

学歴:
1994年東京大学法学部卒業

得意分野等:
東京都に勤務の後、大宮法科大学院に入学し、法曹を目指す。行政事件、刑事事件など公益的な活動に力を入れる一方、民事分野でも敷居が低く利用しやすいと同時に、内容的には決して妥協しない良質な法的サービスの提供に努めていきたいと思います。

所属事務所:
法律事務所フロンティア・ロー http://frontier-omiya.jp/index.html

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