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法律コラム


[インターネット|2011年3月17日]
弁護士 石井邦尚

インターネット上の発言と法的責任:加害者の特定(3)

弁護士 石井邦尚

【発信者情報開示請求権】

 前回、プロバイダ責任制限法により、次の2つの要件を両方とも満たす場合には、発信者情報開示請求権利が認められることを説明しました。

  • (1)その情報の流通によって開示請求者の権利が侵害されたことが明らかであること。
  • (2)発信者情報が開示請求者の損害賠償請求権行使のために必要であるなど、発信者情報の開示を受けるべき正当な理由があること。

 今回は、その手続きについて解説します。

【発信者情報開示請求の手続き】

 発信者情報開示請求は、プロバイダ等に対して請求書を提出するなどして手続きを行うことになりますが、その際には、上記(1)(2)の要件を満たすことを証する資料なども一緒に提出する必要があります。資料の追完はできるでしょうが、提出した資料などから上記(1)(2)の要件を満たすことを十分に立証できない場合は、プロバイダ等が開示に応じることは期待できません。

 発信者情報開示請求を受けたプロバイダ等は、プロバイダ責任制限法により、その情報発信者と連絡が取れない場合や特別の事情がある場合を除いて、開示するかどうかについて、発信者の意見を聞かなければならないとされています。

 プロバイダ等としては、発信者から意見が出されたり資料が提供されたりした場合には、そうした意見や資料もふまえて、上記(1)(2)の要件を満たすか否かを総合的に判断することになります。なお、発信者から意見が出されないからといって、プロバイダ等が自動的に情報開示をするわけではなく、開示請求者の資料等に基づいて上記(1)(2)の要件の有無を判断します。

【開示請求に応じないプロバイダ等の責任】

 上記(1)(2)の要件を満たしているにもかかわらず、プロバイダ等が発信者情報の開示に応じない場合、そのプロバイダ等は、民法上の不法行為として損害賠償責任を負うことがあります。

 しかし、具体的な案件で上記(1)(2)の要件を満たすかどうかを判断することは、必ずしも容易ではありません。そして、逆に上記(1)(2)の要件を満たしていないにも関わらずプロバイダ等が発信者情報開示を行った場合、その発信者に対して、損害賠償責任を負う可能性もあります。こうした難しい立場にプロバイダ等を立たせるのは相当ではありません。

 そこで、プロバイダ責任制限法では、発信者情報開示請求に応じなかったことによって開示請求者に損害が発生したとしても、故意又は重過失がある場合でなければ、プロバイダ等は責任を負わないとしています。

 逆に、情報を開示された発信者への損害賠償についてはこのような限定はなされておらず、他の要件を満たせば、重過失までいかない軽過失であっても、プロバイダ等は損害賠償責任を負うことになります。

 このような形でプロバイダ等の責任が限定されていることから、プロバイダ等としては、発信者情報開示請求が上記(1)(2)の要件を満たしていると十分に確信が持てるような場合でなければ、基本的には開示請求に応じないというスタンスになります。このことも踏まえて、開示請求者は十分な資料を準備・提供しなければなりません。

 そして、プロバイダ等が開示に応じない場合、訴訟提起などの裁判手続きが必要になります。上記のような事情ですので、プロバイダ等に発信者情報開示請求を行おうという場合は、当初から訴訟手続きなども視野に入れて行動すべきです。

【実際に請求をする場合の注意点】

 また、発信者情報開示請求は、少なくとも2つのプロバイダ等に対して行うことが必要となるケースが多いです。ネット掲示板や動画共有サイトの投稿が問題となった場合、まずそのネット掲示板や動画共有サイトの運営者に対し、発信者情報開示請求を行います。

 しかし、通常は、そこで得られる情報は、その投稿を行った者のIPアドレスやタイムスタンプ(そのIPアドレスとの通信が行われた日時の記録)などであり、投稿者の氏名等はわかりません。得られたIPアドレスからは、発信者がインターネット接続に用いたインターネット・サービス・プロバイダ(ISP)や携帯電話会社などが特定できます。そこで今度は、開示請求者は、そのISPや携帯電話会社などに発信者情報開示請求を行うことになります。最終的に、発信者の氏名・住所等を把握している所までたどり着くことができれば、発信者の特定ができることになります。ただし、インターネット・カフェなどが用いられて、発信者情報開示請求では発信者の特定まで至らないこともあります。

 このような二段階またはそれ以上の開示請求が必要となる場合、最初のネット掲示板などの運営者から情報開示を受けるまでは、次にどのISP等に発信者情報開示請求を行えばよいのかはわかりません。最初の情報開示までにあまり長い時間が経過してしまうと、次に請求を受けたISP等では、既に記録が廃棄されてしまっているという危険があります。

 したがって、発信者情報開示請求を行う場合、迅速に決断し、すみやかに手続きを行うこと、さらに早い段階で十分な資料を準備することが大切です。

氏名:石井邦尚

生年:1972年生

弁護士登録年・弁護士会:
1999年弁護士登録、第二東京弁護士会所属

学歴:
1997年東京大学法学部卒業、2003年コロンビア大学ロースクールLL.M.コース修了

得意分野等:
米国留学から帰国後に「挑戦する人(企業)の身近なパートナー」となるべくリーバマン法律事務所を設立、IT関連事業の法務を中心とした企業法務、新設企業・新規事業支援、知的財産などを主に取り扱う。留学経験を活かし、国際的な視点も重視しながら、ビジネスで日々発生する新しい法律問題に積極的に取り組んでいる。

所属事務所:
リーバマン法律事務所 http://www.rbmlaw.jp/

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