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ドメインの登録で注意すべきこと(3)ADRとの関係(1)

テーマ:自社HP・eコマース

2010年10月 7日

解説者

弁護士 森山裕紀子

【ドメインの削除や移転について】

 前2回は、現行の法律上、商標や有名な他人の使用する名称等をドメインとして利用した場合の問題点について検討してきました。いずれも、裁判手続における損害賠償やドメインの使用についての差止請求が問題となっていました。
 では、有名な他人の使用する名称等をドメイン登録した場合、その名称使用者に損害が発生しないような態様であれば、そのまま保持することは可能なのでしょうか?
 商標法や不正競争防止法では裁判所の判断により損害賠償や差止請求のみが認められますが、ADRでも同じように損害賠償やドメイン使用の差止ができるだけなのでしょうか?


【ドメイン紛争のADR】

 裁判外紛争解決手続(ADR=Alternative Dispute Resolution)とは、仲裁、調停、あっせんなど、裁判によらない紛争解決方法を広く指すとされています。
 前々回解説したように、ドメインはインターネット上の住所のようなものですので、重複を避けるために、国際的にICANN(The Internet Corporation for Assigned Names and Numbers)により管理されています。ドメインが先願主義を採用していることから、世界中で様々な問題が発生してしまったのを受けて、ICANNは、独自の紛争解決規定として「統一ドメイン名紛争処理方針(UDPR)」を作成しました。


 日本においては、このUDPRをローカライズした「JPドメイン名紛争処理方針」により、JPドメインに関するADRは処理されています。
 この「JPドメイン名紛争処理方針」は、実質的にはJPドメインの管理組織による紛争処理手続であることから、商標法や不正競争防止法に依拠して判断する裁判所の判決では認められないところまで踏み込んだ処理がされます。具体的には、(1)登録者のドメインの登録を取消ことが可能であることと、(2)ADRを申し立てた者に当該ドメインを移転させることができることにこのADRの最大の特徴があります。
 では、ドメイン名をめぐるADRの手続はどのような手続なのでしょうか?次に検討していきます。


【ADRの手続について】

 JPドメインに関するADRは、紛争処理機関として委託を受けた社団法人日本知的財産仲裁センターによって提供されています。
 この紛争処理手続が申立てられると、原則として申立から55営業日で裁定が出されます。裁判においては、2ヶ月弱で判決が出ることは到底考えられないのが現状です。このADRの手続では、裁判手続に比べ、格段に短い期間で結論が出ることになります。


 このような短い期間で処理するため、このADRの手続ではすべてが書面審査となっています。つまり、ドメイン保有者の出頭も、ドメインと同じ又は類似の文字列の商標等を保有し、ドメインの移転などを求める当事者の出頭も不要です。ですが反対に、短い期間で、書面だけで裁決が出て、かつ当事者の出頭が不要となると、申立ての後から重要な証拠や言い分があった場合にもそれに気がついたときには裁決が出てしまっているという場合も考えられます。裁判では、両当事者が準備書面を数回にわたり提出し、主張を尽くしたところで証人尋問などを経て、判決が出されるのに比べ、この短期間の処理にこのADRの手続の特徴があります。したがって、ADRの手続でドメインの移転等を求める場合には、申立人は申立の時点で十分な証拠を提出しておく必要があります。


 申立ては、3名のパネリストによる判断か、1名のパネリストによる判断かを選ぶことができ、それにより費用が異なってきます。申立人が1名のパネリストを選んだとしても、申立を受けた方が3名のパネリストによる判断を求めることも可能です。
 また、裁判とADRは別個の手続であることから、両者を同時に申立てることは可能です。さらに、裁定が出た後に裁判を提起することも可能です。


 では、具他的にはどのような場合に、このADR手続によりドメインの削除や移転が認められるのでしょうか?次回は、「JPドメイン名紛争処理方針」におけるドメインの移転等が認められる実体的要件について検討をしていきます。


氏名:森山裕紀子

弁護士登録年・弁護士会:
2008年弁護士登録、第二東京弁護士会所属

学歴:
1998年 明治学院大学法学部卒業、2000年 横浜国立大学大学院国際経済法学研究科修了(国際経済法学修士)、2003年 大宮法科大学院大学法務研究科法務専攻修了(法務博士・専門職)

経歴:
2008年 大宮法科大学院大学非常勤講師(至現在)

得意分野等:
IT法、個人情報保護法、企業法務、一般民事他

所属事務所:
法律事務所フロンティア・ロー http://frontier-omiya.jp/index.html

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