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法律コラム


[契約書|2009年6月11日]
弁護士 石井邦尚

意外と知らない契約書の基本(4)〜基本契約書とは

弁護士 石井邦尚

1.基本契約書とは

 企業の取引では、例えば継続的に商品を売買するような場合のように、ある特定の取引先と反復継続的に取引を行うことがよくあります。こうした取引では、すべての取引に共通する基本的な取り決めを「基本契約書」として定めておき、個々の取引については、注文書や受注書のやり取りで行ったり、簡単な契約書のみを作成するといったことがよく行われます。

 これは「継続的商品売買契約書」などといった名称が使われることもあります。また業界によっては、基本契約書を締結することにより、「口座を開いた」などと言ったりもします。

 基本契約に基づいて行われる個々の取引にも、それぞれ契約が成立していきます。こうした個々の契約を「個別契約」と呼びます。注文書と受注書のやり取りで済ませる場合のように、「契約書」という名前の書面を取り交わさなくても、個別契約は成立します(本連載第2回「意外と知らない契約書の基本(2)〜契約書を取り交わしていないのに、契約が成立した?」参照)。

2.基本契約書ではどのような条項が定められるか

 基本契約では、まずどのようにして個別契約が成立するかを定める必要があります。例えば、注文書に対する受注書が届いた時点で個別契約が成立するのか、注文書に(何日か以内に)異議を述べなければ自動的に個別契約が成立するのか、「個別契約書」を交わす必要があるのか、などです。この点の理解が双方で異なると、後で思わぬトラブルを引き起こすことがあるので注意が必要です。

 その他、基本契約書でよく取り決められる事項は、基本契約と個別契約が食い違う場合の取り扱い、代金の定め方、代金の支払時期・方法、商品等の引渡し方法、引渡し後の検査方法、知的財産権の処理、秘密保持義務、契約解除事由、損害賠償、有効期間、合意管轄などです。このうちのいくつかについて、注意すべきことを説明します。

3.基本契約書と個別契約書、どちらを優先させるか

 基本契約と個別契約で内容が異なる(矛盾する)ケースも少なくありませんが、こうした場合は、"個別契約が優先するという定めをする"ことが多くみられます。これは実際に取引をはじめてから、不都合が生じた場合には柔軟に対処しようと考えるケースが多いからでしょう。

 この場合は、個別契約の管理を適切に行うよう注意が必要です。個別契約1は、基本契約書のA条を変更している、個別契約2は基本契約書のB条を変更している・・・といったことが重なると、思わぬ勘違いによるミスをしかねません。こういった契約管理のリスクとコストも馬鹿になりませんので、変更する条項があまり多い場合には、もう一度、基本契約書を見直して締結し直すことも考えるべきでしょう。

4.商品等の引渡し方法、引渡し後の検査方法

 売買の基本契約では、通常は商品の引渡方法(または引渡方法の定め方)、引渡後の検査方法について定めます。ここで注意すべきことは、どの時点から、その取引に関する責任やリスクが、売主から買主に移転するかということです。

5.知的財産権の処理

 著作権や特許権などの知的財産権が発生する可能性のある取引では、発生した知的財産権がどちらに帰属するのかといった、知的財産権の処理に注意が必要です。

 特に、出願が必要な特許などと違い、著作権は何も手続をしなくても、著作物が作られたときから発生します。例えばコンピュータ・システムの開発では、契約書に書かれていなかったり、当事者が意識していなかったりしても、著作権は発生しています。

 こうした知的財産権をどのように処理するかは、とても重要です。かなり単純化した説明になりますが、例えばコンピュータ・システムの開発で、発注者側が著作権を取得するならば、受注側は、その分も上乗せした対価を得たいと考えるでしょうし、逆に発注者側が多額の対価を支払うならば、著作権を得たいと考えるでしょう。

 知的財産権は目に見えないため、十分に意識せずに契約されてしまうことも少なくありません。しかし対価の取り決めや、その後のビジネス展開にも影響する重要な事項ですので、よく注意することが重要です。

6.良好な取引関係を続けるには

 契約書の条項の多くは、トラブルが発生した場合を想定して作られているといえます。一方、基本契約を結ぶのは、お互いに「これから長く取引を続けましょう」と考えているとき、関係が良好なときです。こうしたときは、とかく「何かあったら、話しあえばいい」と考えがちです。

 しかし、契約書の条項やその理解が曖昧だと、かえってトラブルを引き起こすということになりかねません。あらゆる問題を想定して細かな契約書を作成するのは非現実的ですし、必ずしも望ましいこととは思いませんが、重要な事項については、きちんと確認(交渉)してから契約するように心がけるべきでしょう。

(2009年6月執筆)

氏名:石井邦尚

生年:1972年生

弁護士登録年・弁護士会:
1999年弁護士登録、第二東京弁護士会所属

学歴:
1997年東京大学法学部卒業、2003年コロンビア大学ロースクールLL.M.コース修了

得意分野等:
米国留学から帰国後に「挑戦する人(企業)の身近なパートナー」となるべくリーバマン法律事務所を設立、IT関連事業の法務を中心とした企業法務、新設企業・新規事業支援、知的財産などを主に取り扱う。留学経験を活かし、国際的な視点も重視しながら、ビジネスで日々発生する新しい法律問題に積極的に取り組んでいる。

所属事務所:
リーバマン法律事務所 http://www.rbmlaw.jp/

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