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下請法の基礎知識(4)禁止行為の類型

テーマ:契約・取引

2011年8月25日

解説者

弁護士 高橋弘泰

 前回「買いたたき」を中心に親事業者の禁止行為を見てきましたが、今回は、その他に下請法が規制の対象としている、親事業者の行為の類型及び親事業者の義務について具体的に説明していきます。親事業者としては、以下の内容を正しく理解して、下請事業者との取引の際には法律違反とならないよう注意する必要があります。


【受領拒否】(下請法4条1項1号)

 例えば、発注元の都合による仕様の変更を理由に、下請事業者に責任がないのに、親事業者が発注した物品を受領しないことです。正当な理由なく納期を延期することも受領拒否になります。ちなみに「受領する」とは、下請事業者の納入物品等を親事業者が事実上支配下に置くことであり、社内検査の有無は問いません。


【下請代金の支払遅延】(同2号)

 下請事業者から受領した日(受領日)から60日以内で定めなければならない支払日(下請法2条の2参照)までに、下請代金を支払わないことです。社内検査の有無は問いません。「毎月20日を納品の締切、締切後40日で支払い」との取り決めにより、実際には受領日から60日を超えて支払っていたというようなケースでも該当するので注意が必要です。


【下請代金の減額】(同3号)

 これについては前回のコラムで説明しました。親事業者が下請代金の中で消費税・地方消費税相当分を支払わないこともこれにあたります。


【不当な返品】(同4号)

 下請事業者に責任がないのに、物品を受け取った後に返品することです。例えば、受入検査を下請事業者に文書で委任していないにもかかわらず、受領後に不良品を返品するような場合がこれにあたります。


【買いたたき】(同5号)

 これについては前回のコラムで説明しました。買いたたきのパターンの一例として、多量の発注を前提として見積を取り、その単価に基づいて少量の発注しか行わない、というものがあり、これはいわゆる欺瞞的な対価の決定方法にあたります。また、いわゆる短納期発注を行い、下請事業者に人件費等のコストを負担させる形になった場合に、通常の対価相当と認められる下請事業者の見積価格を大幅に下回る単価で請負代金を定めるといった場合も買いたたきに該当します。


【購入強制】(同6号)

 正当な理由がないのに、親事業者が指定する物品の購入を強制したり、役務の利用を強制することです。親事業者が取り扱う商品やサービスに限りません。親事業者が指定する商品であれば該当し、保険、リース、インターネットプロバイダなどのサービスの利用も対象になります。


【報復行為】(同7号)

 親事業者の禁止行為を下請業者が公正取引委員会や中小企業庁に知らせたことを理由に、取引の数量を減らしたり、取引停止などの不利益な扱いをすることです。


【有償支給原材料等の対価の早期決済】(下請法4条2項1号)

 親会社が有償で支給する原材料を使って下請事業者が物品製造などを行っている場合に、下請事業者に責任がないのに、物品の下請代金の支払日よりも早く、支給した原材料などの単価を支払わせることです。下請代金の額から控除することも含まれます。


【割引困難手形の交付】(下請法4条2項2号)

 下請代金を手形で支払う際に、一般の金融機関で割引を受けることが困難な手形を交付し、下請事業者の利益を不当に害することです。ここでいう割引困難な手形とは、繊維業は90日、その他の業種は120日を超える長期の手形をいうとされています。


【経済上の利益の提供要請】(下請法4条2項3号)

 親事業者が自社のために、下請事業者に現金やサービスその他の経済上の利益を提供させ、下請事業者の利益を不当に害することです。その他の経済上の利益には従業員の派遣なども含まれます。「協定料」や「協賛金」など、現金の提供に関しては名目を問いません。


【不当な給付内容の変更、やり直し】(下請法4条2項4号)

 下請事業者に責任がないのに、親事業者が費用を負担せず発注の取消しや内容変更、やり直しをさせ、下請事業者の利益を不当に害することです。これは現実にはよく問題になるケースで、給付内容を変更した場合にはその内容を記載して保存することが必要です。変更に伴う必要な費用を下請事業者に負担させてはいけないということです。


【書類の交付義務】(下請法3条)

 口頭発注によるトラブルを未然に防止するため、親事業者は発注にあたって発注内容を明確に記載した書面を交付しなければならないとされています。下請法では発注書面の様式は定められていませんが、記載すべき事項については具体的な定めがあります。
 ポイントは、発注時に協議して決定した下請代金の額を明確に記載することです。具体的な金額を記載できない「正当な理由」があるときは(ソフトウェア作成委託において最終仕様が確定していないなど)、算定方法による記載も認められています。算定方法を記載する場合は、(工賃単価×所要時間数+原材料費)のように、金額が自動的に確定するような記載であることが必要です。


氏名:高橋弘泰

生年:1970年生

弁護士登録年・弁護士会:
2009年弁護士登録、第二東京弁護士会所属

学歴:
1994年東京大学法学部卒業

得意分野等:
東京都に勤務の後、大宮法科大学院に入学し、法曹を目指す。行政事件、刑事事件など公益的な活動に力を入れる一方、民事分野でも敷居が低く利用しやすいと同時に、内容的には決して妥協しない良質な法的サービスの提供に努めていきたいと思います。

所属事務所:
法律事務所フロンティア・ロー http://frontier-omiya.jp/index.html

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