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不正競争防止法とは(4)信用毀損についての裁判例

テーマ:宣伝・販促

2011年10月13日

解説者

弁護士 高橋弘泰

 今回は、不正競争防止法の規制する「信用毀損」について争われた裁判例を説明します。


 信用毀損行為とは、競争関係にある者が、真実に反する虚偽の事実を告知し、または、流布して、事業者にとって重要な営業上の信用を害する行為ですから、典型的な不正競争行為であるといえます。また最近では、インターネットによる告知・流布が容易になり、虚偽事実を広く効率的に伝達できるようになってきています。


 そこで今回は、実際に不正競争防止法における信用毀損について争いになった事例を紹介していきます。


【浮世絵コレクター事件】(大阪地判平成16年9月28日)

 この事件は、浮世絵のコレクターである原告が、自分のコレクションが被告の出版物の表紙に使われ、そこで表示されていた所蔵先が虚偽であったことから、損害賠償請求を行ったというものです。この裁判では、原告と被告の間に不正競争防止法にいう「競争関係」があるかどうかが争点となりました。


 裁判所はこの点につき、「錦絵等のコレクションの維持、運営を行っている原告と教育図書の編集・制作・出版等を行っている被告との間に、需要者や取引先を共通にするような競争関係があるとは一般的には解し難い」と述べ、原告と被告の間は競争関係にはないとしました。


 前回のコラムでは、競争関係について「特定の販売競争に限られるものではなく、広く同種の商品を扱うような業務関係にあればよいと比較的緩やかに解されています」と書きましたが、コレクターと出版社との関係では緩やかに解しても競争関係にあると認めることは無理なようです。ポイントは、需要者や取引先が共通であるといえるかどうかという点です。


【ヤマハピアノ事件】(名古屋地裁平成5年1月29日)

 この事件は、あるピアノ販売業者が、ヤマハと特約店契約をしておらず、ヤマハ商標の付されたピアノを販売するための仕入手段がなく、販売する意思もないのに、ヤマハの商標が付されたピアノを好条件で販売する旨の広告を出し、来店した顧客に対し、ヤマハのピアノに対する悪評を並べる等して購入意欲を失わせ、自社ブランドのピアノを購入させたというもので、典型的な「おとり広告」の事例です。


 判決では、広告主が顧客を集める為に、実際には販売する意思がないか、又は販売したくない商品について、あたかもこれを販売したいかのように広告すること(おとり広告)は、直ちに不正競争防止法違反にあたるとはいえないとした上で、広告商品を購入しようと来店した顧客に対して、広告商品の購入をあきらめさせ、他の商品を購入させる為に、広告された商品が欠陥商品である等虚偽の事実を陳述する行為を恒常的に行うような場合における広告は、おとり広告であり、広告された商品を扱う業者の営業上の信用を害する虚偽の事実を陳述、流布する為の要素とも言うべき集客手段であり、不正競争防止法違反となると結論付けました。


 この件では、店舗に損傷、汚損等のあるヤマハのピアノを新品と称して展示した上で、外装がプラスチックを使用している為、耐久性がなく、音も悪く、湿気が内部にこもる等の虚偽の事実を述べてヤマハピアノの購入をあきらめさせたと認定されています。
 おとり広告が競業者の営業上の信用を害する行為と一体的に行われているということがポイントです。


【コジマ安売り広告事件】(東京高裁平成16年10月19日)

 激烈な価格競争が行われている家電量販店の世界ですが、ある大手家電量販店(Y)が、全国の店舗に「Xさんよりお安くします!!」と大きく表示したポスターを貼っていたのに対して、XがYを訴えた事件です。


 裁判所は、家電量販店においては激しい商品の安売り競争が繰り広げられていることを前提として、「Yの店舗で販売される全ての商品についてその店頭表示価格がXの店舗よりも必ず安いとか、Yの値引後価格は必ずXのそれよりも安くなるという確定的な認識を抱く者の数は、それほど多くないと考えられる」として、Yの表示がXの営業上の信用を毀損するものではないと判断しました。
 一般消費者がポスター等を見て常識的にどう考えるかという点が考慮されています。


氏名:高橋弘泰

生年:1970年生

弁護士登録年・弁護士会:
2009年弁護士登録、第二東京弁護士会所属

学歴:
1994年東京大学法学部卒業

得意分野等:
東京都に勤務の後、大宮法科大学院に入学し、法曹を目指す。行政事件、刑事事件など公益的な活動に力を入れる一方、民事分野でも敷居が低く利用しやすいと同時に、内容的には決して妥協しない良質な法的サービスの提供に努めていきたいと思います。

所属事務所:
法律事務所フロンティア・ロー http://frontier-omiya.jp/index.html

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