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インターネットと著作権の基礎(3)-著作権とは

テーマ:著作権

2010年8月12日

解説者

弁護士 石井邦尚

 前回、登録などの手続きなしで著作権は発生する、アイデアは保護の対象ではない、といった著作権の特徴について解説しました。
 例えば、ブログに書かれた日記などにも著作権が発生していることは多くあります。作者は、日記を書いているときは著作権のことなど全く意識しておらず、無断引用などにも寛容な態度を取っているかもしれません。しかし、何かがきっかけで、著作権を主張するようになる可能性は十分にあります。そのときになって慌てないようにしなければなりません。
 今回は、著作権法上の権利の具体的な中身について解説します。


1.著作権法上の権利≠著作権?

 実は、著作権法で定めている権利は著作権だけではありません。著作権法上の権利には大きく次の3つがあります。


 (1)著作権
 (2)著作者人格権
 (3)著作隣接権


 このうち、(1)と(2)が、著作者が有する権利です。そして、(1)著作権は経済的な利益を保護するもの、(2)著作者人格権は著作者の人格的利益を保護するものです。後にあらためて述べますが、(1)著作権は他の人への譲渡が可能ですが、(2)著作者人格権は譲渡ができません。
 (3)著作隣接権は、実演家、レコード製作者、放送事業者、有線放送事業者に与えられている権利です。こうした人(や会社)たちは、著作物を創作しているわけではなく、著作者ではない(=著作権は有しない)のですが、著作隣接権という特別な権利を与えられています。


2.著作権とは

 著作権とは、著作物を独占的に利用して利益を受ける権利です。
 実は、著作権は「著作権」という一つの権利ではなく、いくつもの権利(支分権といいます)の束です。主な権利をいくつか見てみましょう。


(1)複製権
 これは、著作物の複製をコントロールできる権利です。例えば、書籍やCD、DVD、コンピュータ・プログラムを無断でコピーすることを禁止できます。


(2)上演権・演奏権
 著作物を公衆に見せたり聞かせたりするために上演・演奏する権利です。対象となる著作物は、演劇や音楽の他、落語・漫才などがあります。生演奏や生上演だけでなく、録音物・録画物によるものも含まれます。


(3)公衆送信権
 公衆が直接受信することを目的として無線通信や有線通信の送信を行う権利です。テレビやラジオで放送したり、インターネットでオン・デマンド配信を行ったりすることをコントロールするものです。


(4)翻訳権、翻案権
 これは、例えば、英語の小説を日本語に書き換える、小説を映画化する、といったことをコントロールする権利です。


 「著作権侵害」というときは、これらのうち、どの権利を侵害しているかを考える必要があります。また、著作権を別の人に譲渡するときは、これらをまとめて譲渡することもできますし、このうちの一部だけを譲渡することもできます。


3.著作者人格権

 著作者人格権は、著作者の人格的な利益を保護するものです。主なものをいくつか見てみましょう。


(1)公表権
 自己の未発表の著作物を公表するか否か、どのような形・時期で公表するかということを決める権利です。例えば、他人の撮った写真、他人の日記などを、勝手に自己のホームページで公表してしまった場合、公表権侵害になる可能性があります。


(2)氏名表示権
 著作物に、あるいは著作物を提供するに際し、氏名を付すかどうか、どのような氏名(実名の他、ペン・ネームなども可)を付すかといったことを決める権利です。こうした氏名表示がないと、著作者としての名誉・声望や社会的評価、あるいは満足感が得られないことなどから認められています。


(3)同一性保持権
 自己の著作物について、意に反して改変などをされないという権利です。デジタル化された作品は、コンピュータなどで容易に改変できますが、同一性保持権を侵害しないよう注意が必要です。


 著作者人格権は、著作権と異なり、他人に譲渡することができず、放棄することもできません。著作者が、著作権を他人に譲渡した場合でも、著作者人格権は著作者に残りますので、著作権を保有する者と著作者人格権を保有する者が異なってしまうという事態が生じます。実務上は、著作権を譲渡する際の契約中に、著作権者は著作者人格権を行使しないという特約を入れて対処しています。


4.著作隣接権

 著作隣接権は、実演家、レコード製作者、放送事業者、有線放送事業者に与えられている特別な権利です。こうした人たち(や会社)は、著作物を創作しているわけではなく、著作者ではありません。したがって、著作権は有しないのですが、著作物を利用・流通するに際し、重要な役割を担っているため、著作権とは別に、著作隣接権を与えて保護しているのです。


 例えば、Aさんが作詞作曲したPという曲を、歌手Bが歌い、レコード会社Cが録音してCDを制作したという事例を見てみましょう。
 この例では、「著作者」に該当し著作権を有するのは、P曲という著作物を創作(作詞作曲)したAさんだけです(著作権の譲渡は行われていないと仮定します)。そこで仮に、同じP曲を歌手Lが歌い、レコード製作者Mが録音してCDを制作する場合には、著作権者Aの許諾が必要であり、かつそれで十分ということになります。
 一方、実演家Bとレコード製作者Cは、それぞれ著作隣接権を有しています。そこで、第三者が、C社が制作したCDを複製しようとする場合には、著作権者A、著作隣接権者(実演家)B、著作隣接権者(レコード製作者)Cの三者の許諾が必要となります。仮に著作権者Aの許諾のみでCが制作したCDのコピーができてしまっては、BやCの保護が不十分となり、BやCは安心して歌ったりCDを作ったりできません。それでは著作物の利用・流通に支障が出てしまうため、著作隣接権者も著作権法の保護の対象とされたのです。


氏名:石井邦尚

生年:1972年生

弁護士登録年・弁護士会:
1999年弁護士登録、第二東京弁護士会所属

学歴:
1997年東京大学法学部卒業、2003年コロンビア大学ロースクールLL.M.コース修了

得意分野等:
米国留学から帰国後に「挑戦する人(企業)の身近なパートナー」となるべくリーバマン法律事務所を設立、IT関連事業の法務を中心とした企業法務、新設企業・新規事業支援、知的財産などを主に取り扱う。留学経験を活かし、国際的な視点も重視しながら、ビジネスで日々発生する新しい法律問題に積極的に取り組んでいる。

所属事務所:
リーバマン法律事務所 http://www.rbmlaw.jp/

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